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初心者向け!トマトの栽培方法・育て方のコツ 初心者向け!トマトの栽培方法・育て方のコツ

初心者向け!トマトの栽培方法・育て方のコツ

2017/08/10

多くの方が家庭菜園で一度は作ってみたいと思う人気の野菜「トマト」。トマトには大玉トマト・中玉トマト・ミニトマトなどがありますが、大玉トマトの栽培は少し難しいため、初心者の方には実が付きやすく、収穫量も多いミニトマトがおすすめです。
今回は、家庭菜園で人気のミニトマトの栽培方法・育て方のコツをご紹介します。

家庭菜園で初心者におすすめのミニトマトの品種

ミニトマトの実の形は丸形や楕円形などがありますが、作りやすさは変わらないため、お好みで選んで問題ありません。初心者の方におすすめの品種は「アイコ」と「とってもアイコ(R)」です。

アイコ

愛らしい形と群を抜くおいしさで、家庭菜園で超人気のプラム形トマト。比較的丈夫で実も割れにくく、作りやすさも折り紙付きです。

ミニトマト アイコ

とってもアイコ(R)

「アイコ」より一回り小さく、酸味が少なくて甘みが強い、とにかくたくさん採れるプラム形のミニトマト。成長の勢いが「アイコ」よりも落ち着いているので、より育てやすいです。

ミニトマト とってもアイコ

ミニトマトの育て方とコツ

ここでは、ミニトマトの栽培で失敗しないためのポイントを中心に、家庭菜園の流れをご紹介します。ミニトマトの苗は5~6月に植え付け、7月ごろから収穫が可能です。

事前準備のポイントと注意点

プランター、土、支柱など、ミニトマト栽培で必要な園芸グッズ

プランター

1株に対して直径・深さともに30cm以上の大きなサイズのものが必要です。

プランター栽培の場合は野菜用の培養土を使います。安価な土は避け、園芸専門店などで売られている安全で品質のよい土を使用するようにしましょう。

支柱

苗の植え付け時に立てます。茎を長さ150~180cmの支柱に留め、茎が折れたり苗が倒れたりしないよう安定させましょう。初めから支柱で安定させると早く根付いてよく育ちます。

1. 5月上旬ごろに苗を購入します

種から育てるのはハードルが高いため、ある程度育ったミニトマトの苗を購入します。早いお店では3月ごろから苗の販売が始まりますが、寒さで失敗しやすいのでゴールデンウイークを過ぎてから購入するようにしましょう。

初心者の方が育てやすい苗の状態

・1番花が咲いていて、蕾が付いているもの
・葉が8枚くらい付いていて、葉と葉の間の節が広く間延びしていないもの

2. ミニトマトの苗を植え付けます

5月上旬から遅くても6月上旬くらいまでに苗を植え付け、支柱を立ててしっかりと根付かせます。急に気温が下がって寒くなったとき(目安は生育限界である15度以下)は苗に不織布などを掛けたり、夜間はプランターを軒下に移動するなどして防寒対策をしましょう。

3. 枝を誘引し、整枝します

基本はつるを1~3本仕立てにして、つるの伸びに合わせてひもで支柱に固定しながら誘引をします。ポイントは、枝葉を茂らせ過ぎずに風通しよく育てること。わき芽は手で自然に折り取れる時期に早めに取りましょう。ハサミを使うと、刃から病気が伝染するリスクが高まるので、ハサミは使わないようにしましょう。

わき芽は、指でつまんで思い切りよく根元からポキッと折る

わき芽は、指でつまんで思い切りよく根元からポキッと折る

4. 病害虫対策をします

病気は梅雨時の疫病、ウイルス性のモザイク病などに気を付けましょう。疫病なら薬剤の使用である程度は防除できますが、モザイク病は症状によっては株ごと処分する必要があります。

黄色に変色し、葉を巻き込んだようになる黄化葉巻病

ウイルス病の一つ「黄化葉巻病」にかかったミニトマトの葉

害虫はアブラムシ、アザミウマ類、ハダニなど、実が付き始めたらカメムシやタバコガなどにも注意が必要です。食品成分由来の薬剤で、ある程度の防除が可能です。

5. 収穫します

ミニトマトの実は開花から50日ほどで収穫できます。一般的にミニトマトは8月末くらいまで収穫を楽しむことができますが、よい土を使い、きちんと肥料やりができていれば、秋や初冬まで収穫を楽しめる場合もあります。

収穫したミニトマト

初心者が家庭菜園でミニトマトの栽培を成功させるポイント

実が付くまでは肥料を控えめにします

実が付く前に肥料をやり過ぎると栄養成長が盛んになり、葉や茎に養分が偏るため、実が付きにくくなります。実が付くまでは肥料のやり過ぎに注意しましょう。

1段目の実が大きくなってから初めて追肥をします。化成肥料なら1株に15g程度、液体肥料では規定の希釈率に薄めてプランターの底から流れ出る程度にたっぷりやります。その後は、化成肥料を3週間おきに、液体肥料を1~2週間おきに定期的に施します。

最初の花(1番花)に実を付けます

ミニトマトは栄養成長(茎を伸ばして葉を付ける)と生殖成長(実を付ける)を繰り返すことで、長い間収穫することができます。このサイクルをうまく継続するためには、1番花に実を付けることがとても大事です。確実に1番花に実が付くように育てましょう。人工授粉は必要ありません。天気のよいときに、よく開いた花を指先で軽くぴんぴんとはじいて自家受粉させるとよいです。

1番花に実が付いたミニトマト

1番花に実が付いたミニトマト

余分な枝を伸ばさずにきちんと整枝をします

株の成長がよく枝葉が茂り過ぎると、風通しや日当たりが悪くなり、花が咲かない、実が付かないなどの原因になります。余分な枝葉は切り取るようにしましょう。

水やりをしっかりと行います

「水やりをあまりしない方が、トマトが甘くなる」という話を聞いたことがある方もいると思いますが、水が少ないと必要な養分が吸収できず、病気になるリスクが高くなるほか、カルシウム欠乏により青い実の先が黒くなる「尻腐れ症」になる可能性もあります。土が乾いたら水をたっぷりあげるようにしましょう。

尻腐れ症の対処法

尻腐れ症は、一度出てしまった症状を治すことはできませんので、見つけた際にはすぐにその実を取るようにしましょう。また、カルシウム剤でカルシウムを補填することで防止できます。便利なスプレータイプもあるので、発見したらすぐに葉の裏表全体に散布してください。症状が広がるのを防ぐことができます。その後も実をこまめにチェックして、見つけ次第、すぐに対処するようにしましょう。

尻腐れ症になったミニトマト

尻腐れ症になったミニトマト

家庭菜園で大玉トマトの栽培が難しい理由

大玉トマトはミニトマトと比べて、整枝や芽かきなどの手入れがより大切です。条件が悪いと実が付きにくく、実を付けても雨などで劣化したり割れてしまったり、収穫前に落ちてしまうことも。また、水やりが足りないとカルシウム欠乏による「尻腐れ症」になりやすく、事前に予防することが必要です。

家庭菜園で初めてトマトを育てるなら、こまめな手入れが必要な大玉トマトよりも育てやすいミニトマトの方が初心者の方にはおすすめです。

ミニトマトの栽培に慣れたら大玉トマトに挑戦!

ミニトマトの栽培方法・育て方のコツをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。ポイントを押さえておけば、初心者の方でも十分に育てることができます。

ミニトマトの栽培に成功したら、次は大玉トマトにチャレンジしてみるのもいいかもしれません。大玉トマトはミニトマトの栽培よりも難易度は高くなりますが、基本的な育て方は同じです。家庭菜園で収穫した鮮やかな大小のトマトを、ご家庭の食卓で楽しんでいただければと思います。

今回ご紹介した品種・園芸グッズ

ご紹介した商品の一部は、サカタのタネ公式オンラインショップでもご購入が可能です。

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