

文・編集
園芸通信編集部
秋のバラ
2018/09/04
世界中の人々に愛されるバラ。ピンクの濃淡、白、深紅、紫・・・と花色が多彩で、周囲に広がる豊かな香りと共に心を豊かにしてくれます。春に咲いている印象が強いバラですが、実は秋のバラの方が美しいともいわれています。それは、秋の柔らかな光と日を追うごとに涼しくなる気温によって、開花がゆっくり進むため。昼と夜との寒暖差により花色はより鮮やかに、花形はバラ本来の整ったフォルムを長く見せてくれます。秋のバラは、春のバラより花数や花の大きさは劣りますが、一輪の美しさを楽しむには最適なのです。春とは違った秋のバラの魅力を堪能しに、出掛けてみてはいかがでしょうか。
生田緑地ばら苑
バラが美しい春と秋のみ開園する、ばら苑
神奈川県川崎市に生田緑地ばら苑はあります。もともとは小田急電鉄系の遊園地、向ヶ丘遊園内のバラ園として親しまれていましたが、向ヶ丘遊園を閉園する際、ばら苑の存続を求める市民の声に応え、2002年(平成14年)に川崎市に引き継がれました。現在は、バラの開花に合わせ、春と秋の年2回のみ開苑しています。同苑は多摩丘陵の樹林地の中にあり、雑木林を抜けるとふいに秘密の花園のようなばら苑が姿を現します。春は533種約4700株(大輪種、四季咲き中輪種、つるバラ、ミニバラ)、秋は440種約4000株(大輪種、四季咲き中輪種、ミニバラ)のバラが咲き誇ります。同苑の職員の指導の下、バラの管理は多くの市民ボランティアの皆さんの協力によって支えられているのも大きな特徴です。地元の方々に愛される美しい、ばら苑。ぜひ足を運んでみてください。
ロマンチックな雰囲気を添える彫像たち。「ボニカ'82」などのバラが咲き誇る
ロイヤルコーナーには「プリンセス・ドゥ・モナコ」などの王室・皇室にちなむバラを集めている
多摩丘陵の緑に囲まれてた自然豊かなばら苑
落ち着いた赤色が魅力的な「イングリッド・バーグマン」
施設概要
〒216-0022
神奈川県川崎市多摩区長尾2-8-1ほか
電話番号:044-978-5270(開苑期間中のみ8:30~16:30)
開苑期間:10月中旬~11月上旬を予定(バラの見ごろに合わせて1カ月間に決定)
休苑日:開苑期間中は無休
開苑時間:平日10:00~16:30/休日9:00~16:30(入園は16:00まで)
入苑料:無料
駐車場:有料駐車場あり
秋バラの見ごろ:10月中旬~11月上旬(開花状況は気温により変動するため事前にご確認ください)
アカオハーブ&ローズガーデン
バラの谷を彩る「ノック・アウト」
静岡県熱海市にあるアカオハーブ&ローズガーデンは、熱海の海を見渡すことができる高台に位置します。自然の地形の丘陵地を生かしたガーデンの面積は、20万坪(東京ドーム13個分)と壮大な広さ。高台からバラで彩られた庭園を一望できる「バラの谷」、つるバラを使った花のアーチが楽しめる「クライミングローズガーデン」など、12個のテーマガーデンが点在し約600種4000株のバラが植栽されています。海を背景に見るガーデンの景色はまるで絵画のような美しさです。バラの他にも、春にはナバナやチューリップ、夏にはラベンダーと一年中さまざまな花を楽しむことができます。ハーブせっけんなどを手作りできる体験工房、ショッピング、季節限定スイーツやランチなど、植物以外の楽しみも充実しています。
さまざまな品種のバラが咲く、バラの谷
ウエディングガーデンに咲く純白の「アイスバーグ」
大輪の花が美しい「チャールズ・レニー・マッキントッシュ」
イングリッシュローズガーデンに咲く「ノーブル・アントニー」
施設概要
〒413-0101
静岡県熱海市上多賀1027-8
電話番号:0557-82-1221
休園日:12月、1月の毎週火曜日、12/29~1/3は営業
開園時間:9:00~17:00(入園は16:00まで)
入園料:大人1000円、小人500円
駐車場:無料駐車場あり
秋バラの見ごろ:10月中旬~11月下旬(開花状況は気温により変動するため事前にご確認ください)
神戸市立須磨離宮公園
「ゴールド・バニー」越しに見える王侯貴族のバラ園の眺望。大阪湾が望める
兵庫県神戸市中心部から車で20分ほどの場所に神戸市立須磨離宮公園はあります。大阪湾を望み、バラ、ハナショウブ、ウメなど四季折々の花や紅葉が楽しめる公園です。大正3(1914)年に皇室の別荘として造られましたが、戦火で離宮御殿は焼失。戦後、神戸市に下賜されました。今上天皇のご成婚記念事業として整備が始まり、昭和42年(1967)に自然と美しく調和した近代的な欧風庭園として開設されました。旧離宮の由緒ある歴史にちなみ、欧風噴水庭園には美しいバラが咲き誇る「王侯貴族のバラ園」があります。「プリンセス・ミチコ」「プリンセス・ドゥ・モナコ」「クイーン・エリザベス」など、皇室や王室、芸術家などの名を冠した品種コレクションは、貴人たちの人生に思いをはせることができます。春と秋には約180種4000株のバラが開花し、色鮮やかな花色と豊かな香りを楽しむことができます。
故ダイアナ妃公認の「ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ」。華やかな香りと気品ある美しさ
南大噴水のしぶきが花弁に当たりキラキラと輝く「マチルダ」
フロリバンダ系4品種で彩られたボーダー花壇。近くには宮殿のようなレストハウスがある。写真はピンクの濃淡が美しい「ミュージック」
開園50周年記念のオリジナルローズ「茜離宮(あかねりきゅう)」。濃い燃えるような朱オレンジ色は、須磨の夕日のように美しい。同園でしか見ることのできない特別な品種
施設概要
〒654-0018
兵庫県神戸市須磨区東須磨1-1
電話番号:078-732-6688
休園日:毎週木曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
開園時間:9:00分~17:00(入園は16:30まで)
入園料:15歳以上(中学生を除く)400円、小・中学生 200円
駐車場:有料駐車場あり
秋バラの見ごろ:10月中旬~11月下旬(開花状況は気温により変動するため事前にご確認ください)