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家庭菜園で使える肥料とは

2016/12/22

家庭菜園において、肥料は野菜の生育を大きく左右する重要なもの。しかし、肥料にはさまざまな種類があり、何を使えばいいのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。今回は初心者の方が肥料選びで困らないために、家庭菜園で使える肥料とその選び方について説明いたします。

肥料の種類と特徴

苗から育てる場合や、種が発芽してある程度成長した植物には肥料が必要です。肥料には大きく分けて、2つの種類と特徴があります。

肥料の種類

元肥(もとごえ)
植物を植える前に施す肥料です。固形で穴の底に施し、根に直接触れないように、土をかけてから植えるようにします。

追肥(ついひ)
追加であげる肥料です。土の上からパラパラとあげる固形のものと、水やりの水などに混ぜたり、容器を土に差したりする液体のものがあります。

肥料の特徴

固形肥料
ゆっくり効く緩効性の肥料が多い。苗が丈夫に骨太に育ちます。

液体肥料(液肥)
速効性のある肥料。栄養補給に最適ですが、多用すると苗が細く、芽も葉も柔らかくなってしまい、虫食いが多くなるなど悪循環のサイクルを招くこともあります。

肥料の主な成分

肥料には、どのような成分がどのくらい含まれているのか、明記されています。家庭菜園では、主に以下の3種類の成分をバランスよく含む肥料を使用します。

肥料の三要素
・チッ素(N)… 主に葉の生育に必要な栄養素
・リン酸(P)… 主に花や実の生育に必要な栄養素
・カリ(K)… 主に根や茎の生育に必要な栄養素

チッ素、リン酸、カリは、「肥料の三要素」といわれる、植物を育てるのに欠かせない代表的な成分です。

それぞれ効果のある部位が違うので、例えば、花を咲かせる前に収穫して葉を食べるホウレンソウやコマツナなどは、葉の生育に効果のあるチッ素が多めの肥料を使い、花を食べるナノハナや、花が咲いた後に実を付けるトマトなどの果菜は、リン酸の含有量が多い肥料を使うなど、育てたい植物の部位によって必要な栄養素の数字が高い肥料を選びます。

肥料を選ぶポイント

上記で「育てたい植物の部位によって肥料を選ぶ」とお伝えしましたが、 3つの成分のうち何か1つが特出して高い肥料は、野菜の成長段階で使い分ける必要があるので、初心者の方は、まずはチッ素、リン酸、カリの量が平均的に含まれている肥料を選ぶとよいでしょう。元肥と追肥を兼用できるものもあります。

また、肥料の袋には「野菜向き」など、適した用途が記載されているので、必ず育てる植物に合わせた肥料を選びましょう。中には、花の生育を促す骨粉のように、リン酸の含有量がチッ素やカリに比べてとても多い肥料もありますので、肥料を購入する際は含有成分と成分濃度(数値)を確認するようにしましょう。

固形肥料と液肥を必ず併用する

野菜をバランスよく元気に育てるには、そのときの状態に合わせ、固形肥料と液肥を使い分けることが大切です。初心者のうちは元肥と追肥の両方に使える肥料を選べば、植物の成長に合わせて肥料の成分や銘柄までは変えず、同じものを使用し続けて問題はありません。

ラベルに記載してある使用分量を守る

肥料の袋の裏のラベルには使用方法が明記してあります。濃縮されて栄養価が高いものは少量、薄い成分のものはある程度の量を使用する、液肥は希釈倍率通りにするなど、ラベルに書かれている使用分量を必ず守りましょう。

効果の持続期間を確認する

肥料の袋のラベルには、効果の持続期間も必ず記載されています。栄養素である肥料を切らすと野菜の生育が衰えるので、肥料の効果が持続する期間を踏まえて肥料を用意します。特に、土が乾きやすいプランター栽培では水をたくさんやるため、肥料の成分が流れ出てしまうので、切れ目なく追肥を与えることが重要になります。

また、植物によっても肥料の必要量は違うので、育てる植物に応じて使い分けることも大切です。

肥料を多く必要とする野菜
・トマトなど株が大きく育つ野菜
・果菜など一生が長い野菜

肥料をそこまで必要としない野菜
・収穫の早い葉物野菜やハツカダイコン
・根に根粒菌(肥料がなくても植物が育つ微生物)を持つマメ科の野菜

肥料を施すタイミング

苗から育てる場合や、種が発芽してある程度成長した植物には肥料が必要です。一般的には、元肥として苗を植える約2週間前と、追肥として苗の植え付けをした後、約2週間後から数回に分けて肥料をやります。

弱っているときは様子を見る

元気がなく弱っている野菜はさまざまな機能が低下しているため、肥料は強い刺激となる可能性があります。そのようなときは、すぐに肥料をやるのではなく、まずは病気になったり、虫が付いていないか葉の裏までしっかり確認をして、病害虫が付いているようであれば適用のある薬剤を散布します。もし、病害虫が付いていないようであれば、水やりの頻度や置き場所等の原因を考えましょう。

まとめ

家庭菜園を楽しむために肥料は必要不可欠ですが、育てる植物によっては必要としている栄養素や使い方が異なり、「元気になって」と思いを込めて肥料を使っても逆効果となってしまうことがあります。
人が病院で診察を受けてから処方箋をもらうように、植物もどんな健康状態なのかをよく観察してから、健康状態に合った肥料を与えるようにしましょう。

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