2018/09/25更新
たねダンゴを作り始めたきっかけは、2011年3月11日におこった東日本大震災の復興支援活動の一環でした。荒れ果てた現地を目の当たりにし、「花を見て少しでも元気になってもらいたい!」その気持ちで、日本家庭園芸普及協会が、種を被災地などに贈りました。
しかし、小さな種をまくことは小さな子どもたちやお年寄りにとっては、なかなか難しいようでした。風ですぐに飛んでいってしまったり、雨に流されてしまったり。そんな時、グリーンアドバイザーの方が、保育園や仮設住宅などで、種入りの泥ダンゴ作りを始めました。それが、とても楽しそうだったのです。
その後、試行錯誤をしながらたねダンゴが完成していきました。誰にでも簡単に、楽しくできる、新しい種まきの誕生です! 今や全国各地に広まるたねダンゴ。一つのたねダンゴから複数の芽が出て、花束のように花を咲かせます。花壇や鉢をはじめ、傾斜地での植え付けもできるのでさまざまな場所で広がっています。
- ダンゴにするので重さもあり、風で飛ばされたり、雨で種が流されにくく、傾斜地での花壇作りにも適しています。
- ダンゴに保水性・保肥性があるため、植物の初期生育を助けます。たねダンゴは、種の成長をやさしく守る「種のゆりかご」なのです。
- ダンゴを作ること自体が楽しい!泥んこ遊び感覚で楽しめます。
- ダンゴを作りながら交流ができるので、子どもからお年寄りまで、誰でも参加できるイベントになります。幼稚園や学校、地域のイベントなどに活用できます。
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けと土
池などの湿地に堆積した植物が腐敗して分解したもの。肥料分に富み、水もちがよい半面、水はけが悪いので一般的な園芸にはあまり使われませんが、粘り気のあるダンゴを作るのに欠かせない材料です。
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赤玉土
園芸に欠かせない基本用土です。けと土だけでは軟らかくなり過ぎてしまうので、硬さを調節するために混ぜて使います。
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肥料
元肥としてダンゴの中に練り込んで使います。植物の根から出る酸で徐々に成分が溶け出し、効果が持続するタイプの肥料が適しています。
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花の種
数種類を混ぜると失敗が少なく、花期が長くなります。発芽率が保証された高品質な種を使いましょう。
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二価鉄イオン水
二価鉄イオン水を利用します(希釈して使用)。ダンゴをこねる時、けと土と赤玉土に加えます。
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ケイ酸塩白土
ケイ酸塩白土は、植物の生長に必要なミネラルの補給や根腐れ防止に役立ちます。ダンゴの中に入れて使う粒状のタイプ(ミリオン(R)等)と、できあがったダンゴの表面にまぶす粉状のタイプ(ハイフレッシュ等)の2種類があるとよいでしょう。
けと土と赤玉土の粉を混ぜてこねる
けと土7に対して赤玉土の粉3の割合で混ぜて二価鉄イオン水を少しずつ足していき、赤玉土の塊がなくなり粘土細工ができるくらいの硬さになるように全体がなじむまで混ぜ、野球ボール大に丸めます。生地がボソボソやベチャベチャだとうまくダンゴになりません。
二価鉄イオン水を使うことで、植物の栄養吸収を助け、発根や成長を促すことができます。
こねた生地からダンゴを取り分ける
野球ボール大の生地に分け、ダンゴを作ります。ダンゴ一つはキンカンくらいの大きさに丸めましょう。
ダンゴに肥料を入れる
できたダンゴに穴を開けて中心に肥料をひとつまみ入れ、もう一度丸めます。粒状のケイ酸塩白土があれば、この時、肥料と一緒にひとつまみ入れておきます。水分を含んだケイ酸塩白土は時間をかけてゆっくりと膨張するため、ダンゴの土が徐々に崩れて、花壇やプランターの土になじみやすくなります。
ダンゴに花の種をつけて完成!
丸めたダンゴに種をつけます。上側と下側に10~20粒ずつが目安。多過ぎても少な過ぎてもよくないので注意しましょう。種をつけたら、もう一度手のひらで丸めて種をダンゴに埋め込むようにします。
最後に粉末のケイ酸塩白土をダンゴの表面にまぶしておくと、植物の成長に必要なミネラルの補給や根腐れ防止に役立ちます。またケイ酸塩白土をまぶした白いダンゴは、花壇に植えつける際、置いた場所がよく分かるというメリットもあります。
種のおすすめ混合比率
品名 | 混合比率(%) |
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コスモス 緑化用混合 | 0.5 | 百日草(ジニア)大輪混合 | 2 |
百日草(ジニア)ポンポン混合 | 1 |
クレオメ 混合 | 1 |
千日紅 混合 | 1 |
マリーゴールド フレンチ混合 | 1 |
葉げいとう 混合 | 0.5 |
たねダンゴを扱う際の注意点
- 植えつけ作業で移植ゴテを使う場合、けがに注意を払う必要があります。
- 荒れ地や法面などへの植えつけは無理せず、健康な人が行いましょう。作る人の体調に十分な注意を払いましょう。
- 高齢者や認知症の方が対象の場合は、介助人が補助作業を行ってください。「たねダンゴを作ってみよう!(2)」までの作業をあらかじめ介助人が済ませておくと、作る人に過度な負担がない楽しい作業になります。
- 特に認知症の方が対象の場合は、誤食などに十分な注意を払いましょう。
花壇やプランターの土づくり
花壇でもプランターでも事前の土づくりが大切です。緩効性肥料を施してよく耕しておきます。
荒れ地や法面などでは、たねダンゴ一つに対し、移植ゴテで直径10cm、深さ15cm程度の穴を掘り、元肥を多めに入れて土と混ぜておきます。
いよいよ植えつけです
たねダンゴは植えつけ前に軽く平らにつぶします。こうすることでたねダンゴが花壇やプランターの土となじみやすくなります。
つぶしたたねダンゴは、頭が見えるくらいを土に埋めましょう。たねダンゴを並べる時は、春まきで約40cm、秋まきで約30cmの間隔をあけましょう。作ったたねダンゴをすぐに植えつけない時は、容器に入れてラップなどで覆って冷暗所に置き、1、2日くらいで埋め込みます。長く保管すると乾燥したり、芽が出たりして失敗します。
春まきの場合は、発芽から開花までの期間が短く約2カ月後に満開になります。秋まきでは、満開になるまでに植えつけ後、6カ月ほどの日数が必要です。
下記の花以外にも、帝王貝細工(ヘリクリサム)なども適しています。
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百日草(ジニア)
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コスモス
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マリーゴールド
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葉げいとう
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千日紅
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クレオメ
下記の花以外にも、ゴデチヤ、アカバナカスミソウ、サポナリア バッカリアなども適しています。
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セントーレア
(矢車菊) -
アグロステンマ
(ムギセンノウ) -
花菱草
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白花かすみ草
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リナリア(姫金魚草)
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ネモフィラ
インシグニスブルー
上の写真は、2014年福島県南相馬市の休耕田で色とりどりに咲き誇る花たちです。この美しい風景もたねダンゴによって作られました。こうした花壇作りにトライしてみませんか?
「たねダンゴ」は公益社団法人日本家庭園芸普及協会の登録商標です。
「たねダンゴ」の文言を利用する時は、同協会に連絡しましょう。
公益社団法人 日本家庭園芸普及協会TEL:03-3249-0681