季節の花めぐり アサガオ

日本で育まれてきた園芸植物の中でも、夏の風物詩として親しまれてきたアサガオ。

朝のひとときにそっと花が開くその姿は、古典園芸植物として、長く多くの人々に愛されてきました。わずかな時間だけ咲くそのはかなさも、アサガオの魅力の一つです。早朝の澄んだ空気の中、朝顔市へ足を運ばれたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

さらに愛好家の心を捕らえるのが、個性豊かな変化朝顔の数々。多彩な姿や表情は、アサガオの奥深い世界を感じさせてくれます。今年も各地で朝顔市や朝顔展が開催されます。夏の始まりのひとときに、その魅力を訪ねてみてはいかがでしょうか。

※本ページの情報は2026年6月時点のものです。お出掛けの際は、各施設の公式ホームページやSNSなどで最新の開花状況をご確認ください。

広島市植物公園

夏の風物詩として親しまれている「変化朝顔展」。江戸時代に発展した変化朝顔は、葉や茎、花などのさまざまな変化を楽しめる、奥深い魅力をもつ古典園芸植物です。

「変化朝顔展」が開催される広島市植物公園は、広島市中心部と宮島の中間にあたる、佐伯区倉重の瀬戸内海を望む高台に位置し、約18.3ヘクタールの園内には、大温室をはじめ、サボテン温室や展示温室、熱帯スイレン温室、ベゴニア温室、フクシア温室、栽培温室、展示資料館、芝生広場、カスケード、花の進化園、日本庭園、樹林観察園など多彩な施設が整い、約1万品種・約20万本の植物が植栽されています。

一見するとアサガオとは思えないほど、ユニークで複雑に形を変えた「茎や葉の変異」がこの株の魅力です。

見る人の目を楽しませてくれる、繊細で珍しい「花の変異」が見られる株もあります。

「広島市植物公園」オリジナルの変化朝顔「広島の空」シリーズ。※年によってはご覧いただけないことがあります。

エントランスから植物たちが来場者を迎えてくれます。大温室には日本最大級のバオバブもあり、園内では四季折々のさまざまな植物をご覧いただけます。

広島市植物公園

〒731-5156
広島市佐伯区倉重3丁目495
電話番号:082-922-3600
休園日:毎週金曜日(祝日の場合は開園)、12月29日~翌1月3日
開園時間:9:00~16:30 ※入園は16:00まで
入園料:大人(18~64歳)510円、大人(65歳以上・要公的証明書)170円、小人(高校生・高校生相当年齢)170円、中学生以下は無料
駐車場:有料駐車場あり。532台
アサガオの見ごろ: 8月下旬

関連イベント

●変化朝顔展

開催期間:2026年8月22日(土)~30日(日)

●変化朝顔展解説

開催日:2026年8月23日(日)10:00~11:00 ※随時

水前寺成趣園(すいぜんじじょうじゅえん)

水前寺成趣園内で「肥後朝顔展示会」が行われる「古今伝授の間」は、約400年前に京都御所に建てられた学問所で、細川藤孝(幽斎)が「古今和歌集」の解釈を皇族に伝えた由緒ある建物です。現在は同園に移築され、熊本県の重要文化財に指定されており、日本で唯一現存する古今伝授の場です。

熊本県熊本市にある「水前寺成趣園」は、江戸時代初期に細川忠利公が築いた回遊式庭園です。園内では四季折々の草花や自然の移ろいを楽しめ、富士山や東海道五十三次に見立てた景観も随所に見られます。豊かな湧き水をたたえた池を囲むように、能楽殿や出水神社、夏目漱石の句碑などが設置されています。

また、園内には熊本ゆかりの花を守り伝える「肥後六花ゾーン」があり、季節ごとに見ごろの花を観賞できます。「肥後六花」とは、肥後椿、肥後芍薬、肥後花菖蒲、肥後朝顔、肥後菊、肥後山茶花の六つを指します。

水前寺成趣園の「展示館」と「古今伝授の間」では、例年7月に「肥後六花」の一つである「肥後朝顔展示会」を開催しています。「肥後朝顔」は、肥後細川家の第八代当主(熊本藩の第六代藩主)である細川重賢(しげかた)公より武士の嗜(たしな)みとして奨励され現代まで受け継がれてきたもので、江戸時代から明治時代にかけて栽培方法が確立しました。現在にも「小鉢本蔓作り(こばちほんつるづくり)」と呼ばれる独特の仕立てで育てられています。

静かにたたずむ庭園の風景とともに、受け継がれてきた花の姿を味わいに、足を運んでみてはいかがでしょうか。

「小鉢本蔓作り」は、本つるを摘まずに育てながら、草丈を鉢の高さの3~4倍にとどめ、第1花を草丈の4分の1ほどの高さに咲かせる栽培方法です。鉢の大きさと草姿、そして花の咲き方との調和を大切にした、趣のある仕立てとして受け継がれています。

「肥後朝顔」は、第2次世界大戦や昭和28年の大水害により、一時は絶滅したともいわれましたが、徳永据子(すえこ)氏によって品種が守られ、その後、昭和36年に涼花会が復活しました。

現在もその伝統は大切に引き継がれており、例年7月の第1日曜日に古今伝授の間にて「涼花会持ち寄り会」が開かれ、9月の第1日曜日には「秋の展示会」も開催されています。いずれも一般公開され、多くの来場者がその美しさに触れられます。

細川文化を今に伝える花として大切に守られてきた「肥後朝顔」。門外不出の存在でありながら、その奥深い魅力は現代でも静かに受け継がれています。

水前寺成趣園

〒862-0956
熊本市中央区水前寺公園8番1号
電話番号:096-383-0074
休園日:なし
開園時間:8:30~17:00(最終入園 16:30)
入園料:大人(16歳以上) 500円、小人(6歳~15歳)200円

駐車場:なし ※近隣の有料駐車場をご利用ください。
アサガオの見ごろ:7~9月

関連イベント

●園内古今伝授の間 肥後朝顔展示会

開催日時:2026年7月5日(日)9:00~12:00

●園内展示館 肥後朝顔展示会 

開催日時:2026年7月6日(月)・7日(火)9:00~12:00

入谷朝顔市

アサガオは奈良時代に薬用として日本に伝わり、江戸時代に観賞用として広まりました。その美しさから人々に親しまれ、さまざまな形や色を楽しむ文化が育まれました。七夕にちなみ「牽牛花(けんぎゅうか)」とも呼ばれることから、朝顔市は毎年7月上旬に開催されています。

東京都の鶯谷駅・入谷駅周辺で開催される「入谷朝顔まつり」は、毎年7月6日から8日に行われる、日本有数の朝顔市です。通りには多くのアサガオの露店が並び、夏の風物詩として親しまれています。

その歴史は江戸末期にさかのぼり、入谷で育てられたアサガオが評判を呼び、明治期には名所として知られるようになりました。中でも、形や色の変化に富む「変化朝顔」が人気を集め、多くの品種が生み出されました。しかし大正時代に一度途絶え、その後は衰退しますが、昭和23年に地域の人々の手によって復活し、現在へと受け継がれています。

会場の中心となる入谷鬼子母神(いりやきしもじん)は、1659年に創建された真源寺に祭られる鬼子母神で、古くから信仰を集めてきました。その霊験から「恐れ入谷の鬼子母神」として知られ、現在も中山・雑司ヶ谷と並び、江戸三大鬼子母神の一つとして親しまれています。

営業時間は店舗ごとに異なりますが、早朝は5時から始まり、夜は21時まで出店されています。

多くのアサガオを前に、ひと鉢ずつ真剣に選ぶお客様の姿が印象的です。

開催日は毎年決まっているため、平日にあたる年も多く、夜になってから足を運ぶ人の姿も見られます。

入谷鬼子母神(真源寺)の周辺にはアサガオの出展者が並び、多くの人でにぎわいます。

入谷朝顔まつり

〒110-0004
東京都台東区下谷1丁目12−16
電話番号:03-3841-1800
開催日:2026年7月6日(月)~8日(水)
営業時間:早朝5時~21時。出店者により営業時間は異なります。
入場料:無料注意事項:「入谷朝顔まつり」開催期間中は、会場周辺の路上パーキングメーターおよびパーキングチケットは休止になり、駐輪スペースなどの確保もございません。公共交通をご利用の上、ご来場ください。なお、朝顔まつり会場内ではドローンなどの小型無人機は使用禁止です。

文・編集/園芸通信 編集部

関連商品(サカタのタネ 公式オンラインショップ)

記事カテゴリ
ページ上部へ