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ブリーダーに聞きました 新食感の極上キャベツ 新藍ブリーダーに聞きました 新食感の極上キャベツ 新藍

2018/05/22

サクッ、サクッ、サクッ。これ、何を食べている音か分かりますか? リンゴ? スナック菓子?
答えは、何と、キャベツ! 軽やかな歯応えを楽しんでいると、やがてほのかな甘みが鼻腔に広がってきて、いうなれば、それはまさに新食感。

今回は、そんな不思議なキャベツ「新藍」をもっと知りたくて、ブリーダーにお尋ねしてみました。

ブリーダーとは?

品種開発担当者のこと。新しい品種を開発するのがブリーダーの仕事です。開発する品種の目標に合った親の選抜を行います。優れた品種を生み出すために、選抜した親同士を組み合わせます。そのため、1年間で交配する組み合わせの数は数百にも及びます。

キャベツのブリーダー。
左から佐々木浩之、加藤祐介、池田祐士

おいしいだけじゃない。「新藍」の魅力はバランスのよさおいしいだけじゃない。「新藍」の魅力はバランスのよさ

── 今回、「新藍」を試食したのですが、キャベツらしからぬといえる個性的なおいしさに驚きました。
「新藍」は、このおいしさを目指して育種されたのですか?

加藤
ありがとうございます。野菜は食べ物ですから、食べ物である以上、おいしさは必須条件の一つです。でもあくまでも、条件の一つでしかないんですよ。

── キャベツの品種を選ぶときの条件やポイントって何でしょうか?

加藤
いきなり難しい話かもしれませんが、キャベツ栽培で一番心配になるのが、萎黄病、黒腐病、根こぶ病といったいくつかの病害です。だから病気に強い品種を選ぶことも、ポイントの一つに挙げられます。

でも、どれか一つの病気に強くても、他の病気に対して弱ければ、困りませんか? また、さまざまな病気に強い品種でも、作りにくかったり、収量が少なかったり、品質がいまいちだったりすれば、やはり「選びたい」とは思いませんよね。そこでまず、「選びたくなる品種」とは、いったいどんな品種だろうと考えたのです。

── 確かに病気に強い品種は、栽培する人にとって心強いですね。でもやっぱり、食べておいしい品種がいいなと思うのはわがままでしょうか?

加藤
まず、理想的な品種を想像してみてください。「さまざまな病気に強く、作りやすくて収量が高く、なおかつ品質がよくておいしい品種」ではないですか? でも言うのは簡単ですが、「ならばこの品種」と具体的に挙げるとなると、難しかったのです。

そこで当社では、この「理想的な品種」を目標に日々研究を重ね、みんなが望む必須条件をバランスよく持つ品種を作出しました。それがこの「新藍」です。

カットしての試食も育種開発の仕事の一つ。「何度食べてもうまい!」

おいしく作るためには基本に忠実に栽培するおいしく作るためには基本に忠実に栽培する

── では、「新藍」栽培のポイントを教えてください。

加藤
まず、これはどんな野菜にもいえることですが、その地域に適した種まき期を守ることが大切です。適期を外れてまいたものは、その品種の能力を十分に発揮できません。

「新藍」は、徒長や倒伏がしにくく苗が作りやすいのも特長で、苗の姿はなかなかかっこいいんですよ。種から育ててぜひご覧になってみてください。とはいえ、種まきから発芽までの間に水が多過ぎたり、風通しが悪かったりすると苗が徒長し、その後の生育が悪くなります。いったん徒長した苗は元に戻りませんので、十分な注意が必要です。

なお、苗は根鉢に白い根が回ったぐらいが定植に最適なタイミングです。成長した苗を定植するときは、十分に株間を取ってください。

── 一般的な品種の栽培ポイントと同様、基本に忠実にということですね。では「新藍」ならではのポイントはありますか?

加藤
「新藍」は、比較的早いステージで球の形が出来上がり、肥大力にも富んでいます。ですから、定植から外葉形成時と結球初期までスムーズに生育できるよう促すのがポイントです。そのために速効性化成肥料を用い、生育状況を見ながら、1、2回追肥を行ってください。

また、極端な乾燥状態が続くと、微量要素が吸収できなくなります。降雨が少ないときは、適宜水やりする必要があります。

各品種の生育状況を厳しくチェック。ブリーダーの目が光ります

── 「新藍」の収穫の仕方にコツはありますか?

加藤
形ができてから中身が充実する「新藍」は、球の形ができたなと思っても、まだ中身が十分にしまっていないことがあるので、充実具合を確認してから収穫してください。

── 病気については数々の耐病性があるとのことですが、害虫の被害についてはどうでしょうか。

加藤
キャベツの主な害虫としてコナガ、ヨトウガなどが知られています。これらは成長点付近の葉の内側に潜んでいるため薬剤散布をしても効果が出にくく、ひとたび大発生してしまうと被害が甚大になります。苗床で育苗している時点から薬剤を利用するのが効果的なので、早期防除を心掛けましょう。

「園芸通信」読者にメッセージ「園芸通信」読者にメッセージ

── では最後に『園芸通信』読者の方へメッセージをお願いします。

加藤
「おいしい野菜を作りたい。だけど農薬は、なるべく使わずに栽培したい」というのが、家庭菜園家の誰しもが持つ本音ではないでしょうか。

栽培しやすい上に病気に強く、おいしさも抜群の「新藍」は、まさに家庭菜園にぴったりのキャベツです。生食はもちろん、煮てよし炒めてよしの「新藍」をぜひご自分で作って、「新藍」ならではの驚きの食感を体験してみてください。

文:ウチダトモコ
編集:サカタのタネ

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