サカタのタネで働く社員のブログ。社員の日常や商品企画秘話やカタログ制作の裏話などお届けします。
ブリーダー取材こぼれ話「ホウレンソウ」
2024/08/27
こんにちは、サカタのタネ園芸通信編集部です。
そろそろホウレンソウのまき時が近づいてきましたね。今回は、ホウレンソウのブリーダーに取材してきたこぼれ話をお届けします。
ブリーダーとは…新しい品種を開発するのがブリーダーの仕事です。優れた品種を生み出すために、選抜した親同士を組み合わせ、1年間で交配する組み合わせの数は数百にも及びます。
本編は『ブリーダーに聞きました!ホウレンソウ「寒締め吾郎丸®」おいしいホウレンソウって意識したことありますか?』をご覧ください!
――本編では、遊びで水菜のようなホウレンソウを目指して生まれたのが「寒締め吾郎丸」だと伺いましたが、発想がすごいですね。
田中
言われたことだけやっても面白くないからね(笑)品種まで行くものもあるし、行かないのもあるし。狙って作ったと言った方がカッコいいのかもしれないけど、難しいことは全然考えていなくて。そんなのいっぱいあって、商品にならずダメだったっていう方が、実際は多いよね。
――ブリーダーでも、この異常気象でまき時に迷うことはありますか。
田中
正直、今はあります。以前は9月半ばくらいからでも普通に作れたのですが、毎年、暖冬傾向で年々できなくなってきています。昔は10月に種をまいて立ち枯れなんて絶対にしなかったけど、2023年は起きたし、天候が変わってきているのをすごく感じます。10月なのに半袖Tシャツで働いていましたし。夏から突然冬がやってくるみたいのが当たり前になるんじゃないかと思うことさえありますね…。
――ビシッときれいに育っていますが、機械で種をまいているんですか。
田中
ローラーみたいのを転がすと等間隔で穴が空く機械があって、そこに一粒一粒、手でまいています。ちなみにこの「寒締め吾郎丸」は、条間15cm、株間5cmです。
――ホウレンソウの海外事情をご存じでしたら教えてください。
田中
日本の鍋料理ってハクサイのイメージが強いけど、中国の特に北部は火鍋でホウレンソウを使うと聞きました。株の根元が切ってあるものを生でバサッと入れるんだそうです。「寒締め吾郎丸」なら、葉っぱの大小の差があまりなくて大きさがそろうから、日本の鍋も中国みたいなホウレンソウの食べ方をしたらいいんじゃないかな。
アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどは、ベビーリーフというサラダ用の葉としてホウレンソウを食べるのが主流です。入社当時は聞かなかったから、ここ10年、20年くらいに浸透したのかな。日本のベビーリーフの定義はあいまいで、小さいものもベビーリーフって言ったりするけど、アメリカのベビーリーフは、機械で切って収穫して本当に葉っぱだけで軸はほぼゼロです。
一方お隣の韓国では、のり巻きの具材にホウレンソウがよく使われるそうです。ホウレンソウの軸はあんまり主張せず、葉が大きい方が人気みたいです。軸を尊ぶのは日本人くらいなのかもしれないですね。