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タネまきから始めよう 草花栽培 キンギョソウタネまきから始めよう 草花栽培 キンギョソウ

草花をタネから育て、芽が出て、やがて花が咲く。この上なく楽しいことです!
今回は寒さにも強く、香りも楽しめる金魚草(キンギョソウ)をご紹介します。心躍るような花姿でカラフルで愛らしい花の開花を待って、タネまきから始めましょう。

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楽しむ

あふれる香りの花、キンギョソウ

独特の花形を持ち、色とりどりの花を咲かせるキンギョソウは、切り花や花壇に広く利用されているゴマノハグサ科の草花です。南欧や北アフリカの地中海沿岸地方が原産地の多年草ですが、園芸的には一年草として取り扱われています。

属名である「アンティリヌム」は「鼻に似た」という意味で、特異な花の形から名付けられたものです。和名の「金魚草」も英名の「スナップドラゴン」も花の形から名付けられたものですが、日本ではこの花を「金魚」に、英国では「竜の口」に見立てた感覚の違いに妙に納得させられます。

キンギョソウ

さてこのキンギョソウをイギリスで「スナップドラゴン」という名前で呼び始めたのは女性たちで、子どもの遊び道具にもなったようです。まだ幼く、気も弱く、カエルや野生動物などを捕まえられなかった子どもは、キンギョソウをペット代わりにしました。花の両端を軽く握り、竜の口のようにパクパク開いたり閉じたりさせて遊んだようで、キンギョソウの花は、母親が子どもを遊ばせる格好のおもちゃで、かつてイギリスの田舎で見られた母と子のほほ笑ましい光景だったそうです。

キンギョソウ

キンギョソウは花色が豊富で、しかもその花色は鮮やかでとても美しいものです。この美しい花には、あふれるほどの甘い香りもあり、私たちの身も心も癒やしてくれるに違いありません。キンギョソウの魅力は豪華で美しい花色と、甘い香り。一度はタネからぜひ育ててみたい草花の一つです。

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品種を知る

バラエティーに富んだ品種群を持つ一年草で、その金魚のような愛らしい花形で、多くの人に愛されています。四季咲き性の品種も増え、用途に合わせさまざまなシーンで活躍します。

  • アスリート ミックス
    アスリート ミックス
    育てやすい人気品種。花穂が長くボリュームたっぷり!
    サカタのタネが育成した一代交配の極早生種。茎の伸長性に優れ、ボリュームのある花穂となります。
  • ソネット ミックス
    ソネット ミックス
    花壇に、鉢植えに、切り花に大活躍のニーハイ(膝丈)タイプ
    ボリュームのある花穂が魅力。しっかりとした茎で倒れにくく花壇におすすめ。花持ちがよいので切り花にも。
  • トゥイニー ミックス
    トゥイニー ミックス
    優しい色合いが魅力
    水彩画のような優しい色合いのペンステモン咲き。使いやすいニーハイ(膝丈)タイプなので、花壇にも切り花にも重宝します。
  • ファルファレ ミックス
    ファルファレ ミックス
    美しさ抜群の大輪花!一重のペンステモン咲き
    ペンステモン咲きの極早生品種。大輪の花が花穂に密生します。切り花用に改良され、茎は硬く長く伸びます。
  • パレード ミックス
    パレード ミックス
    色彩豊かで、ボリュームたっぷり
    切り花用に改良された、茎が硬く、生育旺盛で作りやすい品種。花は大きく花穂に密生し、わき芽が少なく、芽かきはほとんど不要です。
  • 高性一代交配系 混合
    高性一代交配系 混合
    丈夫で作りやすい
    切り花用に改良された、花茎が丈夫で花持ちのよい品種。色鮮やかなミックスです。
  • フローラルシャワー ミックス
    フローラルシャワー ミックス
    花壇やコンテナ向きのわい性種
    四季咲き性が強く、タネまき後約50日で開花します。草丈が低く、鉢植えや花壇植えにおすすめです。
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育てる

タネまき

発芽適温は20℃前後で、春まき・秋まきいずれも可能です。秋まきは9月上旬~10月中旬が適しますが、しっかりした株張りでボリュームのある花を咲かせるには9月末までにまけばより安心で、確実です。もちろん10月中旬までタネまきできます。タネは非常に微細なので覆土はせず、受け皿に水を入れて下から吸わせるようにし、直径9cmくらいの素焼き鉢にまくのがおすすめです。鉢に用土を8分目まで入れ、平らに表面をならした後、均一にタネをばらまきします。秋とはいえ高温にならないように、できるだけ涼しい環境下で管理します。

タネまき

タネはばらまきし、覆土はせず、水は底から吸わせる

プロのアドバイス

まきどきである秋は台風のシーズンなので、雨、強風の避けられる場所で管理します。発芽後は速やかに受け皿の水を捨て、徐々に日に当て、直射日光に慣らします。子葉展開後は鉢土をやや乾かしぎみに管理すると、根張りのしっかりした苗に育ちます。

育苗

タネまき後、1週間程度で発芽してきます。

苗が密に生えると徒長しやすいので、何回かに分けて間引くようにし、本葉2~4枚になったら直径6~7.5cmポットに1本ずつ仮植えして育苗します。あるいは苗を間引かずに、子葉が展開し、本葉が出始めたころに6cmポットかトレーに1本ずつ移植することもできます。苗が小さいので、移植時は先端を細く削った箸を利用すると作業がラクです。移植後2週間ほど経過したら、週に1度液肥を与え、しっかりした苗に育てます。

育苗

本葉が2~4枚ほど出たらポットに1本ずつ植える

育苗

密に生えたところは間引き、苗を徒長させないようにする

プロのアドバイス

幼苗時は十分な水やりが必要ですが、過湿に弱いので、水のやり過ぎに注意してください。移植後に液肥を与えますが、幼苗時は濃い肥料では根が傷みやすいので、規定濃度よりやや薄めの濃度で与えるのがおすすめです。

定植

日当たり、水はけのよい場所が適し、土質はあまり選びませんが、花穂の長いしっかりした花を咲かせるためには、有機質に富む肥沃な土壌準備が必要です。堆肥や腐葉土などの有機物、元肥として化成肥料を入れ、よく耕して土づくりをしておきます。秋にタネをまいた苗は寒くなるまでに定植します。定植間隔は一季咲き性品種は20~25cm、四季咲き性品種は15~20cmにします。鉢に植える場合は直径18cm鉢なら3株、21cm鉢なら4~5株程度を目安にします。いずれの場合もポットに根が回ったら速やかに植え替えます。なお比較的寒さに強い草花ですが、真冬は霜よけをした方が安心です。

定植
プロのアドバイス

切り花用品種は本葉7~8枚のころに本葉を4~6枚(2~3節)残して芯を摘むと枝数が多くなり、開花時は見応えがあります。

開花

切り花用品種は育苗時、強い風に当たると株が倒伏しやすくなり、そのままにしておくと茎が曲がって直りません。茎が伸び出してきたら、早めに支柱を立てます。鉢植えの株は、開花前の冬の育苗期間にしっかりした株に育てておくことが、春の立派な花穂につながります。過湿に気をつけ、乾いたら十分に水を与え、2週に1度液肥を水やり代わりに与えます。切り花にする場合は、1花穂が4~5輪くらい開花したころが切りどきです。なお花壇用の「ソネット」は草丈が30~50cmになるので、切り花としても楽しむことができます。

開花
プロのアドバイス

気温が高くなってくると乾きが早く、水切れを起こしやすくなるので、用土の表面が白く乾いたらたっぷり水を与えます。開花中は肥料が必要なので、定期的に液肥を与えましょう。咲き終わった花がらは早めに摘んでやると見栄えもよく、次の花が充実して咲きます。

『園芸通信』2011年10月号「タネまきから始めよう!草花栽培 キンギョソウ」および『家庭園芸』より再掲
2018年2月22日更新
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著者紹介
菅野政夫

菅野政夫(かんの・まさお)

1952年山形県生まれ。神奈川県立相模原公園副園長、サカタのタネグリーンハウス館長。1973年坂田種苗株式会社(現(株)サカタのタネ)入社後、試験場勤務20年以上、オステオスペルマムなど栄養系植物の栽培・育種に携わる。

JADMA

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