東アジア植物記 キュウリ属[前編]キュウリの鉢栽培

令和6年のキュウリ生産量は53万トン、日本人1人当たり年間で43本程度を消費していることになります。現代人にとってキュウリは、ウリ科の中で重要な植物の一つです。

キュウリ

キュウリCucumis sativus(ククーミス サティーヴス)ウリ科キュウリ属。漢字の「胡瓜」は、古い中国語に由来します。「胡」は、中国語で西方を意味し、キュウリの原生地からシルクロードを経由して中国に入ったと表しているのでしょう。

属名のCucumisとは、ラテン語で「ウリ」を意味しています。種形容語のsativusとは、ラテン語で「栽培されたこと」を表すので、野生種からの命名ではなく、栽培種から学名の命名が行われたことを示します。

キュウリは、雌雄同株ですが雄花と雌花は別々です。同じような性の形を持つ、スイカやカボチャ、メロンは雌花に受粉が必要ですが、キュウリは誰も授粉をしません。

人によるキュウリ栽培は、紀元前から行われてきたとされます。古くからの栽培品として、キュウリは、単為結果性(たんいけっかせい)という性質を持つ品種ができあがったのだと思います。現代では、多くのキュウリが受粉がされなくても果実が大きくなります。

キュウリ(Cucumis sativus)の原生地は、インド北部やネパール東部から中部のヒマラヤ山脈の標高1300~1700mとされています。この辺りは、インド洋から湿った風が吹き上がり、年間降水量は2000mm程度あります。標高も高いので、夏季の最高気温はおおむね28度の気象です。

このことから、キュウリは夏野菜でありながら、高温を嫌う性質もあります。もう少し具体的にいうと、0度前後で枯死し、35度以上で著しく生育が阻害されます。

さて、キュウリは栽培も簡単で、春から夏の家庭菜園でも人気の作物です。

キュウリは上手に作る方も多いのですが、意外と「苦手でうまく作れない」と聞くことも多い野菜です。都会では、畑での栽培よりも鉢やプランターで栽培することが多いと思います。そこで、今回は私のコンテナ栽培の経験を披露します。ぜひ参考にしてください。

キュウリ「フリーダム」、5月15日(神奈川県)

キュウリは家庭園芸では、主に5月から栽培を開始します。早生の節なり系とフリーダムの品種を2株ずつ用意し、合計4株。5月15日に植え付け、栽培開始です。

6月5日(神奈川県)

栽培概要は、南東向きのベランダに、4Lの水を供給してくれる底面吸水プランターを設置し、その上に8号鉢を置きました。栽培を開始してから20日後、6月5日の様子が上の写真です。キュウリはわずかな間に、見違えるような生育を見せてくれます。

6月16日(神奈川県)

上の写真は、鉢に植えてから1カ月後の6月16日です。早生の節なり系は、収穫が始まりました。このあたりからキュウリはギアを上げてぐんぐんと生育します。肥料は、水やりする際に「有機の液肥ネイチャーエイド」を1000倍に希釈して施します。肥料が足りない場合は、適宜、化成肥料を施しました。

6月13~14日(神奈川県)

6月13~14日。キュウリは、日一日ではなく刻一刻と目覚ましく成長します。1時間ごとに成長が見て取れます。まるで、指を伸ばせばキュウリのつるが絡みついてくるように思えます。一日に10cmほどの伸張を計測しました。

病気予防に、大きくなった葉には水溶性ケイ酸を葉面散布しました。すると葉にガラス質のコーティングがされ、葉が硬くなりました。

7月25日(神奈川県)

7月25日。水切れ、肥料切れに注意しながら栽培を継続。水代わりの「ネイチャーエイド」「鉄力あくあ」などの混合液肥の施肥。「ホストップ」を1000倍に希釈しての葉面散布を行い、猛暑を乗り越えるように養生します。

節なりの早生系キュウリは、疲れて実が少なくなりましたが「フリーダム」は元気に実を付けます。この時期の一日の水分要求量は8号鉢1鉢当たり、2Lでも足りませんでした。

上の写真は、「フリーダム」という品種。甘くておいしいキュウリですが、形はずんぐりむっくりとして「水瓜」といった感じです。キュウリは、植え付けて1カ月も経てば毎日毎日収穫できるので、とても重宝する野菜です。

8月27日(神奈川県)

8月27日、いやいや最近の夏の暑いこと。ベランダの早生系節なりは実を付けませんが、「フリーダム」キュウリの収穫は続きます。

結局、9月まで収穫が続き…、鉢作りキュウリの収穫量は合計131本でした!「一夏で100本ほどのキュウリ」といっても、家族で普通に食べてしまうものです。フリーダムキュウリは早生系節なりに対し20%ほど収穫量が多かったです。満足、満足。

次回は、「キュウリ属[後編]メロンの鉢栽培」です。お楽しみに。

小杉 波留夫

小杉 波留夫

こすぎ はるお

サカタのタネ花統括部において、「虹色スミレ」「よく咲くスミレ」「サンパチェンス」などの市場開発を行い、変化する消費者ニーズに適合した花のビジネスを積極的に取り組む。定年退職後は、学校の先生に対する園芸指導や講演活動をしながら、日本家庭園芸普及協会の専門技術員として、自ら開発した「たねダンゴ」の普及活動などを行っている。
生来の「花好き」「植物好き」である著者は、東アジアに生息する植物の研究を楽しみに、植物の魅力を発信中。

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