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文・編集
園芸通信編集部
キンモクセイ
2019/09/17
その芳香で本格的な秋の訪れを教えてくれる花、キンモクセイ。モクセイ(木犀)の名のいわれは、樹皮が動物のサイ(犀)の皮膚に似ていることから。キンモクセイは古代に中国から渡来したといわれています。変種のウスギモクセイとともに、深まる秋に黄色い花を一面に咲かせ、周囲には甘い香りが漂います。
新宿御苑
おなじみ、明るいオレンジ色のキンモクセイ
江戸時代に信州高遠藩主、内藤氏の屋敷があったこの地に、新宿御苑が誕生したのは1906(明治39)年のことです。皇室の庭園として造られましたが、戦後国民公園となり、一般に開放されました。整形式庭園、風景式庭園と日本庭園の要素を巧みに組み合わせた庭園は、明治時代の代表的近代西洋庭園であり、日本における数少ない風景式庭園の名作です。キンモクセイはイギリス風景式庭園、日本庭園など園内各所に大木があります。イギリス風景式庭園そばには、キンモクセイの変種で花の色がクリーム色のギンモクセイも。キンモクセイとの違いを観察することができます。
見上げるようなキンモクセイの巨木
関東では比較的珍しい、ギンモクセイ
ギンモクセイの香りはキンモクセイより少し弱めで優しい感じがする
ギンモクセイも巨木に育っている
施設概要
〒160-0014
東京都新宿区内藤町11
電話番号:03-3341-1461
休園日:毎週月曜日(月曜日が休日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
開園時間:10月1日~3月14日 9:00~16:30、3月15日~6月30日・8月21日~9月30日 9:00~18:00、7月1日~8月20日 9:00~19:00(入場は閉園の30分前まで)
入園料:一般500円、65歳以上250円、学生(高校生以上)250円、中学生以下無料
駐車場:有料駐車場あり
見ごろ:9月下旬~10月上旬
三嶋大社
いかにも古木の風情が漂う
三嶋大社は古くより三島の地に御鎮座し、奈良・平安時代の古書にも記録が残ります。三嶋神は東海随一の神格と考えられ、平安時代中期「延喜の制」では、「名神大」に列格されました。社名・神名の「三嶋」は、地名ともなりました。2000(平成12)年には、御本殿が重要文化財に指定され、文化的価値の高さも再認識されています。三嶋大社のキンモクセイは、国天然記念物指定。樹齢1200年と推定され、毎年9月上旬と下旬に2度満開を迎えます。正しくはウスギモクセイなので、キンモクセイよりもやや薄い花の色です。
正確にはウスギモクセイ、淡いオレンジ色
満開時には境内が甘い芳香に包まれる
晴天でも、雨天でも楽しめる花
数年前に一部の枝が古くなり切断されているが、徐々に回復
施設概要
〒411-0035
静岡県三島市大宮町2-1-5
電話番号:055-975-0172
休園日:なし
参拝時間:終日
入園料:なし
駐車場:有料駐車場あり
見ごろ:9月上~下旬
麻生原(あそうばる)
何本もの支柱が添えられた巨木
木の大きさが日本一と称されている、「麻生原のキンモクセイ」。正しくはウスギモクセイなので、キンモクセイよりもやや薄い花の色です。麻生原居屋敷観音の境内に茂った大樹であり、樹高約18m、目通りの周り約3m。地上から約4mのところで三支幹に分かれ、枝張りは東北に約9m、 西方と南方に約8m、北方は約11mに達しています。秋の彼岸ごろに黄色の花が2回咲き、開花時期にはその芳香が緑川対岸にまで漂い、多くの見物客を集めます。
こちらも、正確な種類としてはウスギモクセイ
由来を示す石碑が建つ
香りのよさはキンモクセイと同等
満開になると数日で儚く散ってしまう
施設概要
〒861-4618
熊本県上益城郡甲佐町麻生原
電話番号:096-234-1154(甲佐町役場 地域振興課商工観光係)
休園日:なし
開園時間:終日
入園料:無料
駐車場:無料駐車場あり
見ごろ:9月下旬~10月下旬