2017/02/23
つるを繁茂させないように注意しよう
カボチャはわき芽の生育が旺盛であり、放置すると繁茂してしまい作業性が悪くなり、果実への養分供給も減ってしまいます。また、着果節位が生育や果実の品質に大きく影響し、人工授粉による交配作業も必要なため、栽培管理がとても重要になります。
カボチャの仕立て方は親づる1本仕立て、親づる1本と子づる1本の2本仕立て、子づる2~4本仕立て(親づるを5節程度で摘芯)などありますが、基本的な管理は同じになります。主枝のわき芽は基本的に全てかき取ります。わき芽の生育は旺盛なので、できるだけ小さいうちに芽かきを行います。特に一番果の着果節以下のわき芽は確実に除去しましょう。
適切な位置で交配して着果させよう
一番果の適切な着果節位は12~15節です。低節位(9節以下)で着果すると果実が小玉になり生育も劣るため、雌花が付いた場合には摘花するとよいでしょう。このとき雄花を摘花してしまうと、交配ができなくなるので注意が必要です。10節以降に雌花が付いた場合には人工交配を行います。雄花の花弁を取り、雌花の柱頭に花粉をしっかりと付けましょう。交配は開花当日の朝9時までに行わないと着果不良になりやすいため、注意が必要です。
生育が良好であれば、一番果以降の雌花にも着果するので同様に交配を行います。
土壌の違いに応じて施肥を考える
カボチャは栄養成長と生殖成長を同時進行させていく野菜です。この成長のバランスをよくするために追肥は重要です。土壌の違いを見極め、肥効の違いを知りましょう。砂地では肥料切れが早くなり、埴土(しょくど)では肥効の持続が見られ、壌土では肥培管理がしやすくなります。
追肥時期は、1回目は着果確認後に早く施し、果実の肥大を促します。2回目以降は約20日間隔で草勢を見ながら施し、草勢の維持に努めます。このほか、植え付け後、つるが1m程度伸びた時点で草勢が弱い場合は追肥しておくとよいでしょう。追肥量は、チッ素とカリ、あるいは3要素配合の速効性肥料を1平方メートル当たり一握り(約30g、成分で各2~3g/平方メートル)程度を施します。
追肥場所は、根はつるの先端まで伸びているので、つる先またはマルチ際に施します。土壌が乾き過ぎると肥料の効きが悪くなるので、施肥後に水やりして肥効を高めます。大玉で品質のよいカボチャを収穫するには栄養成長と生殖成長をバランスよく生育させることが重要です。
適期を見計らって収穫しよう
強風で主枝が倒れると不定根がちぎれてしまうため、つるから出たひげが絡まるためのわらや「ワラのかわりシート」などを、つるの下に敷きましょう。また、果実の下にマットなどを敷くと色回りもよくなり、病気のリスクも減ります。果実のへたがコルク化したら収穫適期となります。
収穫後は日陰で雨の当たらない、風通しのよいところで7~10日ほど乾燥させると日持ちがよくなり、食味もよくなります。この作業をキュアリングといい、果実の切り口・傷口からの腐りを防止、追熟により糖分を増やして食味をよくする、などのために行われます。収穫直後のカボチャはでんぷんの割合が多いため、甘みがあまり強くないのですが、キュアリングを行うと、でんぷんが徐々に糖に分解されるため、甘みが増し、食味がよくなります。
キュアリング後は切り口が完全に乾いたら食べごろです。気温が30℃を超える場所では腐りやすくなるため避けます。また、直接地面の上に置かず、すのこなどの上に置くと腐りが少なくなります。
疫病などの病気を防ぐため、株元にポリマルチをしたり、つるの下にわらを敷いたり、果実の下にはマットを敷くとよいでしょう。
品種別の収穫の目安
おいしいカボチャを収穫するには、完熟した果実を収穫することが重要になります。一般的には開花した日からの日数を目安に果実を収穫します。主な品種による完熟日数は以下の通りです。
- 「栗坊」
開花後約40日 - 「くりほまれ」
開花後約50日 - 「雪化粧」
開花後約55日
若採りすると極端に味が落ちるので、完熟した果実を収穫することを心掛けましょう。
「土手カボチャ」といわれるように、他の果菜類に比べて栽培は比較的簡単ですが、品質のよい果実を収穫するには成長のバランスをよくすることが大切です。草勢の判断をしながら、追肥とわき芽処理を確実に行いましょう。