2016/03/18
ネットメロンを家庭菜園で作るという、ちょっとプロのようなメロン栽培に挑戦するには、栽培のポイントを押さえることが大切です。ここではプランター(鉢)で作る場合と戸外の地植え(畑)で作る場合に合わせてポイントをお伝えします。
苗を注文したら、苗の到着2週間前までに定植の準備を始めましょう。「ころたん」がうまく育つような土作りが決め手となります。堆肥や肥料を施し、よく耕し、土になじませておきます。
- プランター(鉢)は、できるだけ大きなものを用意します。
- 大きさの目安
-
- プランター:深さ25cm以上の大型容器
- 鉢:直径30cm(10号鉢)以上
※苗1株に対して直径30cmの鉢(16L)、2株で長さ73cm以上のプランター(46L)が必要です。
- 野菜用培養土をプランター(鉢)の8割ほど入れます。
※1株あたり15L以上の用土を用意してください。
- 定植2週間前までに完熟堆肥と苦土石灰を散布して深く耕しておきます。
- 量の目安
-
- 完熟堆肥:2~3kg/平方メートル
- 苦土石灰:100~150g/平方メートル
- 定植1週間前まで化成肥料を施し、畝をつくってポリマルチを張ります。
- 量の目安
-
- 化成肥料:約100g/平方メートル
「ころたん」は乾燥を好むので、過湿ぎみに栽培すると、根の張りが悪くなったり、根腐れなどを起こしやすくなり、急な立ち枯れを起こす原因となります。準備の段階から水はけをよくして適した環境を整えるようにしましょう。
ベランダや軒下など、雨が当たりにくい所にプランター(鉢)を置くようにします。
梅雨時の水分管理が難しいので、あらかじめ土に堆肥や腐葉土を入れて畝を高く盛っておきましょう。水はけがよくなり、過湿栽培防止になります。
苗が届いたら、なるべく早く定植します。定植時には根鉢を崩さず、浅めに植え付けることがポイントです。また、定植と同時に支柱を立てて誘引も始めるとよいでしょう。
- 株元に水がたまると病気になりやすくなるので、ポットの土の表面が出るように浅めに植え付けます。
複数株を植える場合は株間を40~60cm取ります。 - 根張りを促すために水をたっぷりやります。
- 株間90cmくらいで、プランター(鉢)栽培と同様に浅めに植え付けます。
- 根張りを促すために水をたっぷりやります。
「ころたん」の植え付けは地温が16℃ぐらいの時期(気温22~23℃)が適しているので、まだ、気温が低い時期に植え付けると、根が十分に成長できません。地温を確保し、根が健康に生育できる環境を用意しましょう。
気温が低い時期に植え付ける場合や、植え付け後の思いかげない気温低下(遅霜)が心配な場合は、ホットキャップや不織布を利用して防寒します。
気温が低い時期に植え付ける場合や、植え付け後の思いがけない気温低下(遅霜)が心配な場合は、ポリマルチを張り、ホットキャップなどを使用して、しっかりと地温を確保しましょう。
「ころたん」は乾燥気味の環境を好むので、水のやりすぎは病気、生育不良の原因となってしまいます。定植後は、土が乾いた頃に水やりを行う程度にとどめ、水のやりすぎに注意しましょう。
植え付け直後は根張りを促すためにたっぷりと水をやりますが、その後の水やりは、土の表面がサラサラとして手につかない程度に乾いてから水をやるようにし、水をやりすぎないように注意します。
植え付け直後は根張りを促すためにたっぷりと水をやりますが、その後の水やりは、雨がしばらく降らない時など、畑が乾燥した時に水をやるようにし、水をやりすぎないように注意します。
植え付け時から7月頃まで、ウリハムシの成虫が葉をかじり株元に産卵することがあります。幼虫がふ化して根を食い荒らすため、果実が肥大する頃に葉がしおれだします。植え付け直後から出始めるので、動きのにぶい早朝を狙って見つけたらすぐ捕殺するか、登録農薬(マラソン乳剤など)を散布して防除します。
着果に耐える根の張りとつる作りが大切なので、追肥を遅れずに行いましょう。プランター(鉢)栽培では水やりで肥料成分が流れ出やすいので、葉の色が淡くなってしまわないように、植え付けから2~3週間後に化成肥料を1株あたり10g程度施します。
苗が成長してきたら、支柱への誘引を兼ねて整枝を行います。根元から伸びる茎を「親づる」、親づるの葉の付け根から伸びる茎を「子づる」、子づるの葉の付け根から伸びる茎を「孫づる」と呼び、主に果実を付けるのは孫づるになるよう整枝します。
-
①摘芯(てきしん)例1:本葉3枚で摘芯する場合親づるの本葉3~5枚の上で摘芯(摘み取り)します。
-
②子づるの整枝 例2:戸外の地植え栽培で本葉5枚で摘芯した場合摘芯後1~2週間頃、親づるの葉の付け根から出た元気な子づるを数本伸ばし、それ以外の子づるの芽を取り除きます。
元気な子づるを1~2本残します。
元気な子づるを3本残します。
-
③孫づるの整枝例3:戸外の地植え栽培で本葉5枚で摘芯した場合子づるの8枚までの葉の付け根から出た孫づるの芽はすべて取り除いてください。9枚目以降の子づる、孫づるは共に伸ばし続けます。
伸びたつるは支柱やネットに誘引します。
そのまま地面に伸ばして栽培できます。
花が咲き始めたら人工授粉を行うと、実付きがよくなります。授粉を確実にするには花粉の活動が高い朝9時頃までに、雄花の花粉を雌花のめしべの柱頭に付けます。収穫日の目安とするため、交配日は記しておくとよいでしょう。
-
・プランター(鉢)栽培 2~4個
・戸外の地植え栽培 8~10個 -
花の下がふくらんでいないのが雄花で、花の下がふくらんでいるのが雌花です。
※雌花は孫づるに付きやすく、親づる、子づるに咲くのはほぼ雄花です。 -
1.雄花の花びらをすべて取り、花粉をむき出しにします。
2.雄花の花粉を、雌花の中心にある柱頭に軽く何回か触れさせます。
果実が大きくなるにつれて養分が果実の方に取られ、つるの勢いが低下しやすいので、着果した後は生育状況をみながら必要に応じて1~2週間ごとに追肥(※)します。
果実がピンポン玉くらいの大きさになったら、化成肥料なら1株あたり10g程度を施し、その後は生育状況をみながら、必要ならば2週間おきに1株あたり10g程度の肥料を施します。
果実が卵大になったら、化成肥料なら1株あたり10g程度をポリマルチのまわりにばらまきます。
※追肥は「ネイチャーエイド」のような有機質肥料の場合は着果後1~2週間ごとに、化成肥料などの場合は2週間ごとを目安に施します。いずれも株の状態をみながら量を加減します。
ふくらんだ果実が手のひらサイズになったら、そろそろ収穫しましょう。交配日からおよそ45~50日が目安となります。ヘタの付け根にできる離層にひびが入ると食べ頃のサイン。不安だったら追熟してもよいでしょう。
果皮が濃黄色になったら収穫適期です。淡い黄色の果実はまだ未熟です。
収穫適期になると、ヘタの付け根にひび(離層)ができます。果実が完熟した目安になります。離層ができるとしだいにヘタから果実が自然に取れそうな状態になります。自然に落ちれば完熟ですが、衝撃で「ころたん」に傷がついてしまう可能性があります。ネットなどで果実を保護し、自然に落ちるのを待ってもよいでしょう。収穫後、数日追熟すると、さらに香りが強く、肉質が柔らかくなります(室温保存)。
「ころたん」栽培のポイントはいかがでしたか。基本を押さえれば、難しいテクニックは必要ありません。日当たりのよい所で、寒さに当てずに育てること。過湿にしないこと。親づるを摘んで孫づるを伸ばすこと。これらを守って、ご家庭でもネットメロンを作ってみましょう。かわいい見た目以上の、爽やかな香りとさっぱりとした甘みのある、立派な完熟ネットメロンを味わってみてください。