猛暑に負けない ガーデナー杉井志織さんのニッポンの夏を彩る草花の楽しみ方
2018/11/30
2018年の夏は、各地で40℃を記録する驚くべき猛暑でした。春に買った苗が、夏には満開に咲くことを期待していたのに、咲かない、枯れてしまったという残念な体験をされた方も多かったのでは? ガーデナーの杉井さんに、猛暑に負けない草花の管理方法と楽しみ方を伺いました。
夏の管理のポイントは品種選び
年々暑さが厳しくなる夏のガーデニング。暑さを好む植物を選んでもトラブルは付きものですが、暑さに強い品種を選んで梅雨入り前に夏花壇への衣替えをすませることで、晩夏まで長く植物を育てることができます。管理期間が長くなりますし、酷暑を乗り切るための肥料管理は欠かせませんが、真夏の日中作業はぐっと減り、めでるだけのサマーガーデンを楽しむこともできます。ポイントは品種選びです。ぜひお試しください。
ジニア プロフュージョン
花色が豊富! 使い方のバリエーションが広がります
生育旺盛で株元を華やかに彩る「プロフュージョン」。花色が豊富で、景観のつなぎ役にも使えるミドル丈なので、アイデア次第で使い方のバリエーションが広がります。水はけのよい土に植えると、根の張りがさらによくなって、葉と枝の数が増えて株が大きく育ち、多くの花を咲かせます。切り戻しをすると分枝して花数がさらに増えます。
コンテナ栽培の場合は、根がしっかり育つ大きさのコンテナでゆったりと植えることが重要です。小さめの鉢だと根詰まりを起こしやすくなります。八重咲きは花持ちがよい分、肥料を欲しがるのでしっかり植え付け時に施します。水切れを数回繰り返すとハダニが付きやすくなるので注意します。
ニチニチソウ サンダー(R)
大株が魅力! 存在感あふれる「サンダー」。花色が多く、組み合わせ自在!
通常のニチニチソウよりも大株に育つのが特徴です。花形も大型で存在感がありますが、古くなった花の上にすぐに新しい花が咲くので、花がとぎれずによく咲きます。花色が豊富なので、他の草花との組み合わせでナチュラルシックにも、ポップでキュートにも使えます。
「プロフュージョン」と同様に、「サンダー」も根が育った分量によって葉と枝の数が増えて、それに応じて花数が決まります。コンテナで育てるときは、株間をたっぷり取り、根がしっかり育つ土の量で植えると花数がたくさん楽しめます。花壇に植栽するときは、土をよく耕し、通気性と排水性をよくしてから植え付けます。
コリウス「ゴリラ(R)Jr.」
晩夏まで安定のコリウス。実は草姿のバランスをコントロールできる植物です
晩夏にかけて、必須アイテムのコリウス。早い時期から植え付ければ、株が充実するのでローメンテナンスの景観づくりには欠かせません。大きく成長する「ゴリラJr.」を限られたスペースで楽しみたいときは、土がしっかり乾いてから水を与えることで、節間がぎゅっとまとまった草姿になります。逆に水やりの頻度を上げると、草丈高めのゆったりとした草姿に。
植え付け時に軽くピンチをしてから植えると、株張りも枝数もまとまりやすくなります。コンテナ植えだけではなく、花壇植えも完全な水切れに注意します。8月に入ったころから薄紫色のかれんな花を楽しむことができます。
追肥と切り戻しについて
ポイントは梅雨入り直後と梅雨明け後のお手入れ
植え付け時に緩効性化成肥料をしっかり元肥として施します。
梅雨入りをしたら、株元から3分の1程度残し全体を切り戻します。切り戻しをしたら、肥料をたっぷりと再度施します。梅雨入りで曇天が続くと日照不足で徒長気味になります。梅雨入り直後の作業のポイントは、切り戻しをして株元の風通しをよくすること。株元まで日が当たりやすくなると、土が乾きやすくなり、ナメクジやうどんこ病などの病害虫を回避することができます。
梅雨明け後はそのまま管理して、8月のお盆を過ぎたら、再度切り戻しをして追肥をします。お彼岸が過ぎると朝晩の気温が下がりやすくなるので、植物が生育しやすい環境になります。そして、夏ばて気味の植物に追肥を施すことで、日中の暑さを味方に付けることができます。夏の酷暑を過ぎることができれば、晩夏まで楽しめます。
杉井さんデザインの寄せ植え
園芸家
杉井志織
すぎい・しおり
植物のある暮らしを提案。「暮らしは楽しい方がよい」がテーマ。花壇ボランティア運営の指導、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催地で行うトライアル花壇「お台場 おもてなしセレクション」生育試験審査委員、NHK「趣味の園芸」「あさイチ グリーンスタイル」などに出演。