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 【第43回】ハーブを生活に取り入れる「ハーバルライフ」を提案! 神戸布引ハーブ園を訪ねて その3

【第43回】ハーブを生活に取り入れる「ハーバルライフ」を提案! 神戸布引ハーブ園を訪ねて その3

2017/07/04

新神戸駅から歩いてすぐのロープウェイに乗ると、約10分で神戸布引ハーブ園に到着。世継山の斜面に広がる12のガーデンでは、ハーブを取り入れた四季折々の植栽や料理、香りが楽しめます。今月は、ポタジェや四季の庭を中心にご紹介!

ハーブと草花が織りなす植栽はガーデニングの参考に!

楽しい工夫をちりばめたポタジェもガーデナー必見です!

昨年の初夏に、20年ぶりに再訪した神戸布引ハーブ園。6年前にリニューアルされたガーデンでは、それぞれのハーブの特長を生かした花壇の植栽や工夫満載のポタジェ、歩きながらハーブやバラの香りが楽しめる演出など、ガーデナーにとってはまねしたくなるアイディアがいっぱい詰まっています。今月は、珍しい野菜を育てコンパニオンプランツを積極的に活用したポタジェや、3年前に新しく作られた四季の庭を中心にご紹介します。

ハーブと珍しい野菜に遊び心がプラス! 楽しいポタジェ

ポタジェとは、フランス語で「ハーブや野菜、果樹を混植して育てるおしゃれな家庭菜園」のこと。約120平方メートルの菜園で約60種類、約300株の多種類の野菜やベリー類などを育てています。また、柔らかい枝を再利用したオベリスクや、コンパニオンプランツ(相性のよい、病害虫の発生を抑えたり成長を助けたりする植物)を多用した野菜の育て方も提案! 家庭菜園の参考になる工夫がぎゅっと詰まっているから見逃せません!

[1]剪定したハギの枝と竹の支柱で作った楽しいオベリスク。足元に植えた白いミニキュウリや房状に実る薄緑のキュウリ、丸みを帯びた太いキュウリなどを誘引する予定です。コンパニオンプランツのナスタチウム、ネギ、マリーゴールド、レタスなどを混植
[2]正月のオブジェで使用した割り竹を赤くペイントして作ったスパイラル状のオベリスク。足元の黄や赤などのミニトマトが絡みます。コンパニオンプランツはスイートバジル
[3]シベリア南部原産の赤い茎が目を引く宿根草、ルパーブ。葉の軸を砂糖と煮てジャムに
[4]奥は挿し木で増やした食用ホオズキ「ストロベリートマト」、手前はUFOの形をした黄色いズッキーニや、つる首型の甘みが強いズッキーニなど。コンパニオンプランツはネギ
[5]手前のとがった大型の葉がハーブ、アーティチョークの近縁種のカールドン、奥の柔らかい葉はアスパラガス

[6]鮮やかなコントラストが美しい、フリル状の淡い緑のレタスと中国野菜、ターツァイの混植。ターツァイのオイスターソースを使った炒め物は最高です!
[7]インゲンやシカクマメ、三尺ササゲなどのマメ類やつる性植物のコーナー

ハーブの女王、約800株のラベンダーが咲き誇るラベンダー園

標高約400mの山の上とはいえ、高温多湿の関西の夏や霧が発生する環境は、冷涼で乾燥がお好みのラベンダーにとって過酷な生育環境です。そこで、比較的耐暑性が強いラベンダーを選び、手入れもきめ細かにしているとか。選んだのは、イングリッシュ系の「濃紫3号」、「オカムラサキ」、「ハナモイワ」、「ヨウテイ」と、ラバンディン系の「グロッソ」、ストエスカ系、デンタータ系など。上の写真の「濃紫3号」が一番先に開花し、6月上旬から1カ月間が見ごろだそう。特に、香りもよく花も美しい「グロッソ」が咲いたら、ラベンダースティックを作る講習会が開かれます。

前庭もエントランスも温室も、見どころ満載のグラスハウス

グラスハウスの前庭ではハーブと季節の草花がコラボした花壇が目を引き、エントランスでは冬でもハンギングバスケットなどの花が楽しめる空間が展開。中庭ではハーブフォーマルガーデンや、料理やティータイム、クラフトに使えるハーブのコンテナなどが多数飾られ見どころがたくさんあります。その上、バナナやターメリック、カルダモンなどの熱帯や亜熱帯の植物をそろえた温室や、ハーブの足湯があるガーデンテラスなどが続き、楽しみはまだまだ尽きません。

グラスハウスの前庭、ヨーロピアン風の家を彩る花壇。それぞれの花壇中央のスタンダード仕立てのゲッケイジュが並んでリズミカル。植栽に変化を与えます。左右の薄緑の葉はデュランタ、左隣は濃い緑のローズマリー、赤や白花はインパチエンス。花壇奥のハーブの緑が花や家を引き立てます。

エントランスでは、地中海沿岸地方の雰囲気漂うディスプレイガーデンに出合えます。実は、10月はハロウィーン、冬はクリスマスと季節ごとに変化が楽しめるとか。初夏は窓辺にゼラニウムのウインドーボックスを飾り、花壇にはヒューケラやコリウス、青花のアジサイなどが植えられていました。

上の左の写真は、温室の亜熱帯や熱帯の植物たち。赤花はアンスリウム、手前の緑の葉ものは、左からシダ、ピレア、斑入りハマユウなど。後方の草丈が高いのはアレカヤシ。上の右の写真は、温室の出口の彫刻、膝を立て幼子を抱く母親の愛の像です。後ろの壁面を覆うのは無数のベゴニア。

「おもてなし」「くつろぎ」「よろこび」「いやし」がテーマの四季の庭

四季の庭は「おもてなしの庭」のローズガーデンで始まり、「くつろぎの庭」のコテージガーデン、「よろこびの庭」のファームガーデン、「いやしの庭」のメドウガーデンと続く4つのガーデンで構成された、3年前に作られた新しいガーデンエリアです。訪れた方をバラの花や香りで出迎え、コテージの周りではハーブや草花がくつろげる空間を演出し、実りをもたらすファームではハーブや野菜などの収穫物に喜び、近くのメドウでは風にそよぐ草花に癒やされる、そんな物語が紡がれています。

上の左の写真は、甘い香りのイングリッシュローズが中心の「おもてなしの庭」のバラの植栽。手前の白バラは「ボレロ」、中央右の薄ピンクは「ローズシネルジック」、左上のポールに絡むのは「ローゼンドルフ シュパリースホープ」と「ジャクリーヌ デュ プレ」。上の右の写真は、「くつろぎの庭」の植栽の一部。パステルカラーの配色は、心穏やかにくつろげます。左手前は薄ピンクのクレオメ、中央右の青花はベロニカ「サイトシーイング」、岩の上はイングリッシュ系ラベンダー。

コテージ下の斜面に広がる、立性やほふく性のコニファーを点在させて変化を演出したロックガーデン。空いたスペースを、カラミンサやストエカス系ラベンダー、アスチルベ、スターチス、テイオウカイザイクなどの草花が彩ります。コテージの柱に絡む白バラは「つるアイスバーグ」。

植栽の参考になるロックガーデンの日陰のエリア。左奥から時計回りに、アカンサス モリス、カシワバアジサイ、シベリアアヤメ、白花のアスチルベ、中央の青緑色のギボウシ「ビッグママ」、その手前のチョコレート色のヒューケラ、左隣はリシマキア ヌンムラリア、白いアスチルベ。

「ファームガーデン」の段々畑の土留めはそだ(粗朶)を使ったとか。そだとは、直径数cmの細い木の枝を束状にしたもの。適度に細く、しなやかなカシ類やヤナギなどが適しているそう。ちなみにここではカシ類を使用。くいを数カ所打ち、そだを交互に編み込んで土留めを作ったそう。手間はかかるけれど、これなら段々畑の自然の景観にぴったり。段々畑では、ハーブのカモミールやヒマワリ、ナスタチウム、ワタなどを栽培。

今月で3回にわたってご紹介した神戸布引ハーブ園の訪問記も最終回。ハーブに久しぶりにたくさん触れて、改めてハーブのよさを再確認。庭の緑にローズマリー、植栽のアクセントに銀緑色のラムズイヤー、菜園にはコンパニオンプランツにもエディブルフラワーにも利用できるナスタチウム、香りにラベンダー……などと植栽に料理に、ティータイムに、クラフトに、好みのハーブをもっと暮らしに取り入れたくなりました。流行に流されずハーブが長く愛されている理由、分かった気がします。

次回は「ローメンテナンスな葉もの」を取り上げる予定です。お楽しみに!

JADMA

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