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連載

ボタン

ボタン

2023/03/28

「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花」と美しさの形容に用いられるほどの花、ボタン。ボタン属は約30種。その中に、園芸種として発達した低木のボタンと草本性のシャクヤクがあります。先ほどの慣用句に、その姿が表現されています。「立てば」に、シャクヤクの分岐せず茎が真っすぐ立つさま。「座れば」に、ボタンの分岐して横にはる樹形が示されています。日本では、古くから初夏の季語、季節を感じさせる花の一つとしても愛されています。そのことから、4~5 月に飾る掛け軸の題材としてなじみが深く、歓迎する意味がボタンの花に込められています。また、縁起のよい花としても知られており、振り袖の絵図として取り入れられるなど、人々の暮らしを彩ってきた花といえます。今回は、各地で見ごろを迎えるボタンのご紹介です。

※2023年3月の情報です。お出かけの際は、事前に公式ホームページなどで最新情報をご確認ください。

国指定名勝 須賀川の牡丹園

中央圃場より望む松並木。老松に囲まれて咲き競う美しいボタンの花。色とりどりのボタンは中咲きの品種が多く、5月上~中旬に見ごろを迎える

須賀川の牡丹園は、江戸時代後期に摂津国(現在の兵庫県宝塚市)からボタンの苗木を譲り受け、栽培したのが始まりといわれています。その後、戦争を乗り越えて種類と株数を年々増やしていき、園内を現在の姿に近い形へとつくりあげていきました。昭和7年には、日本のボタン園で唯一の「国指定名勝」に指定されました。総面積10ha(およそ東京ドーム2倍の広さ)の広大な日本庭園で、ボタンは290種7000株を栽培しており、四季折々の花々と景色が楽しめます。
4月下旬~5月下旬にかけてボタンが咲き誇ります。入り口を入るとすぐに見えるのは、天を突く老松に囲まれて咲き競う美しいボタンの花々。ボタンの優雅さと雄々しい赤松の組み合わせは、言葉で表現ができないほど、奥深い雰囲気を醸し出しています。ボタンは、城や寺院などの襖絵(ふすまえ)、掛け軸に描かれるように「百花の王」です。同園で誕生した品種をはじめ、珍しいボタンを多く有する須賀川の牡丹園に、ぜひ足を運んでみてください。

国指定名勝に指定された圃場に咲き誇るボタンの花。早咲きの品種のため、4月下旬が見ごろ

同園で生まれたボタン「須賀川の微笑」。昭和30年代に生まれ、育成と保護を続け平成22年に一般公募によって命名された。早咲きの中輪、うす紫色の花びら、八重咲き、花びらの内側に淡く紫の斑紋が入るのが特徴。茎は紅紫色で、枝と葉はやや細くなっている

同園で生まれたボタン「希望の光」。自然交雑により採取された種を育成保存し、15年以上のときの流れの中で固定した花を、平成24年に一般公募で命名した。中咲きの大輪、うすいピンク色で八重咲きの花。花の底に紅色が入っているのが特徴

「緑玉香(りょくぎょくこう)」は、花色が緑から白へと移り変わる珍しいボタン。遅咲きで、5月中~下旬に見ごろを迎える

施設概要

〒962-0815
福島県須賀川市牡丹園80番地1
電話番号: 0248-73-2422
休園日:なし
開館時間: 8:30~17:00
入館料:牡丹園のみ有料公開期間中は大人500円、子供200円、団体料金(15名以上)は2割引き適用。有料公開の期間外は無料。 ※隣接する須賀川市フラワーセンター及び須賀川市牡丹会館は年中無料
駐車場:無料駐車場あり。正面駐車場100台、西駐車場1200台
見ごろ: 4月下旬~5月上旬
イベント:ゴールデンウィーク中は市民団体によるイベントあり

東松山ぼたん園

「御国の曙(みくにのあけぼの)」は、ボタンの花の中でも珍しい“切れ弁”(花弁に深い切れ込みがある)の白い花

東松山ぼたん園は、市の花「ボタン」の普及活動の一環として平成2年に開園し、現在では約6500株が植栽されている関東有数のぼたん園となりました。全国各地にあるぼたん園と比較しても、植栽されている株数の多さは日本最大級といえます。
ボタンは、例年4月に色鮮やかな花を付け始め、最盛期の4月中旬~5月上旬には市内外から多くの来園者でにぎわいます。ボタン以外に四季を彩るアジサイやイロハモミジ、ロウバイなどを植栽しています。その他にも園内には、大型複合遊具や芝生広場、展望台などがあり年間を通して来園されるお客様に愛されています。

「島錦(しまにしき)」は、複色のボタンで紅白の美しい絞りが入っている。花それぞれに特徴があり、紅白のバランスが全て異なる

「赤銅の輝(しゃくどうのかがやき)」は、園内で一番新しいボタンの品種。赤と黄色のグラデーションが美しい花

遅咲きの「黄冠(おうかん)」は、5月ごろに見ごろを迎える。大輪のレモンイエローの花弁が特徴。香り高く園内を彩る

園内にある大型複合遊具は、東松山市内で最大級の大きさを誇り、ファミリー層に好評です。

施設概要

〒355-0008
埼玉県東松山市大字大谷1148-1
電話番号: 0493-81-7607
休園日:なし
開園時間:有料期間は9:00~17:00(最終入園時間は16:30まで)。無料期間は終日開放。
入園料:ボタンの開花時期のみ有料。ボタンの最盛期は大人(高校生以上)500円/団体料金(大人20名以上)300円。ボタンの見ごろ終盤は、大人(高校生以上)300円/団体料金(大人20名以上)200円。中学生以下・障がい者手帳をお持ちの方と同伴者1名までは無料。 ※有料期間、見ごろの価格設定は開花状況により決定します。
駐車場:無料駐車場あり(第1・第2駐車場は年中開放、第3駐車場は有料期間中のみ開放)。普通車330台、大型車約5台
見ごろ:4月中旬~5月上旬

大和國 総本山長谷寺

登廊(のぼりろう)に沿って咲くボタン

古くから観音信仰の聖地とされてきた長谷寺は、一年を通じてさまざまな花が咲き誇り「花の御寺(みてら)」と呼ばれ親しまれてきました。特にボタンは有名で、唐の妃が長谷寺の観音様に願いが成就したお礼として長谷寺にもたらされたという伝承があり、150種7000株のボタンが長い登廊に沿って競い合うように咲き誇ります。また、ご本尊は約10mもの高さを誇る日本最大の木造観音像。観音巡りをする多くの参拝者でにぎわい、その霊験は『源氏物語』にも記され「玉鬘(たまかずら)」の章は長谷寺が舞台となっています。
真言宗豊山派(しんごんしゅうぶざんは)の総本山として、全国に3000余の末寺を持つ長谷寺の創建は、朱鳥元年(686年)に道明上人(どうみょうしょうにん)が天武天皇のため、銅板法華説相図(どうばんほっけせっそうず 千仏多宝仏塔、国宝)を西の岡に安置したことが始まりです。奈良時代の神亀4年(727年)に、道明上人の弟子である徳道上人(とくどうしょうにん)が聖武天皇の勅願(ちょくがん)により、十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)を造立しました。

本坊前のボタン園に咲くボタン

登廊のボタン園が山内で一番広い

観音様のいる本堂とボタン

かぐわしい芳香を漂わせるボタン

施設概要

〒633-0112
奈良県桜井市731-1
電話番号:0744-47-7001
休園日:なし
開館時間: 4~9月は8:30~17:00、3月と10~11月は9:00~17:00、12月~翌2月は9:00〜16:30
入館料:大人および中・高校生500円、小学生250円、障がい者手帳をお持ちの方250円と同伴者1名まで割引適用あり。
駐車場:有料駐車場あり。乗用車70台1回500円
見ごろ: 4月中旬~5月上旬
関連イベント:4月15日~5月7日「長谷寺のぼたん」を開催。期間中に法話などイベントあり

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