2017/07/06
旬のものを、一番よい旬の時期に収穫し食べられること、それが自身で作る家庭菜園の醍醐味(だいごみ)であり、その野菜を手にしたときの幸せは計り知れません。
旬の野菜には、その季節に体が必要としている栄養がたっぷり含まれておりその時期にしかない野菜のおいしさに出合えます。また野菜の皮や茎など捨ててしまいがちな部分には、栄養、食物繊維やミネラル、ビタミンも豊富に含まれています。栄養価が一番高い旬の時期に、丸ごと食べることは、健康維持や体調管理に効果抜群といえるでしょう。体調がよくなり元気でいられることが、心の元気にもつながり、体も心も、もっともっと元気になることができます。家庭菜園の野菜は、なによりも家族の「元気の素」であるといえますね。
消化の働きを助けてくれる食材として有名なダイコン。胃腸の働きを整えるジアスターゼという酵素を含み、消化を促進するだけでなく、胃もたれや胸やけを予防する働きがあり、胃を丈夫にしてくれます。年末年始などで食べ過ぎたときには、ダイコンで胃腸を休めてあげると消化の調子もよくなり、元気になるでしょう。消化の他にも、喉の痛みや痰(たん)を抑える働きもあり、喉や胃の熱を冷ましてくれます。
ダイコンのピリッとする辛み成分には血液をサラサラにし、体の巡りも改善してくれる作用があります。辛み成分は、実だけでなく皮にも豊富に含まれています。また、葉には、ビタミンA・C・E、カルシウム、鉄などが豊富に含まれているので、葉も一緒に食べるとよいでしょう。葉だけでなく皮には、ビタミンCも多いので皮も利用すると栄養満点です。
[材料(2人分)]
- ・ダイコン … 130g
- ・ニンジン … 40g
- ・長ネギ … 20g
- ・ハクサイの葉 … 20g
- ・豚バラ肉 … 50g
- ・塩 … 肉に対して1%
- ・水 … 300cc
- ・塩 … 少々
[作り方]
- 1. ダイコン、ニンジンは洗って乱切りにし、ハクサイの葉はざく切りにする。沸騰した湯で下ゆでしておく。
- 2. 長ネギは 5cm長さに切る。
- 3. ラップの上で豚肉の重さの1%の塩をまぶして30分おき、1cm厚さに切る。
- 4. 鍋に水、全ての材料を入れて火にかける。沸騰したらあくを取り、弱火で30分程度煮込む。
- 5. 野菜が軟らかくなったら、塩で味を調えて完成。
[材料(2人分)]
- ・ダイコン … 200g
- ・塩 … 少々
- ・片栗粉 … 大さじ1/2
- ・油 … 適量
[作り方]
- 1. ダイコンは2~3cm 厚さに切り、表面に格子状に切り込みを入れる。
- 2. ダイコンの両面に塩少々をふり、10分おく。
- 3. ダイコンの水分を拭き、片栗粉をまぶす。熱したフライパンに油を引き中火で両面をじっくり焼く。
- 4. 3.を皿に盛り付け、ニラソースをかける。
[ニラソースの作り方]
- 1. ニラ40gは沸騰した湯でさっとゆで、水に取る。水気を絞り、小口切りにする。
- 2. ボールに酢・しょうゆ各大さじ1、砂糖小さじ2、ごま油少々を入れてよく混ぜ、1のニラを加えてさらに混ぜ合わせる。
ブロッコリーは、胃腸を丈夫にし、虚弱体質によい働きを持っています。体力のない人や風邪をひきやすい人、病後の回復期の人には元気をつけてくれる食材です。特にビタミンCがレモンよりも豊富に含まれており、風邪予防だけでなく、肌荒れやシミを防ぎ、肌を若々しく保ち、老化防止や耳鳴り、抜け毛などエイジングケアにはうれしい効果も。また、がん予防にも優れているといわれています。
つぼみの部分だけでなく、茎にも栄養が豊富に含まれているので、硬い皮をむき、無駄なく一緒に調理することをおすすめします。また、カリフラワーにも胃腸の調子を整える働きがあるので、一緒に食べると彩りもよく体への効果もアップします。
[材料(2人分)]
- ・ブロッコリー … 100g
- ・カリフラワー … 100g
- ・クルミ … 30g
- ・白すりごま … 小さじ1
- ・砂糖 … 大さじ1
- ・しょうゆ … 大さじ1
[作り方]
- 1. ブロッコリーは洗って小房に分けて、沸騰した湯で塩ゆでしておく。
- 2. カリフラワーも洗って小房に分け、沸騰した湯に酢を入れてゆでておく。
- 3. クルミは包丁でみじん切りにする。(いっていないクルミの場合は、フライパンでいる)
- 4. ボウルに白すりごま、砂糖、しょうゆを合わせ、ゆでておいたブロッコリー、カリフラワーを入れてあえる。
- 5. 器に盛り、完成。
野菜とあえるナッツは、お好みで市販されているロースト済みのアーモンドやカシューナッツでも
鉄が豊富に含まれているホウレンソウ。血液の成分となる鉄の含有量は、他の野菜と比較すると圧倒的に多く、鉄の吸収を助けるビタミンCや葉酸も豊富に含まれているため、貧血予防・改善に効果的だといわれています。特に鉄不足になりやすい女性には欠かせない食材です。貧血だけでなく、血液不足で顔色が悪い、唇の色に赤みがないなどの症状にもよいとされています。
血液だけでなく、体に潤いも与えてくれる作用もあるため、皮膚や髪の毛の乾燥、白髪や抜け毛が気になる、ドライアイなどの症状にも働きかけてくれます。また、胃腸にも働きかける作用があるため、腸を潤して便秘を改善したり、口の渇きや二日酔いの改善にもおすすめです。
[材料(2人分)]
- ・ホウレンソウ … 150g
- ・合いびき肉 … 200g
- ・トマト … 2個
- ・タマネギ … 200g
- ・パプリカ … 50g
- ・ニンニク … 1かけ(10g)
- ・カレー粉 … 大さじ1.5~お好み
- ・塩 … 小さじ1/3
- ・しょうゆ … 大さじ1/2
- ・砂糖 … 小さじ1/4
- ・油 … 適量
- ・コンソメ … 小さじ1
- ・お湯 … 200cc
[作り方]
- 1. ニンニク、タマネギはみじん切り。トマトは洗ってざく切りにする。パプリカは1cm角に切る。
- 2. ホウレンソウは洗って沸騰した湯で軟らかくなるまで塩ゆでする。水に取り、水気を絞り、みじん切りにする。
- 3. 鍋を熱して油を引き、ニンニク、タマネギを入れて炒める。薄茶色に色づいたら、トマトを入れてつぶしながら炒める。トマトの形がなくなるまで炒め合わせたら合いびき肉、カレー粉、塩、コンソメを入れて炒める。肉の色が変わったらお湯を加えて、ふたをして約10分弱火で煮込む。ふたを開けてホウレンソウ、パプリカ、しょうゆ、砂糖を加え、パプリカに火が通ったら完成。
- 4. 最後に塩で味を調えて完成。
トマトをつぶしながらペースト状になるまで中火で炒める。トマトに含まれるうまみ成分で味に深みがでる
鍋ものには欠かせないハクサイ。成分の約95%を水分が占め、カリウムが豊富なことから、利尿作用に優れ、高血圧の予防にもよいとされています。体内の水分バランスを保つ作用があるので、余分な水分を出してむくみ改善に効果を発揮する一方、乾燥しているときには潤す効果もあります。
また、胃腸に働きかけるので、消化を元気にしてくれます。二日酔いなどで胃に熱がこもっているときには、胸やけや胃のむかつき、もやもやした感じを取り除き、すっきりさせる効果があります。解毒作用もあるので、二日酔いには欠かせないですね。ハクサイの外の色が濃い部分には、ビタミンCも含まれているので、鍋物やスープなどで栄養を逃さずに食べるのがよいでしょう。ついつい飲み過ぎたり、食べ過ぎたりしてしまう年末に向けて、ぜひ育てておきたい野菜ですね。
[材料(2人分)]
- ・ハクサイ(芯) … 200g
- ・ザーサイ … 60g
- ・ごま油 … 大さじ2弱
- ・酢 … 小さじ1
[作り方]
- 1. ハクサイの芯は太めの千切りにする。ザーサイは 5mmの細切りにする。
- 2. ボウルにハクサイの芯、ザーサイを入れて手でもみ込む。なじんだらごま油、酢を入れてよく混ぜ、全体がなじんだら完成。
芯と葉を切り分け、芯を食べやすい大きさにカット。切り落とした葉はポトフなど、別の料理に活用
水分量の少ないソラマメは栄養がギュッと凝縮されています。胃腸の働きを整え丈夫にし消化吸収を促すので、胃弱の人にはおすすめの食材。体内の余分な水分を取る働きもあるので、むくみ改善にも効果的。でんぷんやタンパク質が主成分であり、体力を補うアスパラギン酸も豊富なのでスタミナ不足の解消にも一役買ってくれるでしょう。
スタミナアップで有名なニンニクですが、辛み成分のアリシンが体内でビタミンB1と結合するとその吸収率を高め、エネルギー代謝をスムーズに行います。また、体を温める作用があり、疲労回復や冷えが原因の風邪、食欲不振や下痢、血行不良などに効果的です。刺激が強い食材でもあるのでとり過ぎには注意が必要です。
胃腸を丈夫にし、消化をよくする働きがあり、臓器を健やかにしてくれます。また、目にもよく眼精疲労やドライアイ、目のかすみにも作用します。乾燥にも効果があり、めまいや爪の変形など栄養不足や栄養の滞りが原因の症状にも作用するといわれます。ベータカロテンが豊富な野菜として有名ですが、ベータカロテンは必要に応じてビタミンAに変化する栄養素で、体の抵抗力を高めたり、夜盲症や目の乾きに有効です。皮の近くに栄養が豊富なので皮も一緒に。
胃腸の働きを整え、胃腸の虚弱に有効的な野菜です。臓器の働きを高める作用もあるので、疲労回復やスタミナアップにも効果的です。また、キャベツには、ビタミンUが特に多く含まれ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防、傷ついた粘膜にも効果があるといわれています。食物繊維の含有量も高く、便秘改善にも作用します。抗がん作用のあるビタミンCも豊富。冬キャベツは厚みがあるのでスープや煮込みに最適。栄養が溶けた汁も一緒に味わえ、たっぷりと食べられます。
北山 彩子 (きたやま・さいこ)
薬膳料理研究家。薬膳フードデザイナー
学習院女子短期大学家庭生活学科食物専攻 卒業後、多忙な会社員生活を送る中で、食の大切さを認識し、薬膳に興味を持つ。国立北京中医薬大学日本校中医薬膳専科および中医中薬専攻科を卒業し、同中医臨床研究科に所属。国際中医師、国際中医薬膳師、中医薬膳師の資格を持つ。東京・自由が丘にて主宰する薬膳料理教室「FOOD and LIFE」やテレビ・雑誌出演を通じ、誰にでもできる身近で家庭的な薬膳料理を提案している。
ホームページ:http://foodandlife.co.jp/