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タネまきから始めよう 草花栽培 アサガオタネまきから始めよう 草花栽培 アサガオ

草花をタネから育て、芽が出て、やがて花が咲く。この上なく楽しいことです!
今回は夏の朝露の中で、新しい花を輝くように咲かせるアサガオをご紹介します。今年の夏、凛と咲く爽やかな姿を楽しみに、タネまきから始めましょう。

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楽しむ

朝な朝なに輝くアサガオ

夏の朝を爽やかに彩ってくれるアサガオは、日本の気候風土に溶け込み、日本人にはなじみの深い情緒豊かな花です。あまりにも日本的な花のため、わが国固有の花かと思われますが、実は中国より奈良時代に渡来したものです。

アサガオ

当初は薬草としてもたらされましたが、この花に寄せる日本人の美意識が、アサガオを大変色彩豊かな花に育て上げてきました。変化朝顔、肥後朝顔、そして大輪朝顔などの個性的な園芸種が次々と生まれてきました。各地に独自の愛好会が結成され、アサガオ栽培の熱は、江戸時代から明治へと時は移り、今日まで続いています。文豪夏目漱石が旧制熊本五高時代に、アサガオに黄色の花が咲いたというニュースを題材に詠んだとされる俳句が残されているほどです。

また1900年に「メンデルの遺伝法則」が再発見されると、日本独自の変化朝顔が遺伝研究の貴重な材料となり、日本の遺伝学の発展にも大いに寄与したといわれています。

アサガオ

アサガオの開花には一定時間の夜が必要で、一般には日没後10時間目に開花します。開花が必ず朝であるのは、夏季にはそれがちょうど夜明けと一致するからです。なお、アサガオの開花には夜の長さだけでなく、温度も深く関わり、30℃以上の高温下では、一晩中暗いところに置いても花は開かず、気温が低くなるほど、短い夜の時間で開花する性質を持っています。(一晩中街灯がついているような場所に植え付けると、暗い夜の時間がなくなるため開花しませんので、植える場所に気を付けましょう)

今年の夏は早起きして、アサガオの花とじっくり向き合ってみませんか。

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品種を知る

アサガオは代表的な春まき一年草。マルバアサガオとの交雑種から曜白で花持ちのよい画期的な品種が、次々に作り出されています。冬の間にカタログをよく見て来夏に作る品種を決めておきましょう。

  • 暁の混合
    暁の混合
    あんどん仕立てに適する名花
    超巨大輪。葉に斑が入ります。つるがあまり伸びないので、あんどん仕立てや鉢植えでトレリスにもおすすめです。
  • 富士の混合
    富士の混合
    美しい星咲き大輪種 午後まで開花
    コントラストが美しい星咲き大輪種。午後まで開花する性質を持ち、垣根、花壇、あんどん仕立てに向きます。
  • 浜の混合
    浜の混合
    つるがよく伸び垣根にも適する巨大輪
    迫力ある巨大輪です。つるの伸びがよく、垣根やあんどん仕立てにも適します。花色は単色、覆輪、絞りとバラエティーに富み、葉はエビス葉で涼しげな斑入りです。
  • 桔梗咲き 混合
    桔梗咲き 混合
    花形の整った変化咲きアサガオ
    一重~八重咲きの桔梗を思わせる変わり咲きです。
  • ヘブンリーブルー
    ヘブンリーブルー
    鮮やかな青色が大人気!
    「天上の青」を意味する品種名の通り、澄んだ青色に魅了されます。多花性でつるの伸びがよく、緑のカーテンとして最も広く用いられています。
  • スカーレットオハラ
    スカーレットオハラ
    あでやかで印象的な色
    情熱的な濃紅色の花は、1花茎に3~5輪ほど房状に付いて晩秋まで次々と咲き続けます。
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育てる

タネまき

亜熱帯植物のため、ある程度気温が上昇するのを待ってタネをまきます。四国、九州では4月中~下旬、関東、関西、中国地方では5月上旬以降、山陰、北陸、東北地方では5月中~下旬、北海道では6月上旬がまきどきです。アサガオのタネは外皮が硬いので、発芽処理済みのタネ以外は、タネの先端の尖っている部分を爪切りなどで傷をつけるようにします。直まきか鉢まき、あるいは箱まきとし、1cmくらい覆土します。

タネまき

直径6~7.5cmポットに2粒ずつまく

プロのアドバイス

タネを一晩水に浸してからまくと、発芽がよくそろいます。また、タネの黒いすじのある部分を上にし、腹を下に、先端の尖った方が上になるよう、ピンセットで1粒ずつ丁寧に斜めにまくと、より発芽・生育がよくなります。

育苗

発芽するまでは、日陰の場所に置き、鉢土の表面が白く乾いたらさっと水やりを行い、乾かさないよう管理します。タネまき後4~5日で発芽するので、十分に日に当て、苗が徒長しないよう注意します。鉢にまいたものは双葉が出たら、生育のよい苗を残すよう間引きます。箱まきの場合は、子葉が展開した直後に移植を行います。移植が遅れると植え傷みするので、発芽後早めに移植をし、本葉が出始めたら、週に1度液肥を与えます。

育苗

本葉が出始めたら週に1度、規定倍率に薄めた液肥を与える

プロのアドバイス

鉢土の表面が乾いたら十分に水を与えますが、夕方以降は徒長しやすくなるので、午後3時以降は苗のしおれがない限り水やりは控えます。この育苗時期に肥料切れを起こすと、生育が著しく劣るので定期的に液肥を与えます。

定植

本葉が3~4枚出たら、前の鉢の土を付けたまま、直径18cm鉢以上の大鉢に定植します。用土は有機質に富んだ肥沃な用土がよく、赤玉土5:堆肥2:腐葉土2:くん炭1の混合土にします。定植後、市販されているアサガオ用の支柱を立て、伸び出してきたつるは鉢の上部より見て、左巻きになるように巻き付けます。日当たりのよい場所に置き、時々鉢を回して、満遍なく鉢に日が当たるようにします。肥料切れを起こさないよう月に1度置き肥を与えましょう。

定植

ポットに根が回ったら、深植えにならないよう注意して定植する。
月に1度置き肥を与え、肥料切れさせない

プロのアドバイス

アサガオは戸外で育てるため、梅雨時の大雨は鉢内が過湿になりやすいので、移植は浅植えにします。鉢土は7分目くらいにすると、雨後乾燥しやすくなります。梅雨明け後には、増し土をしましょう。

開花

花を外側に向いて咲かせるには、つるに付いている葉が支柱の外側に出るよう、うまく調節します。つるが伸びてきたら1番づるを伸ばして巻き付かせ、支柱の上部末端まで絡んだら先を摘み、途中から出る側枝も全てかき取ります。

開花
プロのアドバイス

鉢作りで最もよいタネまき時期は、八十八夜以降の2週間以内ですが、タネまき時期を変えると、開花時期も変わり、より長く花を楽しめます。花はやや小ぶりになりますが、6月下旬にまいても8月中には咲き始め、2カ月くらいは楽しめるので、5月上旬から順次タネをまいてみましょう。

『園芸通信』2011年5月号「タネまきから始めよう!草花栽培 アサガオ」および『家庭園芸』より再掲
2018年3月22日更新
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著者紹介
菅野政夫

菅野政夫(かんの・まさお)

1952年山形県生まれ。神奈川県立相模原公園副園長、サカタのタネグリーンハウス館長。1973年坂田種苗株式会社(現(株)サカタのタネ)入社後、試験場勤務20年以上、オステオスペルマムなど栄養系植物の栽培・育種に携わる。

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