文・編集
園芸通信編集部
イチョウの黄葉
2019/10/15
イチョウは生きている化石といわれ、その起源は古生代のペルム紀(約2億9,900万年前~約2億5,100万年前)あるいは三畳紀(約2億5100万年前~約1億9960万年前)にさかのぼり、中生代のジュラ紀から白亜紀にかけて最も繁栄した植物の一種です。氷河期を迎えてイチョウ属の多くは絶滅しましたが、比較的暖かかった中国中部地域のものだけが絶滅を免れ、現代に生き残ったと考えられます。現在、イチョウは1科1属1種です。イチョウが日本に渡来した時期ははっきりしませんが、中国から仏教の伝来とともに導入されたということが定説となっています。
明治神宮外苑
明治神宮外苑のシンボルともいえる聖徳記念絵画館といちょう並木。青山通りから絵画館に向かって4列に木々が連なるその景観は東京を代表する風景の一つとなっています。四季折々に美しい姿を見せる並木は11月中旬から12月上旬の黄葉が最も美しく、毎年木々の色づきとともに多くの方が散策に訪れます。平成9年より、黄葉の時期に開催している「神宮外苑いちょう祭り」は季節のトピックスとして各種メディアにも取り上げられ、都心における秋の風物詩として定着し、近年はエリア全体で約180万人を超えるにぎわいを見せています。
施設概要
〒160-0013
東京都新宿区霞ヶ丘町1-1
電話番号:03-3401-0312
休園日:なし
開園時間:終日
入園料:なし
駐車場:有料駐車場あり
見ごろ:11月中旬~12月上旬
イベント:神宮外苑いちょう祭り 2019年11月15日(金)~12月1日(日)、詳細はサイト参照
http://www.jingugaien-ichomatsuri.jp
祖父江(そぶえ)のぎんなん
愛知県稲沢市の特産品として名高い、祖父江のぎんなん。町には樹齢100年を超えるイチョウの大木が多く存在します。町が黄金色に染まる晩秋には、「そぶえイチョウ黄葉まつり」も開催されます。黄金色に染まったイチョウの立ち並んだ素晴らしい風景が一望できます。この地域には伊吹おろしが吹きつけるため、防風林を兼ねて、古くから神社・仏閣・屋敷まわりにイチョウが植えられてきました。現在この実を収穫調整して出荷していることから、祖父江町のギンナンは「屋敷ギンナン」といわれています。ギンナン生産を目的とした栽培は祖父江町が最も古いとされていますが、その歴史は意外と新しく、当町の古老の話では100年ほど前からだということです。次第に大粒種の穂木が広まり、集落全体に普及していきました。その当時接ぎ木された100年以上と思われる大樹が、今も多くの実を付けています。このようなことから、食用を目的に品種の選抜、淘汰(とうた)が行われてきました。祖父江町内で栽培されている品種には久寿(久治)、金兵衛、藤九郎、栄神などがあります。
施設概要
愛知県稲沢市祖父江町
電話番号:0587-32-1352(稲沢市経済環境部農務課農業振興グループ)
休園日:なし
開園時間:終日
入園料:なし
駐車場:有料駐車場あり
見ごろ:11月下旬~12月上旬
イベント:そぶえイチョウ黄葉まつり 2019年11月23日(土・祝)~12月1日(日)、詳細はサイト参照
https://www.aichi-now.jp/spots/detail/322/
御堂筋のイチョウ
御堂筋は大阪を代表する美しい幹線街路であり、イチョウ並木は「近代大阪を象徴する歴史的景観」として平成12年度大阪市指定文化財に指定されています。道路幅44mの御堂筋に4列の街路樹を植えるにあたり、役所内の会議では当時流行していたプラタナスが主流を占めましたが、イチョウを推す少数派もありました。イチョウについては「姿に風格があり、夏の木陰、秋の落葉など季節感の乏しい都会にはこんな季節感がある樹木が必要だ。イチョウは東洋の特産だから、外国人に珍しがられ、国際都市大阪を目指す大阪にふさわしい」と力説され、最終的には、大阪駅前から大江橋まではプラタナス、大江橋から南はイチョウという折衷案が出され、これに落ち着きました。イチョウの植栽は昭和8年に始め、昭和12年の完了までに928本が植えられました。現在では、大江橋北側のプラタナスは全てイチョウに植え替えられています。近年、御堂筋は光のルネッサンスや御堂筋オープンフェスタ等のイベントで活用されるなど、市民ニーズ、社会ニーズの高い道路空間となっています。これらのニーズに柔軟に対応していけるよう、大阪市はイチョウ並木の維持管理に努めています。
施設概要
大阪市中央区北浜3・4丁目~難波3・4丁目
電話番号:06-6469-3857(建設局公園緑化部緑化課)
休園日:なし
開園時間:終日
入園料:なし
駐車場:有料駐車場あり
見ごろ:11月中旬~12月上旬