初心者向け!ジャガイモの栽培方法・育て方のコツ
2017/04/27
家庭菜園では、春一番に行うのがジャガイモの植え付け。ジャガイモはそれほど手をかけなくても比較的簡単に育てることができる人気の野菜です。今回は、ジャガイモの栽培方法と上手な育て方のポイントについてご紹介します。
ジャガイモの植え付け時期
ジャガイモは春と秋の2回、植え付け時期があります。
・春 … 3月~4月中旬くらいまで
・秋 … 8月下旬~9月
※植え付け時期は関東標準になります。
初心者に向いているのは春の植え付け。秋の植え付けは、以下の理由などから、栽培や収穫が難しくなります。
・種イモの販売期間や植え付け期間が短い
・夏~秋の暑さで種イモが腐りやすい
・冬の寒さが早いとジャガイモが大きく育ちにくい
ジャガイモの育て方とポイント
ここでは春の植え付けを前提に、ジャガイモ作りで失敗しないためのポイントを家庭菜園の流れに合わせてご紹介します。
事前準備のポイントと注意点
プランター
プランターを使用する場合は、深さ30cm以上の深型プランターを用意しましょう。横幅が30~40cmで1株、80cm程度で2株植えられます。土は市販の野菜用培養土が使用できます。
培養土の袋
プランターを置くスペースがないという方は、収穫量は少なくなりますが、培養土の袋で育てることもできます。袋の底に排水用の穴をいくつか開けるのを忘れないようにします。
畑
通常は石灰を入れて土の酸度調整をしますが、ジャガイモは酸性の土が好きな野菜なので、ジャガイモを育てる土には石灰を入れないようにします。植え付けの1週間以上前までに1㎡あたり完熟堆肥2~3kgと成分8-8-8程度の化成肥料や有機配合肥料を100gほど施してよく耕しておきます。
1. 種イモを購入します
種イモは12月下旬ごろから販売が始まりますが、冬は寒さで種イモが腐ってしまうことも多く、初心者は暖かくなる3月以降に購入して始めるのが安心。種イモは、ホームセンターや園芸専門店などで4月中旬くらいまで購入が可能です。
初心者におすすめの品種
ジャガイモには「男爵薯(だんしゃくいも)」、「メークイン」、「キタアカリ」、「インカのめざめ」などさまざまな品種がありますが、品種による育てやすさにはそれほど差がないので、料理での使いやすさや食感の好みなどで、好きな品種を選んで大丈夫です。
種イモの選び方
農林水産省の検査機関の検査に合格し、品質がきちんと保証されているのが種イモです。スーパーなどで売られているジャガイモではなく、合格証の付いた種イモを購入するようにしましょう。より初心者が失敗しないための選び方のポイントは、切らずにそのまま植えられるくらい小さな種イモを選ぶこと。目安としては、1kg20個程度入っているものがおすすめです。
2. 芽出しをします(浴光催芽)
植え付けの2~3週間前から、種イモの芽出しをします。毎日朝から夕方くらいまで、日なたに種イモを並べ、太陽光に当てます。夜は寒いため家に取り込みます。これを2週間くらい行っていると種イモから芽が出てきます。緑や赤、紫色の硬い芽が出てくればOKです。
芽出しは必ずしも行う必要はありませんが、芽出しをすると種イモをそのまま植え付けたときよりも発芽がそろって、その後の生育がよくなります。
3. 種イモを切ります
1個が30~50g程度の種イモは切らずにそのまま植え付けますが、約50g以上の大きい種イモは、芽出し後、大きさに応じて切ります。切り方は、1片が平均40g程度になるように、芽が出ている場所を残して縦に切ります。切った種イモは切り口から腐るのを防ぐため、切り口に「草木灰」や「ハイフレッシュ」などを付けてから、直射日光で1日天日干しして乾かします。長時間乾かすとしなびてしまうので注意しましょう。
4. 種イモを植え付けます
種イモを水はけのよい場所に植え付けます。幅60~70cmで深さ10cmくらいの植え溝を掘り、30cm間隔で植え付けます。植え付ける場所が深すぎると芽が出にくくなるので、土が5cm上にのるくらいが目安です。
5. 芽かきをします
ジャガイモから出てきた芽が5cm程度に伸びたら、硬くてよい芽を数本残して残りは引き抜きます。通常は2~3本残すのがよいといわれていますが、残す本数は好みで大丈夫です。種イモが動かないようしっかり押さえ、土の下の方で芽を切るようにしましょう。
6. 1回目の土寄せと追肥をします
芽かきが終わったら軽く土寄せを行います。土に追肥を混ぜた後に土寄せをすると、効果的です。また、雑草が生えてきたら適宜抜きましょう。
7. 病害虫対策をします
暖かくなるとテントウムシダマシなど、害虫が出始めるので防除します。害虫は見つけたら捕殺が基本ですが、直接捕まえるのに抵抗がある方は天然成分を使用した殺虫剤などを散布してください。
薬剤を使う前の防除法としては、葉裏や株元の落ち葉の下など、細かく株を毎日観察し、卵や群生する幼虫を見つけたらすぐに捕殺することです。
病気で気を付けたいのは「そうか病」と「疫病」です。
そうか病
ジャガイモに出やすい病気です。そうか病にかかるとイモの表面にかさぶたのような病斑ができます。健全な種イモを選び、連作を避け、未熟な堆肥を使わないこと、アルカリ性の資材を控えると防ぎやすくなります。一度病気になったら防除できませんが、皮を厚くむけば食べることができます。
疫病
葉が黒くなります。疫病になっても収穫でき、状態がよければ食べることも可能ですが、雨などで病原菌が土壌に残ると腐ります。
8. 2回目の土寄せと追肥をします
草丈が30cmほどに成長したら、2回目の土寄せと追肥をします。1回目同様、土に追肥を混ぜた後で土寄せをしましょう。ジャガイモが大きくなってくると土から出てしまうことがあります。太陽光に当たると緑色になり有害物質であるソラニンの含有量が増えるため、土から出たジャガイモは土寄せをして埋めるようにしましょう。
緑色になったジャガイモはソラニンを多く含むため、食中毒を起こすので食べないようにしてください。
9. 花が咲いたら取ります
花が咲くと種ができ、トマトのような実がなります。大きな影響はありませんが、ジャガイモの成長に必要な栄養分が実の方に取られてしまうので、できれば花は取り除くようにしましょう。
10. 収穫します
一般的には6月中旬ごろが春植えジャガイモの収穫時期ですが、品種や地域、天候により収穫時期が変わってきます。葉の7~8割が黄色くなって枯れてきたころを収穫目安としてください。ジャガイモは雨天や雨上がりに収穫すると腐りやすいので、晴天が続いて土が乾いているときに掘り上げます。
掘ったジャガイモは風通しのよい日陰で土がさらっと落ちるまで乾かし、早めに取り込みます。長時間日に当てると水分が飛んでシワシワになったり、ソラニンの含有量が増えたりするので注意しましょう(ソラニンは早く収穫しすぎても残るので注意が必要です)。
収穫後は、すぐに食べるか、貯蔵する場合は風通しのいい冷暗所に保管します。また、収穫したジャガイモを種イモにすると病気が発生しやすいので、種イモとして使わないようにしてください。
家庭料理には欠かせないジャガイモ
ジャガイモの栽培方法と上手な育て方のポイントについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。プランターで栽培でき、それほど手間もかからないので、初心者でも比較的育てやすい野菜です。
肉じゃがやコロッケ、カレーなど家庭料理には欠かせないジャガイモ。自分で育てたジャガイモを使って料理する楽しみを味わっていただければと思います。
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