

文・編集
園芸通信編集部
ツツジ
2025/04/08
ツツジは、学校や公園などの植栽に利用されていることから、多くの方になじみがある春の花だと思います。この鮮やかな花色と甘い香りには、日本古来の人々も魅了されてきたのでしょう。今回ご紹介するのは、まるでパッチワークのようにかわいらしい姿、じゅうたんのように広がる圧巻の景色、珍しい品種が見られるスポットもございます。ぜひ、散策に出かけてみてはいかがでしょうか。
※2025年4月の情報です。お出かけの際は、事前に公式ホームページなどで最新情報をご確認ください。
小室山公園 つつじ園
「小室山公園」の高台からの富士山を望む景色。天候に恵まれるとツツジと富士山の共演もお楽しみいただけます。
静岡県伊東市にある「小室山公園」では、一年を通して季節の花々が楽しめ、例年4月ごろになるとツツジが見ごろを迎えます。3.5haにわたって、40種類10万本のツツジが咲き誇る「つつじ園」では、真っ赤なじゅうたんを敷き詰めたような見事な風景が広がります。毎年開催される「小室山公園つつじ観賞会」は、全国から多くの観光客が訪れる一大イベントです。天気がよい日は、一面に広がるツツジと富士山を一緒に眺められます。
※気候などにより開花時期が変動する場合があります。来園する際は、事前にサイトで開花状況をご確認ください。
高台から望む、10万本のツツジが咲き誇る圧巻の景色。
「つつじ園」から小室山を望むのもひと味違った景観が楽しめます。
脇道からの景色もおすすめ。見渡す限りのツツジに囲まれて、散策いただけます。
大人の背丈を軽く超えるツツジが両側に並ぶ「つつじのトンネル」は、フォトスポットとして好評です。
小室山公園つつじ園 概要
〒414-0044 静岡県伊東市川奈1260-1
電話番号:伊東市観光案内所(観光協会)0557-37-6105(9:00~17:00)、伊東市役所観光課 0557-32-1711、0557-32-1718
休園日:なし
開園時間:9:00~16:00
入場料:無料
駐車場:月・火・水・木は、無料駐車場280台/金・土・日・祝は、有料駐車場640台(1回1台500円 ※2025年4月28日(月)も有料駐車場の予定です。ご了承ください。
見ごろ:4月中~下旬
関連イベント:2025年4月中旬~末日予定 「小室山公園ツツジ観賞会」、4月29日予定 「昭和の日 苗木・花の苗配布」
※ツツジの開花状況や天候などを勘案し、イベントや開放期間を変更する場合があります。
久留米市世界つつじセンター
「久留米市世界つつじセンター」の正門入り口では、耳納連山(みのうれんざん)を背景に撮影していただけます。
「久留米市世界つつじセンター」は、ツツジ類の保存および新品種開発を目的とした施設です。園内には、福岡県久留米地方で、江戸時代天保(てんぽう)年間に久留米藩士によって品種改良が始まった「クルメツツジ(久留米つつじ)」約300品種をはじめ、国内外の約1000品種、1万本のツツジ、サツキ、アザレアを植栽しています。4月に、一般の方にもツツジを観賞していただけるように「春の一般開放」を行っています。同園では、公園などで見られるような丸く刈り込んだ姿ではなく、それぞれの品種がもつ本来の樹形に剪定(せんてい)しているため、趣が異なったツツジ観賞を体験できます。
敷地面積が1haと小規模ながらも、品種開発の施設でしか見られないような、多岐にわたる貴重な品種を観賞いただけるスポットです。
正門から入ってすぐに見えるのは、ツツジを配した石庭です。
「ウィルソン50」エリアには、屋久杉のウィルソン株で有名なイギリスのプラントハンター、アーネスト・ヘンリー・ウィルソン(1876~1930)が大正時代に、久留米の種苗生産業者から「クルメツツジ」48品種と「キリシマ」2品種を購入し、アメリカに輸出した品種を植栽しています。現在も「Wilson 50」と呼ばれ、世界で最も有名になった「クルメツツジ」を観賞できます。
赤紫色の品種は、「クルメツツジ 若楓(わかかえで)」です。「クルメツツジ」の特徴の一つである、鮮やかで光沢のある花びらを持ちます。見応えがある4月ごろの園内の様子です。
毎年、春の一般開放のとき、クルメツツジの中から1品種を選び、紹介しています。令和7年は「裾濃(すそご)の糸」です。江戸時代作出の「裾濃の糸」は、「クルメツツジ」の原種である「ヤマツツジ」と「ミヤマキリシマ」との雑種だと分かる特徴をよく表している品種です。
久留米市世界つつじセンター 概要
〒839-0826 福岡県久留米市山本町耳納1875-1
電話番号:0942-47-4580
休園日:土日祝日と12月29日~1月3日。※「春の一般開放」令和7年4月5日~4月25日の期間中は、休まず開園します。
開園時間:9:00~17:00
入場料:無料
駐車場:北隣の「久留米ふれあい農業公園」無料駐車場160台のご利用となります。
見ごろ:4月中旬
関連イベント:4月4日~4月20日「久留米つつじまつり」、ツツジの販売も実施します。
御船山楽園
起伏に富むすり鉢状の地形と相まって多彩な眺望を楽しめます。
佐賀県武雄市ゆかりの、武雄鍋島家で最も知られるのが、第28代武雄領主の鍋島茂義(1800~1862)です。武雄領主は、現在の佐賀県立武雄高等学校に位置する「塚崎城(武雄城)」を居城とし、その背後にそびえるのが、武雄のシンボル、標高210メートルの御船山です。その御船山の断崖を借景に、約3年の歳月をかけ、1845(弘化・こうか2年)に完成させたのが、50ヘクタールを誇る壮大な池泉回遊式庭園「御船山楽園(旧・萩の尾園)」でした。造園にあたって鍋島茂義は、狩野派の絵師を京都より招き、今でいう「完成予想図」を描かせました。自らも狩野派を学び「皆春斎」の雅号で作品を多く残した鍋島茂義は、思い描く庭園の理想へと導いたに違いありません。
「御船山楽園」の開園当時から178年もの長年、現在の「花まつり」に至るまで、御船山の断崖下に広がるつつじ谷の「クルメツツジ(久留米つつじ)」は、春の主役を演じ続けてきました。その花絵巻のように同園を彩る春の姿は「御船山楽園が最も美しく輝く季節」と称されるほどです。待望のツツジが、4月下旬~5月上旬に見ごろを迎えます。
園内には「クルメツツジ」「ヒラトツツジ」などさまざまなツツジが咲き誇ります。ツツジの他にも、推定樹齢170年の大藤、芽吹く若葉による春紅葉など春を感じさせる植物たちが5月にかけて次々に見ごろを迎えます。
多くの花見客から好評の「花見台」を散策路の奥、地上約30メートルの高さに設置しています。
すり鉢状の地形に咲き誇るツツジたちを離れて観賞するのもおすすめです。この地形の起伏に相まった多彩な眺望は、来訪者を喜ばせます。
御船山の裾野へとツツジが広がる絶景をお楽しみください。
御船山楽園 概要
〒843-0022 佐賀県武雄市武雄町武雄4100
電話番号:0954-23-3131
休園日:不定休
開園時間:8:00~17:00 ※イベント時は変動あり。「花まつり - つつじ、大藤、春もみじ」の会期中は、18:30まで
入場料:大人500円、小人250円 ※イベント時は変動あり
駐車場:無料駐車場100台 ※別途臨時駐車場あり
見ごろ:4月上~下旬
関連イベント:2025年4月7日~5月6日「花まつり - つつじ、大藤、春もみじ」
文・編集/園芸通信 編集部