長江以南の各省からベトナムなど、東アジア南部に自生する、セリバヒエンソウ(キンポウゲ科ヒエンソウ属、学名Delphinium anthriscifolium)。日本の関東には帰化植物として、少し日陰気味の草地や林縁に生えている。デルフィニウム属の雑草は珍しい。花色もラベンダー色で優しい色合いをしている。
種小名のanthriscifoliumはセリ科シャク属の葉に似ているという意味を持つ。葉はチャービル(シャク属、学名Anthriscus cerefolium)のような繊細な羽状複葉だ。チャービルと違って、葉を摘んで揉むと嫌な臭いがする。これは「食用にはならない」という合図だと私は思う。
明治時代に渡来したと聞くが、それほど広がっている様子はない。帰化植物は本来、厚かましく、はびこるものなのに。セリバヒエンソウには春の妖精のような風情があって奥ゆかしい。
2014年4月27日、横浜市菅田町で撮影
花の色形はデルフィニウムそのもの
2014年5月5日、開催中の浜名湖花博2014会場でみかけた、園芸種のデルフィニウム
(撮影:新井裕之)