自分でできる! 植物いきいき! プランターと花壇の土づくり 【第4回】古い土を再生させよう

古い土の再生方法を学んで、植物にも環境にも優しい園芸ライフを楽しみましょう!

はじめに

今回は、第3回でお伝えした知識を使って、古い土を再生させる方法を学んでいきましょう。

これまでお話ししてきたように、水分と空気(酸素)をバランスよく含んだ土の中では、植物の根が呼吸をして元気に伸びると共に、有益な微生物たちが活発に働き、有機物を分解して植物の成長を助けてくれます。

しかし、同じ土を使い続けていると、その環境がだんだんと崩れてしまいます。団粒構造や三相分布が乱れ、植物が育ちづらくなってしまいます。特にプランターや花壇では、使える土の量が限られているため注意が必要です。

そこで今回は、自分でできる「古い土の再生方法」をご紹介します。植え替えのタイミングはもちろん、植物の様子や土の状態に合わせて行えば、再び植物が元気に育つ土に生まれ変わりますよ!

よい土は、「水はけがよく、なおかつ水もちもよい」

園芸における“よい土”とは、団粒構造の土です(第3回参照)。団粒構造の土は、水はけがよく、なおかつ水もちもよいのが特徴。初めて聞いた人は、「あれっ?それって正反対の性質では…」と疑問に思われるかもしれません。そこで思い浮かべてほしいのが、台所などで使うスポンジです。

水に浸けたスポンジを取り出すと、余分な水分はさっと抜けるけれど、すぐにカラカラには乾かず、ほどよく湿った状態が長く続きますよね。

また、スポンジの隙間に含まれる空気(酸素)のおかげで、ほんの少しの洗剤でもよく泡立ちます。団粒構造とは、まさにこうしたスポンジのような構造。土の粒子が集まって小さな塊をつくり、大小の団粒がバランスよく混ざり合った土の状態です。

土の団粒構造は、スポンジをイメージすると理解しやすい!

団粒の中の細かな隙間は、水分や養分を蓄えます。根が必要とするタイミングで、吸収しやすい形の水分や養分を無理なく取り出せる、いわば植物のための「栄養の貯金箱」。

一方で、団粒と団粒の間にできる大きな隙間は、余分な水をすばやく排出し、根の呼吸に欠かせない空気(酸素)をしっかり届ける役目を担います。

このように、大小さまざまな隙間が共存することで、植物にとって心地よい「呼吸と栄養のバランス」が保たれている快適な環境を作り出しているのが、団粒構造というわけです。

ちなみに土の粒子をくっつけて団粒をつくる“接着剤”の役割を果たしているのは、土壌生物が有機物を分解する過程で分泌する粘着物質です。

新しい園芸用土は、こうした団粒構造の土と同じように排水性と保水性、保肥力(養分を保つ力)が優れており(第2回参照)清潔で扱いやすいのが特徴です。

また、一般的な園芸用土は、多くの植物が育ちやすい弱酸性(pH5.5~6.5)に調整されているため、安心して使える“よい土” といえるでしょう。

団粒構造の土を水の中に入れると、中に含まれていた空気(酸素)がプクプクと出てくる

団粒構造の土の特徴

通気性 団粒の隙間に空気が通り、根が呼吸しやすい
保水・排水性 水を適度に保持しつつ、余分な水分は抜けやすい
保肥力 肥料成分を保持し、植物が長く栄養を吸収できる
微生物の活動 微生物が活動しやすく、土の中で分解や栄養循環が活発になる
植物への影響 根がのびのび育ち、病気にも強くなるフカフカのベッドのような環境

古い土を使うとどんなリスクがある?

どんなにフカフカで“よい土”でも、使い続けていると次第に、団粒構造や三相分布が乱れ、土が締まって、水はけや通気性が悪くなり、植物の「窒息」や病虫害が発生しやすくなってしまいます。

また、土に含まれていた養分も、植物に吸収されるだけでなく、水やりのたびに少しずつ流れ出てしまうのです。

とはいえ、植え替えのたびに新しい土を準備するのは大変ですし、古い土をゴミとして捨てられない自治体も少なくありません。

そこで、古い土を自分で再生できたらどうでしょう?植物にも環境にも優しい園芸ライフの幅が、ぐんと広がりそうですね!

古い土に潜む多くのリスク

前作のゴミの混入 根や茎などの残骸が腐敗し、病気や害虫の温床になる
害虫・病原菌・ウイルスの潜伏 土の中に目に見えないリスクが潜み、次の植物に悪影響を及ぼす
団粒構造の崩壊 通気性・排水性・保水性が低下し、根の成長を妨げる
養分の欠乏 前の植物が養分を吸収した後なので、次の植物に必要な養分が不足する
酸度(pH)の偏り ①雨や肥料の影響で、土が酸性に偏ることが多く、植物の根が養分を吸収しにくくなる
②微量要素(鉄・マンガンなど)の吸収障害が起きる
連作障害のリスク 生育不良、収量の低下、病気の発生、害虫の増加、微生物のバランス崩壊、特定の栄養素が過剰になる、または不足する

古い土を再生する準備

ここからは実際に、古い土の再生に挑戦してみましょう!プランターが複数ある場合は、植物の栽培がひと区切りついたタイミングで、使い終わったものから丈夫なビニール袋(園芸用土などが入っていた空袋があると便利)に入れて保管しておき、まとめて再生するのもおすすめです。

3種類のふるいを準備

古い土を再生するためには、粗目、中目、細目の3種類のふるいを準備します。それぞれのふるいを順番に使ってゴミや古根、土の塊を取り除き、土の粒を整えていきます。

底網を替えられるよう、取り外せるタイプもある(右下)。替えの底網は、粗目(右下・中央)、中目(右下・左)細目(右下・右)

一般的な古い土の再生手順

手順1

古い土は乾いた状態で再生する。まずは、地表にある枯れた茎葉や雑草などを取り除く。次に、古い土を鉢から取り出し、軽く手でほぐしながら土中に残っている古根やゴミをあらかた取り除く。鉢底石や鉢底網も、この段階でえり分ける。

古根や鉢底石などを取り除く

手順2

バケツに一番粗目のふるいを乗せて、手順1で大まかにごみを除いた土を入れ、ふるいを揺すってバケツに土を落とす。このとき、手順1で取り除けなかった鉢底石がある場合は回収する(きれいに洗って乾かせば再利用できる)。

※ふるいに残った残渣の混じった土は再利用しない。

軽く揺すりながら土を落とす。ふるいに残った土は使用せず、バケツに落ちた土を再生させる

手順3

手順2でバケツに落ちた土を、同様に中目のふるいにかける。

中目のふるいにかけ、バケツに落ちた土はさらに細かく、空気が含まれ、フワフワの感触になる

手順4

手順3で落ちた土を、細目のふるいにかける。手順4ではふるいから落ちずに細目のふるいに残った土を使うので気を付けて!

※細目のふるいにかけて落ちた土は、粒子が細か過ぎて、排水や通気性が悪くなってしまうため、再利用しない。

右の土(細目のふるいに残ったもの)を使うのがポイント!

ふるいにかけるだけでも、枯れた茎葉や土中に残っている古根などが除かれて、かなりきれいな状態に!

ふるいにかけた土(左)と、元の古い土(右)

手順5

手順4でふるいに残った土を黒いビニール袋に入れ、全体的に水をかける。ぎゅっと握ってかたまり、触ればほろっと崩れるくらいの水加減に。土を湿らせることで、太陽の熱が伝わりやすくなり、蒸し焼き状態となって消毒の効果が高まる。(『太陽熱消毒』)

満遍なく湿らせましょう!

手順6

手順5のビニール袋の口をしっかり縛って、日当たりのいいコンクリートの上に置く(夏なら2週間~、冬なら2~3カ月ほど)。熱が均等に伝わるようにするために、土を入れ過ぎず、平らに広げる。太陽の熱で、土中の雑草の種や病原菌、害虫の卵などを減らす。時々袋を裏返し、太陽熱を隅々まで伝えるのがポイント!(地温が60℃になると病原菌の多くが死滅するとされる)

袋の口を縛り、太陽熱によって消毒する

手順7

季節に応じた期間を置いた後、太陽熱消毒された手順6の土を取り出す。ここに腐葉土 (古土の2~3割)、赤玉土(古土の1~2割)、緩効性肥料(商品に記された適量)を入れ、よく混ぜる。できれば植え付けや植え替え前に、軽く水をまいて湿らせ、1週間程度なじませると、土の中の微生物が活性化し、“生きた土”へとよみがえる。

古い土の再生にも、腐葉土や赤玉土などを活用!

「パワフルシリカ」を使えば、古い土の再生がもっと楽に!簡単に!

ここまでは、一般的な古い土の再生方法をご紹介しました。もしかすると「3段階のふるいにかけるのは大変だな…」と感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。

そこでおすすめしたいのが「パワフルシリカ」。なんと、中目 (5mm 四方)のふるいに1回かけるだけでOKなんです。手間がグンと省けて、作業もぐっと楽にできますよ!今回は、これを使った古い土の再生方法をご紹介します!

ふるい1回で古い土の再生ができる「パワフルシリカ」※サカタのタネ公式オンラインショップで購入可能

「パワフルシリカ」とは?

「パワフルシリカ」は、サカタのタネが開発した土壌改良材。2種類のシリカと腐植酸(堆肥のような効果を持つ成分)が配合されており、土に混ぜるだけで、保肥力・排水性・微生物性がアップする優れもの。さらに、植物の根を活性化させる働きがあるため、高温や乾燥などの環境ストレスにも強くなるのが特徴です。

パワフルシリカの成分

ゼオライト 沸石とも呼ばれ、微細な多孔質構造を持ち、土壌の保肥力や保水性を高める。
グリーンタフ 1年かけてケイ酸などの微量要素が少しずつ溶け出す。
腐植酸 炭の手前くらいまで腐植(分解・変化した有機物からできた有機質)の茶色い粉状の成分。

「パワフルシリカ」を使った古い土の再生手順

手順1

一般的な古い土の再生方法の手順1の後、古い土を中目(5mm四方ほどの網目)のふるいに1回だけかける。鉢底石は洗って再利用可能。

ふるいかけは、中目のふるい1回だけ! 大まかに古根やゴミなどが取り除ければOK

手順2

古い土の量に応じて、パワフルシリカ、バーミキュライト、完熟腐葉土またはスーパーミックスAを配合する。分量は、下記の表の通り。

[配合例]

材料 古土1Lあたりの目安 古土2Lあたりの目安 古土3Lあたりの目安 役割・ポイント
古土 1L 2L 3L ベースとなる土
パワフルシリカ 5~10g
(小さじ1~2)
10~20g
(小さじ2~4)
15~30g
(小さじ3~6)
根の活性化、ガス害の予防、保肥力の向上に効果的
赤玉土(小粒)
または鹿沼土
約0.5L 約1L 約1.5L 排水性・通気性を高める※
バーミキュライト 約200~300mL 約400~600mL 約600~900mL 保水性・通気性を補う
完熟腐葉土またはスーパーミックスA 約300~500mL 約600~1000mL 約900~1500mL 有機質を補い、ふかふかした土に。保肥力もアップ

※パワフルシリカは、少量で高い効果を発揮します。使用量は、最小量から始めて、土の状態によって調整しましょう。

※初めて再生する土など、比較的新しい場合は「完熟腐葉土orスーパーミックスA」を市販の培養土などに置き換えてもOKです。

※赤玉土は崩れると排水性・通気性を高める性質はなくなります。

配合するときに注意したいポイント

配合するときに注意してほしいのが、「容積(ミリリットル・リットル)」と「重量(グラム)」を間違えないこと! 同じ1リットルの土でも、素材の種類や湿り具合によって重さが大きく変わることがあります。容積を量るときには、計量カップを使うと便利です。

手順3

手順2の全体が均等になるよう、よく混ぜる

満遍なく混ぜるのがポイント

手順4

一般的な古い土の再生方法の手順6(黒いビニール袋に入れて太陽熱消毒)を行う。

手順5

手順4のビニール袋を、夏なら1カ月、冬なら2~3月置き、太陽熱消毒ができたら、再生完了!

元々の古い土(左)と、パワフルシリカを使って再生した土(右)

「パワフルシリカ」以外の材料も使うのはなぜ?

「パワフルシリカ」の成分である、グリーンタフ(微量要素を少しずつ放出する効果がある)とゼオライト(ミネラルを引っ掛けて離さない保肥力がある)により、土の中の環境が改善されます。

ただし、その土で育つ植物が元気に成長するのに重要な微生物そのものを補うためには、有機物の力が欠かせません。そのため、腐葉土や堆肥などの有機質を加えることが重要。これらの有機物は、微生物の餌となる他、団粒構造の形成を助け、土の質を高める働きを担います。古い土は排水性や通気性が低下していることが多いため、鹿沼土やバーミキュライトを加えて、土の構造そのものを再構築することも大切です。

また、古い土の再生はもちろん、「手持ちの市販の培養土をグレードアップさせるために、パワフルシリカを追加する」という使い方も、とてもおすすめです!一度に使う量はごく少量ですが効果抜群なので、いろいろな使い方を試してみたいですね。

古土3Lを再生する場合でも、「パワフルシリカ」はわずか30gでOK!

どうして「パワフルシリカ」を使うと、中目のふるい1回で大丈夫なの?

腐葉土(微生物のすみかであり、養分でもある!)を追加することで、古い土に新たな微生物が供給されます。

さらに、「パワフルシリカ」に含まれる2種類のシリカにより肥料吸収の効率が高まり、土中に安定した有機成分が加わることで、早い段階で植物にとっての「より快適なすみか」と「ごちそう」 が整うわけです。

すると、微生物の数と多様性が早くに回復し、活動も活発化します。その結果、ふるいで取りきれなかった古根などの有機物も、微生物の働きにより分解が促進され、 中目のふるい1回だけでも十分に整えることができるのです。

つまり「パワフルシリカ」の最大の特徴であり、真の効果は、「よい土壌環境を整えるためのお手伝いをしながら、自然の力を引き出す」サイクルを促してくれることにあるのです。

「パワフルシリカ」を使って再生した土。フカフカで、まるで新しい土のよう!

おわりに

どんなに“よい土”でも、使い続けるうちに団粒構造や三相分布が乱れ、微生物が減少し、養分も足りなくなり、さらにはゴミが混入するなど、次第に植物が育ちづらい環境に変わってしまいます。プランターや花壇など、限られたスペースでは特に気をつけたいところです。

古い土は、いわば元気をなくした、少し寂しい環境です。そこで「パワフルシリカ」をはじめとする材料を使って再生すると、土の環境がぐっと改善され、有益な微生物も増え、にぎやかで活気のある土に生まれ変わります。

例えるならば、静まり返った町に再び明かりをともし、人々の笑い声が響きあう、快適な町によみがえるようなもの。古い土の再生は、“土の町おこし”といえるかもしれません。

次回はいよいよ最終回。これまで皆さんと一緒に学んできだことを生かして“究極のオリジナル培養土”づくりに挑戦します。どうぞお楽しみに!

山田朗子

園芸家・庭人(にわんちゅ)

山田朗子

やまだ・さえこ

自宅の庭づくりをきっかけに園芸・造園の世界へ。造園土木施工の専門教育課程を修了したのち、植木屋、造園の現場、バラやハーブ、寄せ植えの分野で実務経験を積む。自然をお手本としたナチュラルな植栽を得意とし、庭のお手入れ、寄せ植えなど、植物に関わる幅広い仕事に携わりながら、園芸講座の講師としても活躍中。肩書の“庭人”は、「“庭に関わる人”として、庭と人とをつなぐ」という園芸家としての原点に由来する。

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