2017/02/23
つるをうまく扱おう
キュウリは野菜の中でも生育が特に早く、最盛期にはつる先が1日で5、6cmも伸びる上に葉も大きいため、整枝、誘引作業が重要な野菜になります。また、キュウリは親づるだけでなく子づる、孫づるの節にも雌花(果実)を付けるため、適切な整枝を行わないと雌花が付かず、収穫できる果実が少なくなってしまいます。こまめに整枝、誘引を行うことで、より多く果実を収穫することができます。
支柱は畝の上に合掌式に立て、ネットを張ります。親づるはネットに巻き付けて垂直に誘引します。子づる、孫づるはひげが伸びて支柱やネットに巻き付くため、基本的に誘引は不要です。
乾燥が嫌いなキュウリは定期的な水やりを
仕立て方は親づる1本仕立てとし、5~6節までの子づると花は除去します。7節以降の子づるは、下位節(地面から60cm程度)では本葉1枚、中位節(~120cm程度)では本葉2枚、上位節(120cm~)は本葉1枚で摘芯します。親づるは手の届く高さで摘芯します。孫づるは基本放任としますが、勢いがよい場合には本葉4~5枚で摘芯します。
古い葉は順次葉かきを行い、通気性をよくし、病害虫の防除に努めます。また葉が混み合う場合にも適宜、葉かきを行うことで採光性がよくなり、生育や作業性が向上します。キュウリは水を多く好むため、乾燥させないように定期的に水やりが必要です。また、果実の採り遅れは生育の低下を招くので、まめに畑へ通って収穫が遅れないようにしましょう。
定期的な追肥が必要なキュウリ
キュウリは葉や茎を成長させながら、果実を随時収穫する野菜です。このため、安定した収穫を目指すならば生育が弱らないように定期的な追肥が必要です。
追肥時期は1回目を収穫開始時に行い、その後は7~10日間隔で繰り返し行います。目安としては1株から5~7本収穫したら追肥が必要になります。追肥量は速効性肥料を1平方メートル当たり一握り(約30g、チッ素成分で2~3g/平方メートル)が目安です。追肥場所は通路または畝の肩部分に施し、穴肥も効果的でしょう。追肥後に降雨が少ない場合は水やりも行います。
生育が極端に衰える場合には液肥を併用すると回復が早くなります。それでも生育が回復しない場合は負担となる果実や花を早く採ります。摘果、摘花、果実の採り遅れをなくし、水分要求量の高いキュウリは乾燥に注意しながら、成長のバランスを取っていきます。
実をいつまで収穫したいかで決める品種選び
品種選びの大きなポイントになっている「実がずっととれる」かどうか、すなわち株がいつまでも元気かどうかの命題については、もともとの草勢(株の持ち)や耐病性に加え、果実のなり方が大きく関係しています。ここでは品種をなり方で分類し、それぞれの品種の特徴と使い分けについて解説します。
キュウリの花は雌花にはめしべだけ、雄花にはおしべだけを付ける単性花です。1つの株には雄花、雌花がそれぞれ咲く植物です。通常、伸びたつるの節のところに必ず花が付きますが、この花は雄花か雌花のどちらかとなります。果実はこの雌花になります。しかもキュウリは単為結果といって、雄花の花粉がなく、交配しなくても、雌花が咲けばそこに実がなる性質を持っています。つまり果実の数は雌花の数で決まるわけです。
雌花は花弁の付け根から茎の間にすでに小さいキュウリが付いていることで見分けがつく。この小さいキュウリが大きな果実へと成長する
品種は雌花の付き方で大きく2つのグループに分けられます。雌花と雄花が混在する「飛び節成り」タイプと、先人たちの品種改良により生まれた、全ての花が雌花になる「節成り」タイプです。
タイプによる実付きの違い。雌花の付き方で大きく2つのタイプに分けられる。雌花と雄花が混在する「飛び節成り」タイプと品種改良により生まれた全ての花が雌花になる「節成り」タイプ。健全に生育すると伸びたつるの節のところに必ず花が付く。雌花が咲けば果実がなる性質が持つため、果実の数は雌花の数で決まる
長い期間楽しめる「飛び節成り」タイプ、スタートダッシュ型の「節成り」タイプ
「飛び節成り」タイプは、伸ばしたつるの節々に咲く花の30~50%が雌花となります。このタイプは果実の収穫は連続しませんが、時間をおいて飛び飛びになることで、果実の負担が少なく、株の体力が落ちにくくなります。体力のある分、側枝は旺盛に伸び、病気にもかかりにくくなるため、結果的に長い期間、栽培を楽しむことができ、トータルの収量も満足いくものとなります。
- ・ずーっととれるキュウリ
- ・よしなり
- ・うどんこ病に強いキュウリ
- ・夏バテ知らず
- ・味さんご
- ・夏さんご
- ・黒さんご
「ずーっととれるキュウリ」の葉かき前後の様子。「ずーっととれるキュウリ」は非常に草勢が旺盛で、葉も大きめ。その分、大きな葉やつるが込み合いやすいので適宜葉かきをして内部まで光や風を通りやすくしてやるとよい
「節成り」タイプは、生育初期から各節に連続して雌花が咲きます。それが全て着果していくため、スタートから数多くの果実がなります。その分、株の体力は果実の方に引っ張られるため、子づるなど側枝はあまり伸びず、葉の枚数も増えなくなります。この性質は、それらを整理する摘芯、摘葉作業は簡単になる利点といえますが、半面、収穫した果実の分、水や追肥をしっかり施さないと樹がばてやすくなります。このように「節成り」タイプは短期的な栽培でその特性を発揮します。親づるを中心に収穫できるので、菜園では支柱やひもによる誘引で十分栽培ができ、プランターや鉢栽培にも向いています。
- ・フリーダム
- ・スタートダッシュ節成
- ・ミニきゅうり サラ
「フリーダム」の節成りの様子。「フリーダム」は春植えではほぼ節成りだが、比較的わき芽が出る。また、側枝も旺盛に伸びる。生育初期は非常に収量が上がるが、その分、しっかり水やりやお礼肥えを施さないと株がばてやすくなる
初めにどさっと採れる品種、長い間収穫が続く品種などがありますが、どちらが一番ということではなく、目的に合った品種選び、そしてこまめな整枝をおすすめします。さあ、この夏はキュウリを作り、新鮮でみずみずしい採れたてキュウリをばりばり楽しみましょう。