2018/02/08
ガーデンの「夏バテ」予防のポイントは、日差しに映える鮮やかな花色と「葉」の魅力。初夏から夏の終わりまで、美しい庭を長く楽しむためのおすすめ品種をご紹介します。
初夏は花が多くても、盛夏に入ると人間同様にガーデンも夏バテすることがあります。夏こそ元気で美しい庭を楽しむために、上野ファームでは、より鮮やかな花色を積極的に選ぶようにしています。その方が、強い日差しに色が映えて庭が元気に見えるからです。
夏の後半の庭を美しく見せるためにもうひとつ意識して大切に考えていることは、植物の「葉」です。花はもちろん重要ですが、植物を庭で観賞する期間をトータルで考えると花が咲いている期間はそれほど長いものではありません。そう考えると花を観賞している期間より圧倒的に開花前と開花後を合わせた「葉」を観賞する期間の方が長いのです。そのためカラーリーフや斑入りなど、花と葉の魅力を併せ持つ品種や、花後も乱れずに葉がきれいな品種ということを意識して選ぶことで魅力的な夏の庭を作ることができます。
今回も、夏秋号同様、数多くの宿根草の中から丈夫で扱いやすいものを厳選して、皆さんがすぐに実践できるおすすめの組み合わせをご紹介します。
日差しの強い夏の庭にもよく映える赤やオレンジ、黄色など見ているだけでも元気が出てくるようなビタミンカラーで組み合わせた植栽です。鮮やかな色のヘメロカリス クリムゾンパイレーツをポイントカラーにすることでガーデン全体の色合いにメリハリを出すことができます。ヘメロカリスの細葉は開花前から装飾的にとても美しいの で、ガーデンの手前に配置するのがおすすめです。それと合わせて開花時期が長く育てやすいヘリオプシス プリマバレリーナがベストマッチ。少し柔らかい表情を出すために八重咲きが豪華なサポナリア ロゼア プレナを並べています。さらに華やかさを加えるなら、まるで太陽のようなオレンジ色のエキナセアサンダウンをヘメロカリスと合 わせてみるとさらに魅力的な植栽になります。
- ヘメロカリス クリムゾンパイレーツ
- ヘリオプシス プリマバレリーナ
- サポナリア ロゼア プレナ
- エキナセア サンダウン
洗練されたスパイダー咲き
ヘメロカリス クリムゾンパイレーツ
細弁のスパイダー咲きは他の宿根草と相性よくとけ込みます。深みのあるクリムゾンレッドの花は初夏のガーデンの主役にもなります。
端整なセミダブルでよく咲く新品種
ヘリオプシス プリマバレリーナ
初夏から夏に次々に整形花を咲かせ、花弁数の多い、重ね咲き改良種です。草姿はコンパクトで暴れず、性質は強健で毎年よく咲きます。
ボリューム感たっぷりハーブフラワー
サポナリア ロゼア プレナ
シャボンソウとも呼ばれるソープワートの八重咲き種で、房咲きのバラのようです。地下茎でよく増え、切り戻しで繰り返し咲きます。
強い日差しを受けて鮮やかに発色する
エキナセア サンダウン
端麗なシングルの大輪花です。咲き始めはやや薄めのオレンジ色で、咲き進むにつれて花芯部の赤みが増して一層鮮やかになる作りやすい品種です。
長い観賞期間を考えて、葉に特徴がある植物を積極的に利用することで、花咲く前の段階から美しい庭を楽しめるように組み合わせた特別な植栽デザインです。シーズン後半に開花を始める、銅葉がとても美しいユーパトリウム チョコレートを背景にしながら、それと対比させるように斑入りの葉が涼しげな宿根フロックス クリームドミントを手前に配置することでお互いが魅力的に見えてより引き立つ存在になります。一番手前にはコンパクトなエキナセア ピンクダブルデライトで華やかさを演出します。フロックスの隣に合わせたヘリオプシス バーニングハートは開花が進むにつれて黄色の花の中心部にオレンジのグラデーションが広がります。さらに花色を引き立てる銅葉も併せ持つ今までにない魅力的な品種です
- エキナセア ピンクダブルデライト
- 宿根フロックス クリームドミント
- ユーパトリウム チョコレート
- ヘリオプシス バーニングハート
ピンクの八重咲きの名花
エキナセア ピンクダブルデライト
多くの品種が登場しているエキナセアの中でも、毎年よく咲いてくれる定番品種として評価が高いです。ソフトピンクの花は切り花としても美しく楽しめます。
夏花壇に涼を呼ぶ
宿根フロックス クリームドミント
柔らかいクリーム色の斑の葉は、生育期間通して美しく、花がない時期でも華やかです。花穂は他の斑入り品種より大きめで見応えがあります。
丈夫なカラーリーフプランツ
ユーパトリウム チョコレート
和名「銅葉フジバカマ」。ブロンズリーフと「アゲラタム」のような白花とのコントラストが美しい品種。夏の強い日差し等で葉を傷めることなくカラーリーフを観賞できます。
太陽の下で映えるゴールデンイエローとレッドアイのバイカラー
ヘリオプシス バーニングハート
「サマーナイト」の改良種。花形と花色が大幅に改良され、葉は紫色がかり黒軸でコントラストが美しい。耐暑性、耐寒性ともに抜群です。
ピンク系をベースにして華やかさも出しながら、落ち着いた色調でまとめた魅力的な植栽デザインです。小さな赤紫の花が細かな穂になって咲く西洋ミソハギ ドロップモアパープルの手前に、通常のエキナセアとはちょっと違う花びらと葉を持つエキナセア ロッキートップ ハイブリッドを組み合わせることで、エキナセアの輪郭がよりはっきりと引き立ちます。最前列には肉厚の葉とこんもりとした形が新鮮な表情を作るセダム オータムジョイとイエローゼノックスを入れています。より華やかさをポイントで加えたいときは、明るいマゼンタピンクの花色と他のフロックスにはないシャープな花びらの形を持つ宿根フロックス クレオパトラをエキナセアの隣に配置してみるとより華やかさと鮮やかさがプラスされます。
- 西洋ミソハギ ドロップモアパープル
- 宿根フロックス クレオパトラ
- エキナセア ロッキー トップ ハイブリッド
- セダム オータムジョイ&イエローゼノックス
立派な花穂の西洋ミソハギ
西洋ミソハギ ドロップモアパープル
ミソハギの割にはやや大きめの花で見応えのある花穂になり、開花期間が長めです。花がらを早めに摘み返 り咲きを楽しみます。
セミダブルのスター咲き
宿根フロックス クレオパトラ
気品が漂う珍しいセミダブル咲きの珍品種。深い切れ込みのある丸弁花は、鮮やかな濃色の房咲きになり、初夏の庭にとても映えます。甘い香り。
シンプルな一重咲きが新鮮味あり
エキナセア ロッキー トップ ハイブリッド
通常のエキナセアと異なる種との交雑品種です。可憐な雰囲気の草姿で、水はけよく植え込むと夏もあまり休まず咲き続けます。
その独特の色彩がガーデンで映える
セダム 2種セット
内容/セダム オータムジョイ、セダム イエローゼノックス
ピンクの定番品種と、珍種の黄花品種のセット。日なたを好み、乾燥に耐える強健種です。
一度は作ってみたいと憧れるホワイトガーデン。白という色は強弱があまりないため、とても難しいのですが、成功の秘訣は表情が違う白の花を集めることです。 ドーム型に咲くエキナセア ミルクシェイク、その後ろにはあえてシンプルな一重のエキナセアホワイトスワンを配置します。同じエキナセアでも表情と草丈が違うだけでとても魅力的な組み合わせになります。さらにまん丸な花が魅力的なエキノプス スターフロストを背後に入れると、同じ白でも個々の魅力が光るホワイトガーデンを作ることができます。エキナセアの隣にリアトリス フロリスタンホワイトを加えることで、さらに表情豊かに。
- エキナセア ミルクシェイク
- エキナセア ホワイトスワン
- リアトリス フロリスタンホワイト
- エキノプス スターフロスト
個性的なフォルムで人気の高いルリタマアザミ
エキナセア ミルクシェイク
エキノプスを背景に加えると、庭の印象が大きく変わります。庭でも、切り花やドライフラワーでも楽しめる定番種。
ナチュラルガーデンの定番種
エキナセア ホワイトスワン
シングル咲きで端整な花は、飽きのこない定番種です。初夏から秋まで咲き続ける強健なエキナセアです。
爽やかな雰囲気 いつも人気の定番宿根草
リアトリス フロリスタンホワイト
長い穂状の花穂は、他にはない独特のシルエットで、ホワイトガーデンを一層盛り立てます。
個性的なフォルムで人気の高い「ルリタマアザミ」
エキノプス スターフロスト
エキノプスを背景に加えると、庭の印象が大きく変わります。庭でも、切り花やドライフラワーでも楽しめる定番種。
上野 砂由紀(うえの・さゆき) 「上野ファーム」を拠点に富良野「風のガーデン」や上川町「大雪 森のガーデン」などのガーデン監修、植栽デザインを手掛けているガーデナー。北国の環境が作り出す庭を「北海道ガーデン」と考えて、庭作りの魅力を全国に発信している。