家庭菜園に興味はあるけど、本格的に始めるには勇気がいるという園芸初心者の方は少なくないと思います。育てやすい植物を選んで、育て方の基本さえ守れば、お庭やベランダがなくても大丈夫!まずは、省スペースでコスパがいい種から気軽に始められる、インスタント園芸にチャレンジしてみませんか?
目次
インスタント園芸とは?
インスタント園芸とは、種まきの際に使いやすい「ジフィーセブン」のみを使って 、種まきから収穫までを即席で楽しめる育て方です。この方法だと、超初心者の方も気軽に省スペースで植物を楽しめます。
また、芽が出たジフィーセブン苗をそのままプランターや鉢に植え替えれば、大きく育ってたくさん収穫することも可能です。今回は、園芸初心者でも育てやすくて料理にも使いやすい、ハーブの種を5つ厳選してご紹介します。
おすすめのハーブの種 5選
春に種をまけるハーブ
ミント
清涼感のある香りが特徴のミントは、認知度が高いハーブの一つです。少しつまんでトッピングするだけでデザートがワンランクアップします。生育が旺盛で、家庭菜園初心者にもおすすめです。
春と秋の両方、種をまけるハーブ
バジル
バジルは、鮮度が落ちやすいので、摘みたてを味わうのが一番。育てやすさも使い勝手も抜群なハーブとして、家庭菜園初心者にも人気が高い植物です。
ルッコラ
ルッコラは、ピリッとした辛みとゴマに似た風味が日本人の好みにも合うハーブです。サラダによく使われ、ロケットという名前でも知られています。収穫までの期間が短いので家庭菜園初心者にもおすすめです。
ディル
ディルは、爽やかな香りがあり、料理の風味付けとして利用されます。あまり馴染みがない方も多いかもしれませんが、北欧では定番のハーブです。成長が早く、育てやすいため、家庭菜園初心者でも育てやすいハーブの一つです。
パクチー
パクチーは、好き嫌いがはっきり分かれる、独特な強い香りのあるハーブです。コリアンダーや香菜(シャンツァイ)という名前でも知られています。香りを堪能するならフレッシュなものがおすすめです。種のまき方のコツさえ押さえれば、家庭菜園初心者にもおすすめです。
準備するもの
通常は種をまいて発芽してある程度の大きさになると植え替えをします。一方、インスタント園芸は、種をまいてそのまま省スペースで育てるので、種まき専用のグッズを使って育てます。
発芽後、植え替えなしで、ポットごとそのまま定植することができます。種まき初心者にもおすすめできるすぐれものグッズです。
用意するもの
- 育てたいハーブの種
- ジフィーセブン42mm(そのまま植えられる土ポット)※
- 水またはぬるま湯
- 封筒またはハガキ
- ようじや竹串
- お気に入りのトレーまたは鉢皿※
- 霧吹き
- キッチンバサミ
※ジフィーセブンと専用のトレーがセットになっている「はじめてさんのタネまきセット」を使うのもおすすめです。
種や道具はどこで買うの?
用意するものが決まったら、種やグッズを購入します。種・ジフィーセブン・鉢皿は、ホームセンターや園芸店で買います。お近くに園芸店がないときは、オンラインショップでも購入できます。
種のまき方を教えて!
ジフィーセブンをふくらませます
左:水に浸ける前のジフィーセブン 右:水に浸けてふくらんだ後のジフィーセブン
ジフィーセブンは、水に浸けて3~4cmの高さになるまでふくらませます。ジフィーセブンの側面を指でつまんで、芯が残っているようでしたら、ならなくなるまで水に浸けます。気温が低い日は、ふくらむスピードが遅くなるため、ぬるま湯に浸けると早くなります。
種をまきます
十分にふくらんだ「ジフィーセブン」の中央部の土を軽くほぐします。この時に、封筒またはハガキを半分に折り、そこに種を置いて、ようじや竹串で滑らせるように落とします。ほぐしたところに種がくっつかないように2~3粒まいて、種が隠れる程度に軽く土をかぶせます※。種と土がしっかり密着するように、まいたところを指でやさしく押さえ、霧吹きで水をかけます。小さな種をまく時は、ようじや竹串の先端を濡らして、1粒ずつ取って種をまく方法もあります。
※好光性種子(こうこうせいしゅし)という発芽の際に光を好む種もあります。その場合は、土はかぶせず、土と種が密着して種が乾きにくいように、上から指で軽く押さえるのみにします。
コラムその1 パクチーの種は、種まき前日の下準備を忘れずに!
パクチーの種は、殻が付いたままだと発芽がうまくいかないことがあります。
左:パクチーの種 右:パクチーの種の殻
種まきの前日に、板のようなものを擦り合わせて種を割ります。
種の方を湿らせたティッシュの上に置いて一晩、吸水させると発芽率がよくなります。
どこに置けばいい?
種まきをしたら、直射日光が当たらない場所に置きます。芽が出たら、室内のなるべく日当たりがよい窓辺に移動します。 エアコンの風が直接当たる場所は、乾燥し過ぎて発芽や生育がうまくいかなくなることがあります。植物は風通しのよい場所を好みますが、シーズン問わずエアコンの風が直接当たらないような場所を選びましょう。
どうやって水やりするの?
種は、土を乾かし過ぎても、水をやり過ぎても芽が出なくなってしまいます。ジフィーセブンの表面を手で触るか、土がじめじめしていないか目視で確認して、軽く乾いているようなら、土の表面を湿らせる程度に霧吹きでやさしく水をあげます。
気温が高い時期は、土が乾きやすいので、こまめに乾き具合を確認しましょう。芽が出たら、発芽の時と同様に土の乾き具合を確認して、軽く乾いているようなら、霧吹きでジフィーセブンの中しっかり湿らすように、霧吹きで水やりをします。
発芽後の管理は?
1つのポットに2~3本芽が出て本葉まで成長したら、本来は元気な芽だけを残す「間引き」を行いますが、今回のインスタント園芸は、植え替えなども行わず少量を収穫して楽しむ方法なので、間引きは行わず、このまま育てます。
コラムその2 花が咲いたらどうしたらいいの?
葉を楽しむハーブは、花を咲かせてしまうと株が老化して弱ってしまいます。つぼみを見つけ次第、ハサミや手で早めに摘み取りましょう。
収穫方法と料理の使い方
ミント
草丈が、10cm程度になったら葉先を収穫していきます。収穫後、しばらくすると切ったすぐ下の葉の付け根から新しい芽が出て分枝していきます。元気がなくなってきたら、株ごと収穫します。
手軽な楽しみ方として、ヨーグルトやデザートに新芽をそっと添えるだけで爽やかな香りが広がります。中でもスタッフ一押しは、ミント氷です。水を張った製氷皿にひとマスごとミントの葉を浮かべて冷凍庫で凍らせるだけ。アイスティーやモヒートに入れてもおしゃれです。一度沸かした水を使うと、透明できれいなミント氷ができますよ。
バジル
草丈が、10cm程度になったら葉先を収穫していきます。収穫後、しばらくすると切ったすぐ下の葉の付け根から新しい芽が出て分枝していきます。元気がなくなってきたら、株ごと収穫して終わりにします。
バジルを使った簡単料理の定番といえば、カプレーゼ。スライスしたトマトとモッツァレラチーズが交互になるように並べて、オリーブオイル、塩コショウをかけてバジルの葉を盛り付けたら完成です。スタッフイチオシは、少量のバジルでも楽しめるバジルオイルです。水気をふき取ったバジルの葉を手でちぎってオリーブオイルに漬け込むだけ。鷹の爪やニンニクを加えるのもおすすめです。オイルにバジルのさわやかな香りが加わり、いろいろな料理に使えて便利です。
ルッコラ
ルッコラは、収穫が遅れると苦味や渋みが増すので、葉が10~15cmくらいが食べごろです。株ごと収穫して終わりにします。
ルッコラを使った簡単料理といえば、ベビーリーフのサラダや市販のピザにルッコラの葉を添えたルッコラピザです。中でもスタッフイチオシは、サラダチキンにルッコラの葉を添えたサラダです。ピリッとした辛みとほろ苦さが加わった、ヘルシーで大人なサラダに仕上がります。
ディル
草丈が、10cm程度になったら下葉から少しずつ収穫していきます。 元気がなくなってきたら、株ごと収穫して終わりにします。
ディルといえば、サーモンやマリネなど魚料理との相性はもちろん、ドレッシングやマヨネーズ、スープ、ピクルスに加えるのもおすすめです。スタッフイチオシは、ディル入り自家製バター。生クリームをひたすら振り、脂肪分と水分に分離したら、水分を切って、食塩と細かく刻んだディルを加えて練り合わせたら完成です。市販のバターに刻んだディルをのせるだけでもOK。トーストに塗って、ディルの爽やかな香りを楽しんでみてください。
パクチー
草丈が、10cm程度になったら収穫できます。パクチーは、内側に新芽ができるので、下の方の外側の葉からハサミでカットします。一度にたくさんの葉を収穫してしまうと株が弱ってしまうので、新芽を残しつつ、全体の3分の2の葉は残すようにします。元気がなくなってきたら、株ごと収穫して終わりにします。
パクチーは葉だけでなく根も使えます。レトルトカレーに刻んだ根を入れて電子レンジでチンするだけでもエスニック風に早変わりします。スタッフイチオシは、エスニック冷ややっこです。豆腐にスイートチリソースをかけてパクチーの葉を添えるだけ。お好みでソースを変えても楽しめます。
おしゃれな飾り方
鉢皿やトレーにまとめて
鉢皿やお皿などに固めて飾ってもおしゃれです。
かわいい小皿やカップなどに一つずつ入れて
1個ずつお気に入りの小皿やカップ、小さな鉢に一つずつに入れて管理するのもかわいらしくておすすめです。植物が隠れるくらい深い容器に入れてしまうと風通しが悪くなって、病気などになる可能性が高くなるので、注意しましょう。
残った種などの保管方法は?
種
種は、生きているので寿命があります。余った種は、種袋に記載されている有効期限内に使い切りましょう。保管する時は、湿気が入らない密閉容器や袋に入れて湿度や日光を避け、20℃前後を目安に冷暗所または冷蔵庫などで保存します。
種まきグッズ
残ったジフィーセブンは、直射日光を避け、乾燥したところに保管してください。
育てた後の処分方法は?
育てた後は、ジフィーセブンの外側に付いている生分解性プラスチックの不織布、植物(根を含む)、中身の土の3つに分けて、それぞれ自治体で決められたルールに従って処分します。特に悩むのが土の捨て方です。例として神奈川県横浜市の場合、「土を捨てるときは、一度に多量にならないよう少量ずつ、週2回の『燃えないごみ(燃やすごみ」と同じ日)』の収集日に、透明または半透明の袋に入れて出す(2025年3月現在)」となっています。
種まきは、病気等を防ぐために、清潔な土を使うことが大切です。ジフィーセブンは使い回しをせず、必ず新しいものを使いましょう。
おわりに
今回は、家庭菜園という大きな規模でなくても超初心者向けにハーブが育てられるインスタント園芸を紹介しました。慣れてきたら、インスタント園芸で収穫できるサイズまで育てたジフィーセブンをそのまま大きな鉢に植え替えれば、もっとたくさんのハーブが収穫できて、ステップアップも可能です。生活の中に園芸を取り入れて、ぜひ、種から育てる楽しさを体感してみてください。