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【第10回】虫が付いて葉が食べられている②

望田明利

もちだ・あきとし

千葉大学園芸学部卒。住友化学園芸研究開発部長として、家庭園芸薬品や肥料の開発普及に従事。現在は園芸文化協会理事、家庭園芸グリーンアドバイザー認定講習会講師などとして活躍中。各種園芸雑誌等に病害虫関係の執筆多数。自らも自宅でさまざまな種類の草花を栽培している。

【第10回】虫が付いて葉が食べられている②

2021/09/21

前回は、草花の葉が虫に食べられていて、その加害虫を見つけやすいケースについて触れました。今回は、周辺をよく探しても加害した虫を見つけにくい場合(夜行性の虫、またははねを持ち、気軽に移動する虫)について解説します。

【目次】
被害1. 主に葉の縁から食べられている
 ●犯人:ヨトウムシ
  ヨトウムシの生態
  ヨトウムシの防除方法

被害2. 主に葉が虫食い状態に食べられている
 ●犯人その1:コガネムシ成虫
  コガネムシの生態
  コガネムシの防除方法
  [ちょっと雑学]外国に渡ったコガネムシ
 ●犯人その2:バッタ類
  バッタ類の生態
  バッタ類の防除方法
 ●犯人その3:ナメクジ
   [ちょっと雑学]日本で一番大きいナメクジ

被害1. 主に葉の縁から食べられている

●犯人:ヨトウムシ

ヨトウムシを漢字で書くと「夜盗虫」。名前の通り、昼間は土の中などに隠れ夜間に活動して食害するため、昼間探してもなかなか見つかりません。雑食性の虫で、ほとんどの草花類が被害を受けます。食害方法は葉の縁から食べ、成長するにつれて食べる量も多くなるため、被害が拡大します。

ヨトウムシの生態

春の4~6月ごろと秋の9~10月ごろの年2回発生し、さなぎの状態で土の中で越冬します。成虫は古い葉よりは若い葉の裏にまとめて卵を産み付けます。そしてふ化後の幼虫は葉の表皮を残して葉肉部分を食べます。その部分を葉の表面から見ると、緑色の部分がなくなっているので透けて見えます。葉の裏には3~4mm程度の生まれたての幼虫が群生しています。若齢の幼虫は緑色で、脱皮を繰り返し、大きくなるにつれ灰褐色~黒褐色の体色になります。

ヨトウムシの幼虫が寄生したタチアオイの葉
(写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集)

ヨトウムシの防除方法

日頃から新葉の状態に注意し、葉のところどころが透けたようになっていないか観察するのが防除の基本です。葉裏の卵を探すのは大変ですが、ふ化後の初期の被害症状はすぐに気が付きます。被害葉を取り除いて、「スミチオン(R)乳剤」や「オルトラン(R)水和剤」などを散布して退治します。

被害2. 主に葉が虫食い状態に食べられている

●犯人その1:コガネムシ成虫

コガネムシにも多くの種類がいます。多くの種類は樹木類の葉を食害して被害を与えますが、中には草花類の葉を食害する種類もいます。

コガネムシの生態

樹木類の葉を食害して被害を与える種類が多いのですが、マメコガネは草花類の葉だけでなく花も食害します。マメコガネの成虫は1cm程度の大きさで、全体は光沢のある暗緑色です。年1回発生し、成虫は6~7月ごろ土中から出て、葉に群がって食害し、穴がぼこぼこと開いたような虫食い状態にします。被害が激しい場合は、葉であれば葉脈だけが残るようになることもあります。飛んで移動するため、加害場所にはいないことが多いです。土中に産卵し、ふ化した幼虫は植物の根を食べて成育し、幼虫のまま越冬します。9月ごろまで葉が虫食い状態に食べられているのに虫の姿が見えないのは、コガネムシなど甲虫目による被害が多いです。9月以降の被害は次項で紹介するバッタ類が原因です。

マメコガネの食害によるバラの被害葉(写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集)

コガネムシの防除方法

成虫の防除方法と幼虫の防除方法があります。コガネムシは寄生した植物を揺さぶるとすぐに飛んで逃げるよりは落下し、しばらくしてから飛んで逃げます。「スミチオン(R)乳剤」などを直接散布して退治します。幼虫は土中にいるため、花壇では秋の植え替え時に「ダイアジノン(R)粒剤」を土壌混和して退治します。

[ちょっと雑学]外国に渡ったコガネムシ

日本は島国のため、外国からさまざまな害虫が入ってきます。戦後、アメリカシロヒトリ、オンシツコナジラミなど多くの害虫が入ってきました。最近では植物害虫ではありませんが、2017年5月に神戸港に到着したコンテナの中からヒアリが見つかっています。日本から外国に輸出した(?)害虫はマメコガネです。日本では天敵もおり爆発的に増えませんが、1916年にアメリカで見つかり、天敵のいないアメリカでは爆発的に繁殖し農作物に多大な損害を与えました。マメコガネはアメリカではジャパニーズ・ビートル(Japanese beetle)と呼ばれています。発見される数年前に、日本から送ったアヤメの球根に紛れ込んでいたようです。

●犯人その2:バッタ類

秋に美しい音色を楽しませてくれるバッタ類。飼育するときはナスやキュウリを餌として与えますが、自然界では植物の葉などを食べるため、草花類を食害する害虫となります。

バッタ類の生態

バッタには多くの種類がいますが、その中でも細長いオンブバッタの被害が目立ちます。オンブバッタは年1回発生。土中で卵の状態で越冬し、6月ごろにふ化して地上に出てきますが、小さいので被害は目立ちません。大きくなった9月ごろから多くの草花類の葉が虫食い状態に食べられて被害が目立ってきます。オンブバッタは親が子どもをおんぶしているように見えますが、下の大きいのが雌、上の小さいのが雄です。

バッタ類の防除方法

「スミチオン(R)乳剤」などの薬剤を散布して退治しますが、飛び跳ねて逃げるため、網などで捕まえて捕殺する方法が確実です。

●犯人その3:ナメクジ

ナメクジは葉や幼苗だけでなく花も食害します。ナメクジの生態、防除方法は【第8回】発芽した苗や茎がなくなったり、食べられたりして折れる、変色して倒れるをご参照ください。

[ちょっと雑学]日本で一番大きいナメクジ

日本にもチャコウラナメクジ、フタスジナメクジ、ノハラナメクジなど数種類のナメクジがいました。その中で一番大きいナメクジはチャコウラナメクジで這うときには5~6cm程度の大きさです。しかし、2006年に茨城県土浦市で見つかったマダラコウラナメクジは長さ15~20cm程度の大きさになるナメクジです。気持ち悪いですね。

次回は「新芽が萎縮したり、葉が小さくなる」です。お楽しみに。

注釈

防除薬剤は病害虫の効果だけで記載しております。使用の際は適用作物をご確認の上、ご使用ください。

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