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タネまきから始めよう 草花栽培 ペチュニアタネまきから始めよう 草花栽培 ペチュニア

草花をタネから育て、芽が出て、やがて花が咲く。この上なく楽しいことです!
今回は、初夏から秋まで花を次々に咲かせ、私たちの目を楽しませてくれるペチュニアをご紹介します。花壇やプランターからこぼれるように咲く花々がカラフルに彩る春を待ち、タネまきから始めましょう。

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楽しむ

こぼれる魅惑の花 ペチュニア

アサガオに似たカラフルな花を咲かせるペチュニアの故郷は南米で、ブラジルとアルゼンチンに自生している2つの種から生まれたものです。今日の園芸種は、原種にはなかった花色や花形など実にカラフルに発展し、欧米で「花壇の女王」と称されるほど、花壇やプランターになくてはならない草花です。

ペチュニア

さて読者の方の中には、ペチュニアの茎や葉に触れたときに、べたべたした感触を経験された方もいるのではないかと思います。それは、中南米に生息するハキリアリというアリから、葉を切り取られないように茎や葉をべたべたにし、アリを動けなくし、自分の身を守り生き延びる防衛手段であったわけです。このハキリアリが生息しない場所にだけ生える、茎や葉がべたべたしない野生種が自生しているという報告もあります。

ペチュニア

ペチュニアの品種開発の歴史は古く、サカタのタネが戦前の昭和6(1931)年に発表した、100%八重咲き大輪花のF1品種は、サカタのタネの名を世界中に知らしめるきっかけとなった記念すべき品種でした。その後も品種開発の情熱は脈々と受け継がれ、次々と新品種を開発してきました。雨に弱いといわれるペチュニアの花に耐雨性を持たせた「バカラ」シリーズは、今でも花壇の主役となっています。また、1株が80cm以上にも広がるクリーピングタイプの「クリーピア」シリーズも耐雨性が強く、さらに改良・開発が続いています。

ペチュニアには栄養系品種も多数ありますが、こぼれるような魅惑的な花を、タネから育てる楽しさは格別です。

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品種を知る

初夏から秋にかけて長く咲き続ける花壇の女王です。花色、花形が豊富で花期が長く、ほふく性や立性など、飾る用途に応じて品種を選ぶことができ、夏の花壇やプランター植えに最適です。

  • クリーピア(R) ミックス
    クリーピア(R) ミックス
    カーペットのように株が広がるクリーピングタイプ
    極多花性で暑さにも強く、晩秋まで咲き続けます。1株が80cm以上にも広がり枝の伸びがよいので、大型プランターにもおすすめです。
  • エコチュニア(R) ミックス
    エコチュニア(R) ミックス
    コンパクトな草姿で寄せ植え、ハンギングにおすすめ
    気温が5℃以上あれば短日条件でも開花。春先の不安定な気候でも咲きます。コンパクトな株に次々と花が咲くので、寄せ植えやハンギングにもおすすめです。
  • バカラ ミックス
    バカラ ミックス
    豊富な花色で雨に強い!長く咲く
    花色豊富な人気の中輪咲きです。花弁は雨に強いので、花壇を彩るのにもぴったり。長期間咲き続けるのも魅力です。
  • イーグル ミックス
    イーグル ミックス
    存在感あり!迫力の大輪タイプ
    迫力の大輪咲き。花弁が厚くてよれにくく、インパクト抜群です。
  • パステルカラー ミックス
    パステルカラー ミックス
    センス抜群の優しい色合い
    厚い花弁は雨による傷みが少なく、タネまき後約70日で開花する早生種です。
  • プリズムサンシャイン
    プリズムサンシャイン
    希少な黄色系ペチュニア
    開花が早く、花弁にフリルの入る大輪の美しい黄色の花を、長期間咲かせます。
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育てる

タネまき

発芽適温が25℃前後と高いので、通常は4~5月のタネまきがおすすめですが、開花が6月下旬~7月上旬になります。6月上~中旬ごろに開花させるのなら、3月にタネをまきます。ただこの時期はまだ寒いので、室内の窓辺に置いて保温が必要です。

タネは大変小さいので、ジフィーセブンやピートバン、あるいはタネまき用土にまきます。好光性種子なので覆土はせず、下から吸水させます。発芽までは10日前後ですが、気温が低いと発芽までの日数が長くなります。発芽がそろったら受け皿の水を捨て、乾いてきたら吸水させるようにすると、根張りのしっかりした苗に育ちます。

タネまき

タネは重ならないようにばらまきし、好光性種子なので覆土はしない

タネまき

発芽しやすくするため、温度の低い日や夜間はビニールをかけて保温

プロのアドバイス

3~4月のタネまきはまだ寒い時期なので、まき鉢は発泡スチロールなどの容器に入れ、上からビニール(透明のポリ袋)などを掛けます。温度の低い日や夜間もビニールを掛けて保温に努めてください。タネがとても小さく、鉢内で1カ所に固まりやすいので、円を描くように、満遍なくまきましょう。

育苗

発芽後、子葉が展開し、密に生えたところは葉と葉が触れ合って混み合ってくるので、葉が軽く触れ合う程度の間隔を保つように間引きます。タネまき後30~40日、本葉が2~3枚になったころが移植の適期です。先端を尖らせた箸の先で根をほぐし、6cmポットに植えます。赤玉土6:ピートモス4の配合土にします。10日くらいして鉢内に根が回ったころ、週に1度液肥を与え、屋外でよく日に当てて育てます。

育苗

葉が混み合ってきたら、間引く

育苗
プロのアドバイス

移植直後の苗はまだ小さく、根も張り切れていないので、水やりの際はジョウロのハス口を上に向けて、水が柔らかくかかるように行います。ペチュニアは多湿を嫌うので、根が鉢内に回りだしたころからは、鉢土が十分に乾くまで待って水を与えると、がっちりした苗に育ちます。

定植

ペチュニアは特に太陽光線を好むので、日当たり、風通しのよい場所が適します。また、有機質に富んだ肥沃で水はけのよい土壌で、植え付ける前に堆肥を1平方メートル当たり1kg、化成肥料80g程度を混ぜ、よく土ごしらえをしておきます。

鉢内に十分根が回り、鉢底の穴から少し根が出たころが定植適期。花壇へは20~25cm(クリーピアは約50cm)間隔に植え付けます。ペチュニアは弱酸性~酸性土を好むので、プランターや鉢に植える場合は、市販の専用用土を使うか、赤玉土3:鹿沼土3:腐葉土3:ピートモス1の配合土を使うようにします。よく日に当て、月に1度、リン酸、カリ分の多い配合肥料を与えましょう。

定植

月に1度、リン酸、カリ分の多い配合肥料を与える

プロのアドバイス

春遅くまいたものは成長期が長日に向かっているため、中心芽に早く花が付きますが、節間も伸び、分枝数も少ないので、1~2度摘芯すると枝数の多いこんもりとした草姿になります。

開花

タネまき後、早いものは2カ月くらいで、その他も3カ月前後で開花します。ペチュニアは、咲き続けながらも株が成長するため、肥料が切れないように、月に1度はリン酸、カリ分の多い化成肥料を与えましょう。伸長と分枝を繰り返しながら成長するので、早くから開花している株は枝も伸び過ぎ、草姿も乱れてきます。夏の終わりごろに、伸びた枝を1/3ほどに切り戻すと、若い枝が伸びて、秋に新鮮な花を楽しむことができます。

開花
プロのアドバイス

切り戻すときは必ず、枝を切る下2~3節に葉があるのを確認してから行ってください。切り戻した下の部分の葉が1枚でも多い方が、若い芽が早く多数出ます。切り戻し後は、葉の枚数が半分以下になるので、水やりをやや控えて、わき芽が伸びてきたら徐々に水を多くしていきましょう。

『園芸通信』2011年12月号「タネまきから始めよう!草花栽培 ペチュニア」および『家庭園芸』より再掲
2018年5月1日更新
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著者紹介
菅野政夫

菅野政夫(かんの・まさお)

1952年山形県生まれ。神奈川県立相模原公園副園長、サカタのタネグリーンハウス館長。1973年坂田種苗株式会社(現(株)サカタのタネ)入社後、試験場勤務20年以上、オステオスペルマムなど栄養系植物の栽培・育種に携わる。

JADMA

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