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タネまきから始めよう 草花栽培 トルコギキョウタネまきから始めよう 草花栽培 トルコギキョウ

草花をタネから育て、芽が出て、やがて花が咲く。この上なく楽しいことです!
今回は切り花として大人気のトルコギキョウをご紹介します。栽培は少々難易度が高いです。でも、それだけに開花の感動は大きいものです。宝石のように咲く花を思い、タネまきから始めましょう。

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楽しむ

宝石の花 トルコギキョウ

切り花の御三家といわれるキク、バラ、カーネーション、そしてユリを加えた4大品目は、周年店頭に並び、とてもなじみ深い花々です。その中にあっても、さんぜんとその存在感を示し、店頭を飾るトルコギキョウ。花色の美しさ、花色の豊富さ、多様な花形、花もちのよさから、今では冠婚葬祭をはじめ、切り花になくてはならない重要な地位を占めています。

そんなトルコギキョウの故郷は、北米のコロラド、ネブラスカ、テキサス、ニューメキシコ州を中心に石灰岩地帯の草原です。年間降雨量が少なく、夏は高温、乾燥するような地域に自生しています。

トルコギキョウ

トルコギキョウの自生地を写した、忘れられない1枚の写真があります。農場勤務時代の20年ほど前、北米テキサス州へ、トルコギキョウの自生地探索に訪れた先輩が見せてくれた写真で、降雨後の、川の流れた跡に沿って生えそろった、トルコギキョウの小さな苗の群落。先輩はこの状況からトルコギキョウの発芽、初期生育には、特に水が重要だと力説していました。

その写真は、その後のトルコギキョウの発芽試験や育苗試験などを行う上で、とても大きなヒントになり、栽培の原点となっています。

トルコギキョウ

トルコギキョウは、タネまきから開花までに時間がかかり、育苗は若干難易度が高いかもしれません。でも、微細なタネが発芽、生育、そして開花したときの感激はひとしおです。宝石のようにきらめく花色に出合うために、まずはタネをまいてみるという第一歩を踏み出してみましょう。

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品種を知る

初夏から秋にかけて咲く青紫色や白色の花には清涼感があり、夏の切り花や鉢物として人気のトルコギキョウ。タネまきから開花までの日数はかかりますが、意外と病害虫にも強いので、チャレンジしてはいかがでしょうか。

  • ロジーナ(R)ミックス
    ロジーナ(R)ミックス
    不動のロングセラー! 開花まで長く楽しめるバラ咲き
    バラと見まがう上品な花形を追求した品種です。蕾から花弁が開く優雅な様子も楽しめます。
  • 八重咲き大輪 バラエティー ミックス
    八重咲き大輪 バラエティー ミックス
    華麗な八重咲き混合。ブーケやアレンジにぜひ!
    華やかな八重咲きの大輪ミックスで、いろいろな花色が楽しめます。
  • ダブルバイカラー ミックス
    ダブルバイカラー ミックス
    覆輪咲きや絞り咲きなどのユニークな花色が魅力的
    水あげ、花持ちがよく夏の切り花として人気がある花です。雨の当たらないところでのコンテナ植えに適します。
  • バイカラー ミックス
    バイカラー ミックス
    大輪一重咲きでカラーバリエーション豊か!
    覆輪咲きや絞り咲きなどユニークな花色が魅力的な豪華な大輪の一重咲き混合です。
  • ボヤージュ(R)ミックス
    ボヤージュ(R)ミックス
    ボリュームのある豪華な花形が魅力
    ボヤージュはフランス語で「旅立ち」を意味します。フリルの入る豪華な八重咲きは、新たな人生の旅立ちを祝うブライダルフラワーにもぴったりです。
  • フルフル(R) ミックス
    フルフル(R) ミックス
    ミニバラのような愛らしい八重咲き!
    極小輪の八重咲き品種です。草丈が取りやすくて切り花にもぴったり。バラ咲きの花形が美しくキュートな印象です。極小輪の一重咲きの花の「プティフル」シリーズに対して、八重咲きの本シリーズは「フル」を重ねてかわいらしい「フルフル」と命名しました。
  • オーブ カクテル
    オーブ カクテル
    温かみのある珍しい花色
    フランス語で「夜明け」を意味するオーブは草丈が取りやすく、他品種と組み合わせての栽培がおすすめです。
  • オーブ ピンクフラッシュ
    オーブ ピンクフラッシュ
    ピンクの吹き掛け模様の明るい花色
    フランス語で「夜明け」を意味するオーブは草丈が取りやすく、他品種と組み合わせての栽培がおすすめです。
  • 春うらら(R)
    春うらら(R)
    日本人が好きなサクラ「ソメイヨシノ」の淡く美しいピンク色を再現
    美しく淡い桜色をくすみのない発色で再現。ふんわりと花弁が重なり、ロマンチックな花姿です。中輪咲き。
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育てる

タネまき

発芽適温は20~25℃くらいですが、特に地温が20℃前後のときが発芽がよくそろいます。温暖地では9月下旬~10月下旬の秋まきが適しています。寒冷地では冬の寒さが厳しいので春まきにします。

タネまき用土は赤玉土の小粒、腐葉土を半々に混ぜたものにピートモスを3割さらに入れたものか、ジフィーセブンなどが好適です。直径9cmくらいの素焼き鉢に用土を8分目まで入れ、平らにならした後、均一にばらまきします。覆土はせず、水は受け皿から吸水させます。雨風の避けられる場所か、室内の窓辺で管理し、発芽するまでは寒冷紗や新聞紙などで直射日光を避けます。

タネまき

水分を含ませたジフィーセブンの表面を指先で平らにしてタネをばらまく

プロのアドバイス

トルコギキョウの発芽を成功させるのは、タネまき後の水管理です。発芽するまでは決して乾かさないように気を付け、タネの表面が乾かないよう、1日に数回、ハンドスプレーなどでタネの表面に霧水を吹いてやりましょう。

育苗

タネまき後、発芽までは2週間ほどですが、双葉が展開し、本葉が見え始めるまでにさらに2週間程度要します。このころが移植の適期です。育苗用土は、タネまきに使用した土に、マグァンプKの小粒を1L当たり2g入れてよく混ぜ合わせます。

移植には128~200穴のセルトレーに育苗用土を入れ、ジョウロで水をかけて湿らせておき、先を尖らせた箸を使って、1穴に1本ずつ植え付けます。移植する際には、根の先端を箸でつまんで、箸と共に土に差し込む要領で丁寧に植え付けます。

移植後2週間くらいまでは、寒冷紗などで遮光します。本葉が伸び始めたら、週に1度液肥を与え、育苗期は乾かさないように管理します。

育苗

移植を嫌うので小苗のうちに仮植えする

育苗

根が切れないよう、ピートモスごと掘り上げ根をほぐし、1本ずつセル容器に植える

プロのアドバイス

移植の際、根を切らないためにも、根が短めのときがベスト。植え傷みが少ないです。

定植

日当たり、水はけのよい場所が適します。有機質に富む肥沃な土壌を好むので、1平方メートル当たり堆肥、腐葉土をそれぞれ10Lほど、緩効性肥料を50g程度入れ、よく耕しておきます。トルコギキョウは、石灰岩地帯の草原に自生しているため、弱酸性土壌を好みます。酸性土壌の場合は苦土石灰をまいて調整しておきましょう。

本葉が2~3枚展開したころが定植時期です。植え床は水はけがよいように中高にならし、15cm間隔に植えます。

鉢植えやプランター植えの場合は、育苗用土に堆肥を2割混ぜてから使用します。直径15cm鉢なら1~2本、18cm鉢なら3~4本、プランターなら10cm間隔が植えつけの目安です。

定植

本葉2~3節が展開した程度の小苗のうちに定植する

プロのアドバイス

寒さが本格化する前までに定植し、十分に根を張らせておくと充実した株張りになります。定植は遅れないように。鉢植えの場合は、深めの鉢に定植するとより充実した株張りに。

開花

秋遅くに定植した株は、冬の低温、短日のため、もどかしいほどなかなか生育しませんが、やがて迎える開花に向けて、じっくり育っているので、焦らず管理しましょう。彼岸を過ぎたころには茎の長さが15~20cmくらいに伸びてくるので、株元に支柱を立て、倒れないようにします。

鉢植えの場合、蕾が見えるころまでは十分に水を与え、液肥も2週間に1度定期的に与えます。開花期が近づき蕾が色づき始めたら、やや乾かしぎみに管理します。開花鉢は玄関などに置いて楽しみましょう。切り花で楽しむ場合は1茎に2~3輪、花が開いたころに採花します。

開花
プロのアドバイス

開花前後にたびたび過湿にすると株が立ち枯れしやすくなるので、水のやり過ぎに注意します。花を切るときは暑い日中は避け、朝夕の涼しい時間帯に行うのがおすすめです。

『園芸通信』2011年9月号「タネまきから始めよう!草花栽培 トルコギキョウ」および『家庭園芸』より再掲
2018年2月22日更新
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著者紹介
菅野政夫

菅野政夫(かんの・まさお)

1952年山形県生まれ。神奈川県立相模原公園副園長、サカタのタネグリーンハウス館長。1973年坂田種苗株式会社(現(株)サカタのタネ)入社後、試験場勤務20年以上、オステオスペルマムなど栄養系植物の栽培・育種に携わる。

JADMA

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