ジャガイモ(春植え)の育て方・栽培方法

春植えジャガイモの収穫(メークイン)
春植えジャガイモの収穫(メークイン)
    春植えジャガイモの収穫(レッドムーン)
    春植えジャガイモの収穫(レッドムーン)
    春植えジャガイモの種イモ
    春植えジャガイモの種イモ
    ジャガイモの発芽
    ジャガイモの発芽
    ジャガイモの花
    ジャガイモの花
植え時期 ・まき時期
植え場所
栽培難易度
※★マークが多いほど難易度が上がります。
学名

Solanum tuberosum L.

和名/別名
ジャガイモ、馬鈴薯(ばれいしょ)
英名
potato
原産地/生産地
南アメリカのアンデス山脈
分類
ナス科ナス属
発芽地温
15~20℃
生育適温
15~24℃
  • 生育条件

    日当たり
    日なた
    土壌酸度
    弱酸性 pH5.5~6.0
  • 栽培管理

    地植え適所・土質
    冷涼で乾燥した気候を好み、昼夜の寒暖差が大きい環境でよく育つ。通気と排水がよく、砂質の土壌を好む。
    鉢植え用土
    市販の野菜用培養土、または、赤玉土6:腐葉土2:完熟堆肥2を混合し、化成肥料(8ー8ー8)を用土10L当たり10~20gを入れてよく混ぜ合わせる。
    鉢サイズ・種類
    [丸鉢]直径30cm(10号鉢)以上に1株植え。[65cm幅の長型プランター]2~3株植え。[鉢の深さ]30cm以上の深型プランターを使用する。
    植え付け
    [畝]畝幅50cmで1条植え。[株間]30cm。

春植えジャガイモとは

ジャガイモは栽培の手間がかからず、荒れた土地でもよく育ちます。収穫後も長期間保存ができるので、主食としても利用できる重要な作物として、世界中で広く栽培されています。煮る、蒸す、揚げるなどの調理素材のほか、マッシュポテトやポテトチップス、コロッケなどの加工食品の原料やデンプンの原料として幅広く利用されています。

17世紀初めにオランダ船によってジャカルタから日本に伝来したといわれていますが、江戸時代以降、米の作りにくい寒冷地や山間地で栽培が広まり、明治になると北海道をはじめとする各地で大面積の作付けがなされるようになりました。

失敗が少なく初心者でも育てやすいので、家庭菜園や市民農園でも人気の作物になっており、春植えジャガイモの植え付け準備からその年の畑作業が始まることが多いです。栄養的にもビタミンCや食物繊維、カリウムなどを豊富に含むおすすめの健康野菜です。

ポイント

春植えジャガイモの品種数は多数あり、種イモとして出回る品種だけでも15品種以上あります。その特徴は肉質、肉色、皮の色、味、形などさまざまです。粉ふきイモやコロッケなどに向くホクホク系(粉質)の「男爵」と、煮崩れしにくく肉じゃが、シチューなどの煮込み料理、カレーライスに向くしっとり系(粘質)の「メークイン」が最も多く作られている代表の2品種です。ほかに「キタアカリ」「インカのめざめ」「レッドムーン」「ホッカイコガネ」「ベニアカリ」などもそれぞれ特徴のある品種として多く作られています。

さらに病気や害虫への抵抗性や貯蔵性、芽が浅く調理のしやすさ、ポテトチップス、フライドポテトなどの加工適性などの改良が進んでいます。品種の特徴を見て調理の目的により品種を選ぶようにします。

冷涼な気候を好むので、生育適温は15~24℃前後です。暑さには弱く、気温25℃以上になるとジャガイモの肥大が悪くなり、病気も出やすくなるので、春はできるだけ早めに種イモを植え付け、梅雨明けまでに収穫を終わらせるのが基本となります。

植え付け適期は、温暖地では2月下旬~3月中旬ごろになり、100~120日後の6月中旬~7月上旬ごろが収穫期となります。

生育適温の範囲で昼夜の気温差が大きいほど、ジャガイモの肥大が促進します。植え付けが早いと遅霜の被害にあって種イモが腐ってしまったり、芽が枯れてしまったりすることがあるので、ポリマルチや寒冷紗のトンネルなどで予防します。植え付け時期が遅れると生育期が高温にかかり、株が枯れ上がるのが早まることでジャガイモの肥大が悪くなるので注意します。

浴光育芽

種イモの芽がなるべく下にならないように並べて、日当たりのよい暖かい場所に広げて日光に当てます。2~3回、上下を返しながら2~3週間置いて、黒緑色のしっかりとした硬い芽を出させます。寒い時期の作業なので、夜間や天気の悪いときは屋内に取り込みます。

春植えジャガイモの浴光育芽では、日当たりのよい暖かい場所に広げて日光に当て、2~3週間置いて、黒緑色のしっかりとした硬い芽を出させる

この作業のポイント

ウイルスに罹病(りびょう)していない検査済みの種イモを購入するようにしましょう。浴光育芽をすることで、植え付け後の生育が促進され、収穫量の増加とジャガイモの肥大が期待できたり、茎が太く丈夫に生育し、徒長が少なくなったりする効果もあります。

土づくりの準備

2週間以上前

ナス科植物との連作を避け、日当たりと水はけのよい場所を選んで作付けします。ジャガイモの種イモを植え付ける2週間以上前に、なるべく深めに20~25cmほど耕しておきます。深く耕すことにより、雨が降っても水がたまりにくくなります。また、土壌がやわらかくなり、微生物の活動が活発になることで、土壌中の有機物の分解が促進される効果があります。

ジャガイモの種イモを植え付ける2週間以上前に、なるべく深めに20~25cmほど耕しておく

1週間前

種イモの植え付け1週間前までに 1平方メートル当たり完熟堆肥2~3kgと化成肥料(8ー8ー8)100gほどを施し、再度耕します。

種イモの植え付け1週間前までに 1平方メートル当たり完熟堆肥2~3kgと化成肥料(8ー8ー8)100gほどを施し、再度耕しておく

この作業のポイント

ジャガイモの適正な土壌酸度はpH5.0〜6.0の弱酸性ですが、pH6.0以上になるとジャガイモの表面にガサガサのかさぶたができる「そうか病」が誘発されやすくなります。そのため、石灰のやり過ぎは厳禁で、前作に石灰類を施していたら追加は不要です。

種イモの準備

種イモは1個40g以下なら切らずにそのまま植えます。それ以上は、1片が40~60gになるように芽の位置を見ながら切り分けて1~2日、風通しのよい場所に広げて、切り口を完全に乾燥させます。

この作業のポイント

種イモは、ストロンにつながっていた基部の反対側の頂部に丈夫な芽が多く出るため、頂部の芽が均等に入るように、頂部から基部にかけて縦に切ると発芽がそろいやすくなります。40~60gは切らずに植えます。60〜120gは半分、120g以上は3~4等分に芽の数が均等になるように切り分けます。

種イモは、ストロンにつながっていた基部の反対側の頂部に丈夫な芽が多く出るため、イモのサイズに合わせて頂部の芽が均等に入るように、頂部から基部にかけて縦に切り分ける

植え付け・発芽までの管理

通路25~30cm、畝高約10cm、畝幅50cmの畝の中央に深さ10cmの植え溝を作ります。

通路25~30cm、畝高約10cm、畝幅50cmの畝の中央に深さ10cmの植え溝を作る

溝の中に種イモを株間30cmで切り口を下向きにして並べます。5cm程度の覆土をして、やや盛り上がった畝にします。

溝の中に種イモを株間30cmで切り口を下向きにして並べる。5cm程度の覆土をして、やや盛り上がった畝にする

この作業のポイント

霜よけに不織布などでトンネル掛けをして、遅霜の心配がなくなったら撤去するとよいです。

鉢植え

深さ30cm以上、容量20L以上の鉢を使用し、できるだけ日当たりと風通しのよい場所で栽培します。

底が見えなくなる程度に鉢底石を敷き詰めます。用土は市販の野菜用培養土をそのまま使用するか、自分で調合する場合は、赤玉土6:腐葉土2:完熟堆肥2に化成肥料を用土10L当たり10~20g混ぜ合わせて使用します。

底から15cm程度まで用土を入れ、種イモの切り口を下にして並べます。鉢の直径が30cmの丸鉢なら種イモ1個植え、横長のプランター60~80cmなら種イモ2〜3個植えとします。覆土は8~10cmとし、やや多めにかぶせます。

後から土寄せとして増し土をするため、鉢の高さに対して4割程度のスペースを残しておきます。また、増し土用の土も残しておきます。

鉢底が見えなくなる程度に鉢底石を敷き詰め、用土は市販の野菜用培養土に化成肥料を用土10L当たり10~20g混ぜ合わせて15cm程度まで入れる。イモの切り口を下にして並べる。8~10cm覆土をかける。鉢の高さに対し、4割程度増し土の分のスペースを残しておく。

水やり

基本的に水は雨任せで水やりはしませんが、極端に乾燥が続く場合はジャガイモの肥大が悪くなったり、空洞や割れなどの障害が発生したりすることがあるため、早朝か夕方にたっぷり水やりします。

鉢植え

植え付け後は、プランターの底から流れ出る程度にたっぷり水やりしておきます。水が多過ぎると種イモが腐ることがあるので、毎日水やりをする必要はなく、土の表面が乾いたら、プランターの底から流れ出るくらいたっぷり行います。

芽かき・追肥・土寄せなどの栽培管理

ジャガイモの種イモを植え付けてから3~4週間たち、新芽が10cmほど伸びたら芽かきを行います。品種や収穫時期で本数は変わりますが、通常は、元気のよい芽を2~3本残して他の芽は全てかき取ります。芽かきは、根を傷めないよう株元の土を手で押さえながら、横に引っ張るように1本ずつかき取ります。ハサミを使って根元から切り取っても構いません。

ジャガイモの株元の土を手で押さえる。横に引っ張るように1本ずつかき取る。

この作業のポイント

芽かきで芽数を調整することで、大きさがそろった大きなジャガイモができて、収穫量アップにつながります。

芽かきが終わったら1回目の土寄せを行います。畝の中耕を兼ねて、株元に高さ5cm程度、丁寧に土寄せします。追肥は、化成肥料(8ー8ー8)を1株当たり10~15gほど施します。

畑は、化成肥料(8ー8ー8)を1株当たり10~15gほど施して土寄せする

2回目の土寄せは、芽かき後2~3週間して草丈が30cmほどになったころに行います。10~15cmの厚さでしっかり土寄せするのが最大のポイントです。高畝にすることで水はけと通気性がよくなり、腐敗と病害の予防につながり、質のよい大きなジャガイモを収穫できます。追肥は、化成肥料(8ー8ー8)を1株当たり15~20g施します。

鉢植え

鉢植えでは、土寄せのタイミングは畑と同じで、芽かきが終わったら新芽の伸びに合わせて5cm程度の増し土を行い、土寄せの代用とします。追肥は、化成肥料(8ー8ー8)を1株当たり10g程度、増し土に混ぜて施します。肥料が含まれている培養土で増し土する場合は、追肥は不要です。

鉢植えで追肥は、化成肥料(8ー8ー8)を1株当たり10g程度、増し土に混ぜて5cm程度の増し土を行い、土寄せの代用とする。

2回目の土寄せも畑と同じタイミングで、芽かき後2~3週間して草丈が30cmほどになったころに行います。新しい用土を株の根元に10cmほど盛って、手のひらで上から軽く押さえます。追肥は、化成肥料(8ー8ー8)を1株当たり10~15g、増し土に混ぜて施します。肥料が含まれている培養土で増し土する場合は、追肥は不要です。

この作業のポイント

土寄せは、ジャガイモの緑化防止や根張りの促進を図り、イモの肥大と収穫量アップにつながります。土寄せは基本の2回以外でも、必要に応じて行って構いません。株の伸び上がりに合わせて、雨上がりなどにジャガイモが露出しないように状況を見て適宜行いましょう。

花は、咲かせると多少の養分が消費されますが、ジャガイモの肥大に影響することはないので、切り取ってもよいですし、そのまま咲かせてもどちらでも問題ありません。

病害虫

ジャガイモに発生する害虫は、アブラムシ、テントウムシダマシ、ヨトウムシなどです。気温が上がってくると被害が多くなるので、小まめに葉の裏側までチェックして早めの駆除を心掛けます。少ないうちなら手や水で除去できますが、発生が多い場合は適正な農薬を適切に使用して防除します。鉢植えなら、防虫ネットを使って予防するのも有効です。

よく見かける病害は、疫病、モザイク病、そうか病です。疫病は、通気性の悪さや過湿が原因となることが多いので、畑は畝作りの段階から排水と通気性を考慮して予防します。鉢植えは、プランターの水はけをよくして、過湿を避けるようにします。また、水やりは土の乾き具合を見ながら多過ぎないように気を付け、病気の兆候が見えた葉や茎は早めに除去します。

収穫時に気が付くのが「そうか病」で、石灰、牛ふんや鶏ふんなどの動物性たい肥の多用などが原因となるため、土づくりの際は注意します。連作障害、疫病やモザイク病対策としてナス科植物の連作は避けるようにします。

収穫・貯蔵

収穫

植え付け時期と品種にもよりますが、植え付け後100~120日して葉が80%ほど黄色く枯れたら収穫適期になります。雨上がりに収穫するとジャガイモが腐りやすくなるので、晴れが続いている時に掘り上げます。鉢植えの場合は、1週間前くらいから水やりを控え、土が乾燥した状態で収穫します。

植え付けから80日程度で葉がまだ青々としているころに収穫すると新じゃがが楽しめます。皮が薄くみずみずしい食感が味わえます。保存期間が短いので、すぐに食べきれる分だけ収穫するとよいです。

春植えのジャガイモの葉が80%ほど黄色く枯れたら収穫適期

乾燥

試し掘りでイモが太っていることを確認してから株ごと掘り上げます。収穫したジャガイモは、掘り起こした場所で1〜2時間乾燥させた後、雨の当たらない風通しのよい日陰に移動して、さらに表面を乾燥させて、土を落としてから貯蔵します。

収穫したジャガイモは、掘り起こした場所で1〜2時間乾燥させた後、雨の当たらない風通しのよい日陰に移動して、さらに表面を乾燥させる

貯蔵

乾燥させたジャガイモは、段ボールやコンテナなどに入れて、冷暗所で保存します。3カ月程度の保存はできますが、温度が高くなり芽が出始めるようなら、冷蔵庫の野菜室程度の5℃前後で保存します。

保存中のジャガイモも長時間光に当たると表面が緑色に変わり、有害成分が生成されてえぐみや食中毒の原因となるため、緑化したジャガイモは食べないように注意します。

乾燥させたジャガイモは、段ボールやコンテナなどに入れて、冷暗所で保存する

この作業のポイント

葉の枯れ上がりと掘り上げのタイミングによってジャガイモの貯蔵性が変わります。梅雨の時期と重なる場合もありますが、雨上がりに収穫するとジャガイモの貯蔵中に腐りやすくなります。収穫は、晴天が続いて土壌がよく乾いている日を選んで行いましょう。鉢植えの場合は、1週間前くらいからは水やりを控え、土が乾燥した状態で収穫します。

監修:福島剛

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